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「眼球達磨式」 ★★ 文藝賞 |
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題名と紹介文に惹かれ、そして文藝賞受賞作という点も考慮に入れて読んでみた作品。 デパートのバックスペース、従業員向けに割引販売が行われる売り場で主人公は、本来はホビー用のRCカーなのだという移動式小型カメラ「アイ」を勧められて購入します。 人目につかず、地面を自在に失踪するアイ。それ以来、仕事から部屋に戻るとアイを遠隔操作して、その映像を見るのが唯一の楽しみとなります。 ところが、ある日見知らぬ女性にアイが捕獲されたと思うと、その後アイは勝手に自走し始めます。 地べたの視点から人間を眺める、それはアイだけでなく、瓦猿や奇妙なものたちがそれに加わります。 機械の目から見る人間の姿は、欺瞞に満ちて・・・。 地べたの視点から人間を見るという趣向がとても面白い。虫の視点を私は想像してしまいました。 そしてその目線は、人間の選挙運動に向かっていくのですが、そこにどんな意味があるのか、はっきり捉えきれなかった処が残念です。 ※やはり地べたに近い視点、ロボット掃除機を主人公にしたミステリ、そえだ信「地べたを旅立つ」を思い出しました。 |