斉木香津(かづ)作品のページ


1964年大分県生、横浜市立大学文理学部卒。2008年「千の花になって」にて第9回小学館文庫小説賞を受賞し、作家デビュー。

 


           

「40歳の言いわけ ★★☆




2016年08月
双葉社刊
(1400円+税)

 


2016/09/27

 


amazon.co.jp

高校時代に約束させられた、40歳記念の同窓会。
そうした役割が苦手ながら当時学級委員だった故に幹事役を押し付けられていた
久保健一が主人公。
出席するという返事を何人からも貰っていたというのに、開始時間の18時になっても誰も姿を現さない。何故・・・?

上記のストーリィ設定が実に面白い。
かつての同級生が現れるのを、予約した席で一人ずっと待ち続けるクボケンの様子とと並行して、出席するつもりだったのに開始時間どおりに行けなくなった同級生6人の状況が一人ずつ語られていきます。

40歳という年齢、ちょうど人生の折り返し地点とも言える時期です。ですから、同窓会どころではない、人生の勝負処なのだ、という状況があってもオカシクないのです。
そのうえ、同級生6人の状況、順を追う内に益々とんでもない状況にあることが披露されて、ギョッとする程。
最後はオチが付いて、ホッとすると同時に、人生が楽しくなってくる気分です。
同窓会にかこつけた、ユニーク&噴飯ものの、群像劇的人生ストーリィ。お薦めです。

※本ストーリィは、たった一人で現れない同級生を待つという設定ですが、現れない一人の同級生を皆が待ちかねているという内容の作品が、
朝倉かすみ「田村はまだか。まるで裏返しのようなストーリィで、こちらの作品も是非お薦めです。

                 


   

to Top Page     to 国内作家 Index