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「遊び奉行」 ★★ | |
2013/02/04
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専横に振る舞い、商人と癒着して私腹を肥やす筆頭家老を排するため、藩主=九頭目斉雅は深慮遠謀の計画を立てます。その一環として斉雅の妾腹の長子である主人公=亀松は、家臣である家老の家に婿養子として出され、正室の弟である千代松が藩主の座に就きます。 “遊び奉行”とは正式名称を裁許奉行と言い、町奉行や郡代奉行の手に負えない訴訟を採決し、時によっては許可を与えるというのが主な役目。実は裏方の大変な仕事なのだが、月に一度の勤めで良いことから羨ましがられそんな通称がついた、とのこと。 気さくで明朗、伸びやかな主人公のキャラクターもあって楽しく読み進むことができるのですが、ストーリィは実父である藩主に課せられた目的完遂のため主人公はどう行動するのか、に絞られていますから、その点ではまるで戦略ゲームのよう。池宮彰一郎「四十七人の刺客」を彷彿させるところがあります。 ※明朗な性格の主人公という点では山手樹一郎「又四郎行状記」が浮かびますが、ゲーム性に相応して主人公像は現代的です。 |