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12.仙丹の契り−僕僕先生No.8− 13.ちょうかい 14.恋せよ魂魄−僕僕先生No.9− 15.神仙の告白【旅路の果てに】−僕僕先生No.10− 16.立川忍びより 17.千夜と一夜の物語 18.師弟の祈り【旅路の果てに】−僕僕先生No.11− |
【作家歴】、僕僕先生、薄妃の恋、胡蝶の失くし物、千里伝、高原王記、さびしい女神、先生の隠しごと、海遊記、鋼の魂、童子の輪舞曲 |
11. | |
「水平線のぼくら」 ★ | |
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奄美大島の高校でノルディック・スキー部? 奄美大島の高校2年生=桐隆文の前に突然現れた美少女の転校生は、かつてノルディック・スキーで将来有望と期待されていたという高橋麻巳。 ちょっぴりスポーツとちょっぴり恋心を重ねた青春篇に、奄美大島の土俗的ファンタジー要素を加えたストーリィ。 なお、舞台が奄美大島ということで、冒頭に挿入されている奄美大島の地図とストーリィを見比べながら読み進んだこと、多少なりとも奄美の雰囲気を感じ取れたことは、楽しかったです。 |
12. | |
「仙丹の契り−僕僕先生−」 ★☆ | |
2017年04月
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美少女仙人の僕僕とニート青年の王弁コンビによる中国歴史ファンタジー、“僕僕先生”シリーズ第8弾。 そのうえで本書ストーリィ、僕僕らに先立ち旅立った吐蕃(チベット)の医師ドルマの後を追うようにして僕僕・王弁一行(吉良・第狸奴・劉欣)も吐蕃へと向かいます。 なお、そんな王弁を主人公とする本シリーズを最初から長く読み続けてきたファンとしては、本書で吉良が王弁を「主どの」と呼び、僕僕から教わった経絡を診る術で、王弁が未熟ながらも予想外の進歩を僕僕から認められるところが嬉しい。さすがの僕僕も苦労する闘いにおいて、王弁が僕僕を支えることにも繋がるのですから。 ファンの皆様、乞うご期待。 |
13. | |
「ちょうかい−未犯調査室− Pre-Crime Investigation Division」 ★ |
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出版社の宣伝文句を引用すると「構想5年! 前代未聞の警察(?)小説」とのこと。 目指すのは、これから起きる犯罪を未然に防止する、というもの。そのためにカモフラージュとして東京・吉祥寺の雑居ビルに設けられたのが、警察庁の外郭団体「犯罪史編纂室」。 そこに集められたのは、それぞれの事情から懲戒免職になっても不思議ではないという問題警官ばかり。 そして彼らを束ねる室長はというと、女性キャリアながらどこか抜けている枝田千秋警視。瞬間記憶を持ち主ながら、記憶がすぐ飛んでしまうという鳥頭女子。 語り手かつ主人公は、元々は腕利きの刑事だった通島武志。 さて彼らは、どのような活躍を見せるのか。 ・・・と期待したのですが、何だか分らないままだったなぁ、という一言。 近未来的なストーリィ設定に個性的である筈のメンバーたち、さぞユニークでスリリングな展開が、と期待した私が先入観を持ち過ぎていたのか。 仁木さんが意図していた趣向とそもそもスレ違っていたのではないか、と思う他ありません。 続編もありそうです。そこではもっとストーリィが深まっていくのだろうと思いますが・・・・。 |
14. | |
「恋せよ魂魄−僕僕先生−」 ★☆ |
15. | |
「神仙の告白【旅路の果てに】−僕僕先生−」 ★☆ |
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2021年01月
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美少女仙人の僕僕とニート青年の王弁コンビによる中国歴史ファンタジー、“僕僕先生”シリーズ第10弾。 前巻もそうではあったのですが、本書においてはのどかで親しみやすいかつての雰囲気は消し飛び、ひたすら抗争のストーリィ。 冒頭で王弁青年は眠りについてしまい、その王弁を助けるために僕僕は薄妃、吉良と共に行動します。 ところがいつの間にか僕僕は、人の世界を滅ぼしかねない危険な神仙と位置付けられてしまっていて、魏夫人、かつての弟子の華陀までもが僕僕の前に立ち塞がります。 また、王方平は自分の権力拡大のため“破滅の象徴”とされる僕僕を手中に収めようとし、一方で司馬承禎は胡散臭い行動を繰り広げます。 その他、「三国志」の英雄で今や神仙の関羽将軍、さらには何と「西遊記」の面々=かつて斉天大聖で今は闘戦勝仏(孫悟空)、天蓬元帥(猪八戒)、捲簾大将(沙悟浄)までもそろって登場し、前巻以上にスケールアップ。誰が敵で味方か分からない混戦が繰り広げられます。 要は人の現世を一旦滅ぼして世界を新しくするか、それとも支えて維持するか。 正直言って、神仙間の争いが入り乱れ過ぎてついて行かれず、また楽しいとはとても言えない展開になってしまったなぁと思う処あり。 それでも最後の場面、王弁に対する僕僕の温かい思いが伝わってきて、本巻全体の印象を一変させたように感じられます。 本シリーズは次の第11巻で完結らしい。幕を下ろす直前のゴタゴタと思えば、混沌としたストーリィもやむを得ないものかと思います。 1.眠る王弁/2.雄黄の髄/3.神医と美髯公/4.弟子たち/5.混沌の囁き |
16. | |
「立川忍びより」 ★☆ |
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大倉多聞、就職先はブラック企業。ついに耐え切れず退職し、立川駅南で中華料理店を夫婦で営んでいる実家に戻ります。ところが、父親が背負っている借金のかたに婿入りを命じられることになろうとは。 その婿入り先は、小学生時代に仲の良かった藤林三太の実家、相手は三太の妹の杏子でまだ高校生とのこと。 まずは当主で祖父の源吾から藤林家に住み込んで家事等を担い修行をするよう命じられるのですが、その藤林家、何と現代にまで続く忍者の家系とは! 如何にも面白そうな設定だったのですけれど、面白いところまで至らずに終わってしまったという観あり。 何しろ、何故現代にまで忍者の家系を守る必要があるのか、という点にもまるで触れられず仕舞い。 それでは三太、杏子が自由のようで不自由と家を出たがるのも無理はない、という印象です。 おそらく本ストーリィ、続編があるのでしょう。 多聞と杏子の許婚関係は成立するのか?という興味。 そして 藤林家に五百年も仕える大蝦蟇=山王丸の存在、なぜか吸血鬼まで登場、そのうえ同じ忍者家系である一派との争いと、掘り下げれば面白そうなネタはまだ盛り沢山なのですから。 本ストーリィ中でも一応の争いごとは起きていますが、まだまだプロローグ、“立川忍び”をめぐる状況を紹介がてら描いたに過ぎないと受け留めるのが適当でしょう。 |
17. | |
「千夜と一夜の物語(ちよとひとよ)」 ★ |
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仁木英之さんとはどうも波長が合わないのかもしれないと、仁木作品は手控えていたのですが、題名から「千夜一夜物語」のオマージュかもしれないと、つい手を伸ばした次第。 折口千夜(ちよ)は28歳。多くの人から声が魅力的と言われ、声優の道を目指していましたが、結局挫折。姉である一夜(いちよ)が勤める化粧品会社に見習社員としてコネ入社したばかり。 飲み会の帰り、千夜は途中見かけた洋館に誘い込まれるように入り込み、そこで<魔王>と名乗る存在に出会います。 その魔法から脅されるまま、毎夜、千夜は魔王の元に通って物語を語らなくてはならない、という状況に追い込まれます。 う・・・・ん、結局どういう物語なのか、作品なのか、よく判らないんですよねぇ。また、何とか判ろうとする気にもならない、という処。 ファンタジーあるはモダン・ホラーといった作品。だからこそ、余計に判らない、と言って良いでしょうか。 作中物語を千夜が語る、という趣向は楽しみだったのですが、千夜と一夜にとってこの出来事は何だったのか。何となく推測はついても、納得感を覚えないんですよねぇ・・・。 |
18. | |
「師弟の祈り【旅路の果てに】−僕僕先生−」 ★☆ |
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2021年01月
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“僕僕先生”シリーズ第11弾にして完結編。 前巻「神仙の告白【旅路の果てに】」に引き続き、いやそれ以上にスケールアップして、王方平と僕僕&王弁たちとの壮大な闘いが繰り広げられます。 急にスケールが壮大してしまいついていくのが大変、というのは前巻と同様。 要は、神仙と人間との関係を巡る闘いなのです。人間は神仙にとって単なる道具に過ぎないのか、それとも神仙と共存する存在なのか、ということ。 自分が世界の主になるため、邪魔になる人間を一掃し、一から世界を作り直そうと目論んでいるのが王方平。 それに対し、人間は決して神仙の餌ではなく共存すべき遜歳として、現在の人間社会を守ろうとするのが、僕僕や王弁とその仲間たち。 玄宗皇帝の他、三国志の英雄である関羽雲長、西遊記の孫悟空まで登場し、まさに敵・味方入り乱れるの観。 第1作の長閑な雰囲気と比較すると、本作の戦いに明け暮れる様子は同じシリーズとは思えない程。ちょうど「ハリー・ポッター」の第1巻と最終巻との差を思い出すようです。 最後は、僕僕と王弁が重ねてきた長い旅が、決して無意味なものではなかったことが暗示され、中国歴史ファンタジー版ロードノベルは完結です。 やれやれやっと完結したかという思いと、これまでのロードノベル・ストーリィへの懐かしさが一緒くたになって胸を満たしているという気持ちです。 いつかまた、旅を続ける僕僕と王弁たちに再会したい、という思いが胸の中に残ります。 あらすじ/序/1.災厄の波/2.春秋千三百/3.天空の風雲/4.届く想い 届かぬ願い/5.それぞれの絆/6.一陰一陽成太極 |
19. | |
「立川忍びより 忍ビジネスはじめました!」 ★☆ |
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「立川忍びより」続編。 前作だけでもう良いかなと思っていたものの、興味も残っていたという訳でこの続編も読書。 基本的な構図は前作どおり。 とはいえ、毎日いろいろな罠を仕掛けられ続け、逃れる能力も少しずつ上達する中、いつしか忍びの能力も向上しているということらしい。 今回、少しは稼がねばどうにもならないと多聞が考え付いたのが“忍ビジネス”。つまりは、忍びの技をもって困っていること、悩みごとの相談に応じようという商売。 とはいえ、料金は依頼人の一ヶ月の月収相当と決めたものの、やっと見つけた依頼人が子供だったり、フリーターばかりとあっては赤字になりかねませんよねー。という訳で連作構成。 ・「忍ビはじめます」:別れた恋人=中島明里からの依頼。現恋人が何か隠しごと。その中身は? ・「北京対上海」:両親が経営する中華料理店<北京楼>に何故か挑戦状。その挑戦者からの依頼って、大丈夫なの? ・「愛する者よ、ただ蛙の怒りに任せまつれ」:執拗なイジメに苦しむ中学生=吉村紘一からの依頼。 ・「蜥蜴食めばはらから思はゆ 蟋蟀食めばまして偲はゆ」:杏子の友人である澤田七海の悩み解決のため多聞、女子高生の変装して杏子と共に女子高へ潜入し・・・。 ・「ゴールテープの切り方」:“立川デブ四天王”の一人である北田俊明が突然ダイエット開始? ・「秘薬の秘」:多聞が退職したブラック会社、かつての同僚=杉田圭吾を救わんとし多聞は・・・・。 多聞、杏子、山王丸、そして三太と、個性的な登場人物がそれなりに持ち味を発揮して綴られる、軽妙な連作ストーリィ。 今回、本作品は「僕僕先生」の枠組みを現代に置き換えたストーリィのように感じられました。それなりに面白く、それなりに現代社会の課題も語った連作ストーリィ。 それはそれで多聞と杏子の間が近づいている処に楽しみあり。 1.忍ビはじめます/2.北京対上海/3.愛する者よ、ただ蛙の怒りに任せまつれ/4.蜥蜴食めばはらから思はゆ 蟋蟀食めばまして偲はゆ/5.ゴールテープの切り方/最終章.秘薬の秘 |