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1.いらっしゃいませ 2.夏の力道山 5.わたしのしくみ |
●「いらっしゃいませ」● ★ |
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2006年03月
2006/10/29 |
短大を出て出版社に就職した鈴木みのりが配属されたのは、受付係。 同僚は僅かに、吉祥天立像に似た年配の優しそうな木島さんと、入社2年目の明るい加藤紅子(紅ちゃん)、自分本位な宮本さんの3人のみ。 しかし、その僅か4人の関係の中でもみのりは会社とはどんなものか、同僚間での確執あり、自分勝手な人間あり、一緒に仕事をしていく上での知恵ありと、様々なことを見聞きし知っていく、というストーリィ。 神奈川の山の中にあるミッション系短大で寮生活を送り、何をしたいという目標もなく会社に入社してきたみのりにとっては、何もかも全く新しい世界。 男性と女性という違いもあるのでしょうか、私が入社した時の姿勢はもっと挑戦的(みのりに比較すると)だった気がします。 会社って、どんなものだったのだろう。 |
●「夏の力道山」● ★★ |
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2006/10/11
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主婦を主人公にした小説。小気味良さが魅力です。
この主婦小説の主人公は、五十嵐豊子。 短大時代からの友人である緑、亭主・姑を喜ばすようなことは一切しないと言い放つ5歳年下の鍼灸師・瀬川先生、この2人の言いっぷりもはっきりしていて楽しい、爽快です。 |
●「今日もやっぱり処女でした」● ★★ |
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2008/11/01
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ドキっとする題名ですが、今日も何も起こらなかった、という主人公の思いを端的に表した一言。
山口あおば、24歳。第一志望の会社に折角就職できたのに、何か満たされずあっさり退社、今は派遣社員をしながら毎週1回イラストレーション塾へ通う日々。 まぁ年頃ですからね、何か胸がときめくようなことが起きないかなと思う気持ちも判りますが、その一方で、平凡な日々の何が悪いのか、いろいろあるらしい他の人たちとの間にどれだけの違いがあるのか、という思いもします。 文中に「ちょっと世の中、恋愛やセックスのことばかり考えすぎではありませんか。人間にとって、もっと大事なことがあるはずです」という、あおばの一言があります。 |
●「きのうと同じに見えるけど」● ★★ |
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自分の今、今後を考え中の「あおばの物語」、第2弾。
ストーリィはほんの僅か、数日しか進みません。 少しずつ大事に、手さぐりで自分のあるべき姿、これからのことを探っている山口あおば・24歳の姿がとても好ましい。 簡単に「すみません」と言う勿れ、嫌なら嫌と思い切って言ってみよう、そんな僅かなことでも真剣に考えて実行できれば、前進だと思います。 少しずつ読み進み、少しずつあおばの物語の良さを辿っていきたい、それが本物語の魅力。 |
●「わたしのしくみ」● ★★ |
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2012/04/29
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一口で言うと、何とまぁ、という短篇集。 どの篇もエロチシズムの香り充満という風なのですが、淫乱というより、登場する女性たちにとっては日常茶飯事的、むしろユーモラスな趣きがあって、とても楽しい。笑ってしまいたくなる部分が幾つもあります。 そういう面では「わたしのしくみ」という本書題名、真に意味深々、と感じる次第です。 冒頭の「音読」、マッサージを受けながら若い男性の音読を聞くという趣向の秘密サロンに出かけてみた女性の話なのですが、シュリンク「朗読者」等の作品を思い出して楽しい。 「あなたの指で汚してちょうだい」はかなり淫猥な連想を誘う題名ですが、中身はあにはからんや。主人公である女性の気持ち、判る、判るなぁ。 「おとむらい」と「真珠」は、男性に対する女性のあっけらかん振りが楽しい篇。男性はもう降参するのみ。 「ばっきゃらまど」と「人買い」は共に○○○に帰結するストーリィ。要は人工のものか生かということなのですが、どこか爽快感があるのが愉快。 本短篇集、人によっては目を顰められるかもしれませんが、こんなストーリィが楽しめるのも小説の魅力の内、と私は思います。 音読/あなたの指で汚してちょうだい/おとむらい/ぱっきゃらまど/資源回収日/真珠/人買い |