宮本昌孝作品のページ No.3



21.風魔外伝

22.武者始め

23.天離り果つる国

【作家歴】、剣豪将軍義輝、こんぴら樽、夕立太平記、尼首二十万石、青嵐の馬、北斗の銃弾、影十手活殺帖、藩校青春賦、将軍の星、陣借り平助

 宮本昌孝作品のページ No.1


夏雲あがれ、ふたり道三、風魔、おねだり女房、海王、天空の陣風、みならい忍法帖−入門篇、みならい忍法帖−応用篇、家康死す、陣星翔ける

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21.
「風魔外伝」 ★★


風魔外伝画像

2014年10月
祥伝社刊
(1700円+税)

2017年06月
祥伝社文庫化



2014/11/09



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風魔小太郎を主役とした風魔の外伝5篇。
「風魔」に登場した懐かしい人物が、良きも悪しきも登場しますので、懐かしい。

「魔王の風」は、若き小太郎龍姫(後に最後の古河公方となった氏姫)が登場。小太郎と織田信長の邂逅を描く篇。
「信濃のすずかぜ」は、甲斐の女忍び=梓衆の笹箒の、後に結ばれる小太郎と出会う前の戦いを描いた篇。
「闇の甚風」は、かつて小太郎と共に戦った富沢甚内、庄司甚右衛門と宿敵=神坂甚内との再度の闘いを描く篇。
「姫君りゅうりゅう」は、氏姫の娘である褐(かつ)姫が、父親と兄に危難が迫る喜連川領に出向き、悪計を企む人物と対決する篇。
「南海の風」は、日本にやってきたシャム・アユタヤ王国の若き使者たちを描く篇。その中の一人セーンが、小太郎と笹箒の息子という次第。

風魔小太郎が登場する2篇+小太郎が登場しない3篇という取り合わせ。しかし、小太郎が登場しなくても、そこには小太郎の息吹が確実に感じられます。
豪快さに加えて爽快な読み心地のある、骨太の戦国もの。
後半3篇、本人は登場しないものの、類稀な好漢として皆が小太郎を懐かしく忍ぶという構成が、風魔小太郎という人物の爽快さを効果的に際立てているように感じます。


魔王の風/信濃のすずかぜ/闇の甚風/姫君りゅうりゅう/南海の風(ロム)

 

22.

「武者始め ★★


武者始め

2017年10月
祥伝社刊

(1600円+税)

2020年05月
祥伝社文庫


2017/12/01


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宮本昌孝作品といえば、連作ものもあったとはいえ、殆どは長編ものの時代小説。
ひとつのテーマに基づいたとはいえ、短篇というのは珍しい。

本書は、名だたる戦国武将の<武者始め>を描いた短篇集。
登場するのは、
伊勢新九郎(後の北条早雲)に始まり、武田太郎晴信(後の信玄)、長尾虎千代(後の上杉謙信)、織田吉法師(後の信長)、日吉(後の豊臣秀吉)、松平次郎三郎元信(後の徳川家康)、最後は真田弁丸(後の幸村)と、その顔ぶれを見ただけでも十分魅力的。
そのうえ、各篇とも各武将の個性、特徴がこれ以上ないくらい見事に発揮されていて、短篇であっても読み応え十分。
そして短篇という手法故か、小気味良さがあって、楽しいことしきり。

手軽に楽しめて、頁数を遥かに超えた面白さあり。
なお、秀吉を描いた「やんごとなし日吉」だけは、ストーリィ内容に違和感を禁じ得ませんが(苦笑)、真田幸村と豊臣秀吉2人の漫才のような掛け合いはすこぶる愉快です。
ちなみに、7人の武将の中で抜群の個性を放ち、惹きつける魅力をもっているのは、信長と幸村かなぁ。


烏梅(うばい)新九郎/さかしら太郎/いくさごっこ虎/母恋い吉法師/やんごとなし日吉/薬研次郎三郎/ぶさいく弁丸

         

23.

「天離り果つる国(あまさかりはつるくに) ★★☆


天離り果つる国

2020年10月
PHP研究所

上下
(各1900円+税)



2021/03/10



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宮本昌孝さんの時代長編というと、豪快なストーリィという印象が強いのですが、本作はそれらと違う新しい印象を受けます。
とにかく爽快、明るく気持ちが好いのです。

その理由は、主人公である
津田七龍太と、その相方となるヒロイン=紗雪姫のキャラクター。そして2人を取り巻く人たちの好人物ぶり。さらに、領民と領主である内ケ嶋家が琴瑟総和し、平穏な生活を営んでいるその暮らしぶり、にあります。
その調和を乱すように干渉してくるのが、信長との闘いを繰り広げている石山本願寺=真宗勢力、そして七龍太と内ケ嶋家を破滅させようと策謀する羽柴秀吉。
それら凶暴な権力に対して、勢力争いから身を引き独流の道を歩もうとする七龍太と
内ケ嶋氏理らによる困難な闘いを描く戦国歴史ストーリィ。

本書題名ともなる
「天離(あまさか)る鄙の地」とは、空の彼方に遠く離れた辺境の地という意味だそうで、本ストーリィの舞台となる飛騨白川郷のこと。
そして、その地を治めてきたのが、
帰雲(かえりぐも)城に居を定める内ケ嶋家であり、現領主は氏理。
ヒロインの紗雪姫はその氏理の愛娘で、自らを「おらちゃ」と呼ぶ、領民からも愛される自然児。
その白川郷へ信長の命によりやって来たのが、天才軍師=竹中半兵衛の愛弟子である津田七龍太で、実は出生に秘密をもつ好漢。

戦国時代が舞台ですから、周辺国との争い、真宗勢力との争いがあり、さらに本能寺変後の秀吉と柴田勝家の争い、その後の秀吉と家康との争いと無縁ではいられません。
でも中央から離れた山岳の地だからこその平和があったと描かれます。

なお、舞台となる帰雲城、幻の城と言われているのだとか。
天正13年(1586年)に天正地震が発生、帰雲山の崩落により帰雲城は埋没し、内ケ嶋一族は全て死に絶えたとの由。そして、帰雲城のあった正確な場所は今も特定されていないのだそうです。
史実としては大悲劇ですが、時代小説としてはだからこそ潔い、という印象です。
最後の幕切れがまた開放感に満ちていて、実に爽快。
お薦めです。


【上巻】飛天の城/紅菊の女/覇者の手/政教の罅(ひびき)/信長の使/恋風の起(おこり)/叡山の怨/安土の猜/風雲の会/辺土の虚/共生の郷(さと)/父娘の謀(はかりごと)/艶絶の笑(えみ)/怨笛の譜/雪裡の談/師表の卒/離愁の刻/
【下巻】偏愛の越(こし)/富山の変/驚殺の晨/旭日の猿/龍虎の間/不図の道/白魔の真/宿昔の契/制覇の跫(あしおと)/棕櫚の剥(はがれ)/存亡の秋(とき)/無常の嵐/生生(しょうじょう)の光

          

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