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四コマ漫画「すーちゃん」等で人気のる益田さんの、初の小説集とあって興味津々。
「すーちゃん」を初めとして何冊か作品を読んでいますが、いずれも30代未婚女性の平々凡々という生活を描いた内容。小説作品もそうした基調は変わらずと思っていたところ、冒頭作品から際どいセックス話に、セックス好き？と思えるような女性主人公が続いて登場し「ええっ」とまずは驚いた、というのが正直な処。
しかし、ひと通り読み終わった後に振り返ってみると、女性主人公たちはいずれも30代。もうそれほど若いとは言えませんし、可愛っ子ぶりももう無理という年代ですが、逆に開き直っているのか。本音を平然と口にしても、あるいは行動してもう動揺するということはありませんし、またそれをうまく自己コントロールする巧妙さも備えている、という風。セックスもそうした中の一面の出来事でしかなかった訳かと、得心できます。
それにしても冒頭篇の最後のシーン、女性ならずとも大笑いしたくなります。
特にどうということもないささやかな出来事。でもそれなりに、人生における一場面であったことも事実。それを粗末にしていないところに「すーちゃん」と通じるものがあるかな、と思う次第です。
読み終わって振り返ってからの方が、本書の味わいは深まるように感じます。
五年前の忘れ物／二羽の鳥かご／とびら／セックス日和／デニッシュ／バリケン／堤防の夕焼け／角砂糖の家／バタークッキーの紙袋／ニリンソウ
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