近藤史恵作品のページ
No.1


1969年大阪府大阪市生、大阪芸術大学文芸学科卒。93年「凍える島」にて第4回鮎川哲也賞を受賞して作家デビュー。2008年「サクリファイス」にて第10回大藪春彦賞を受賞。同作品は第5回本屋大賞の第2位に選ばれた。


1.ねむりねずみ

2.天使はモップを持って

3.モップの精は深夜に現れる

4.賢者はベンチで思索する

5.ふたつめの月

6.サクリファイス −"サクリファイス"シリーズNo.1−

7.タルト・タタンの夢−"ビストロ・パ・マル"シリーズNo.1−

8.ヴァン・ショーをあなたに−"ビストロ・パ・マル"シリーズNo.2−

9.エデン−"サクリファイス"シリーズNo.2−

10.シティ・マラソンズ


サヴァイヴ、キアズマ、スティグマータ、マカロンはマカロン、ときどき旅に出るカフェ、インフルエンス、震える教室、みかんとひよどり、歌舞伎座の怪紳士、たまごの旅人

 → 近藤史恵作品のページ No.2


おはようおかえり、シャルロットのアルバイト

 → 近藤史恵作品のページ No.3

 


     

1.

●「ねむりねずみ」● ★☆


ねむりねずみ画像

1994年
東京創元社刊

2000年11月
創元推理文庫
(520円+税)



2007/10/30



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近藤史恵さんの第2作にして、歌舞伎を題材にしたミステリ。
しかも、本書は2つのストーリィから成ります。

ひとつは、梨園の御曹司にして今売り出し中の若手女形・中村銀弥(深見屋)が、突然物忘れが酷くなるばかりか声まで出なくなってしまうというストーリィ。こちらの主人公は、銀弥の若妻である一子
もうひとつは、歌舞伎の舞台中に女性の刺殺されるという殺人事件。しかもその女性は人気歌舞伎役者・小川半四郎(葉月屋)の婚約者だった。こちらの主人公は、中二階と言われる大部屋役者の女形・瀬川小菊。大学時代の同級生・今泉文吾が事件を調べる私立探偵として小菊の前に現れたことから、小菊も事件捜査にのめり込むことになる。
2つのストーリィはどう絡むのか。そして事件の真相は?

本作品は、次のような魅力的な要素を備えています。
歌舞伎役者の中に果たして犯人がいるのか?、という点がまずスリリング。そして事件を探っていく上で歌舞伎の名場面を語らずにはすみませんし、歌舞伎役者の舞台にかける執念ともいうべき情熱もまた真相に無関係ではない。
つまり歌舞伎あってこそのミステリです。
しかし一方で、物足りなさもある。主人公が一子、小菊、今泉と分散してしまったことは否めないでしょう。
そのため主人公像の点でも、ミステリーとしてのストーリィ(真相を含め)の点でも、深みあるいは奥行きをもつに至らなかったという思いが残ります。
もっともそう感じるのは、私が歌舞伎に造詣深くない所為かも。

なお、女形であるからには男性なのですが、その話し方からついつい女性のように感じさせられてしまう小菊の存在、「自分だけそんな面白そうなことをして」と小菊を非難する師匠・瀬川菊花のひと言は、ストーリィを別にして愉快です。

      

2.

●「天使はモップを持って」● ★★


天使はモップを持って画像

2003年03月
実業之日本社
(819円+税)

2006年06月
文春文庫化



2006/08/27



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日常ミステリ、それもオフィス版といった短篇集。
なんといっても、探偵役を務める清掃作業員・キリコの人物造形が楽しい。
“清掃作業員”というからてっきりオバサンだと思いきや、これが17、18歳くらいの若い女性。しかも、清掃作業を行うというのにその恰好といえば、綺麗に日焼けしたミニスカート姿で耳にはピアスが三つも四つも、という具合。
誰だって初めて目撃すれば、清掃するのにその恰好は何だ!と口を滑らしそうです。
このユニークなアンバランスさ、私の読んだ中では北村薫“覆面作家”シリーズに次ぐ魅力的なキャラクターです。

このキリコ(本名:嶺川桐子)、彼女が清掃を請け負っている会社のおじさん族だけでなく、女子社員からも人気がある。
そのキリコのワトソン役を勤めるのは、女性主体のオペレータールームに配属された新入社員・梶本大介
若い娘の清掃作業員が、年上の正社員をつかまえて「大介」呼ばわりするのですから、愉快ですね〜。

キリコが解いていく謎は、紛失した重要書類の謎、保険外交員の事故死、マルチ商法、摂食障害、セクハラ疑惑、切り裂かれたぬいぐるみ、悪質なトイレ汚し。
女性社員の多いオフィス内ならではの日常ミステリという面白味もありますけれど、本書の魅力は清掃作業員の立場を超えて活躍するキリコの「クールで知的」な姿にあることは間違いなし。
最後はどうなるのかとハラハラしましたが、中味を知ってホッ。最後の最後で主人公達にドキドキさせられました。その分、読後感は爽快。

※なお、題名の「天使」とはキリコのことではなく、「掃除をしよう」という気持ちのことなのだそうです。

オペレータールームの怪/ピクルスが見ていた/心のしまい場所/ダイエット狂想曲/ロッカールームのひよこ/桃色のパンダ/シンデレラ/史上最悪のヒーロー

     

3.

●「モップの精は深夜に現れる」● ★☆


モップの精は深夜に現れる画像

2005年02月
実業之日本社

(819円+税)

2011年05月
文春文庫化



2006/08/28



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前作に比べて楽しさが減った感じです。
前作では語り手が大介であり、ホームズ=ワトソンのコンビぶりが楽しかったのですが、キリコが結婚して仕事先を変わったことから大介も降板。
キリコの清掃仕事も清掃会社からの下請けという具合に変わっているようで、前作にあったような正社員たちとのアットホームな雰囲気が感じられなくなっています。
日常ミステリではあるものの、犯罪性はやや強くなったかな。

各章毎、キリコが清掃する先の会社も変わり、各会社でトラブルの矢面に立った人物が各章での主人公となって第一人称で語るという構成になっています。
その中で「悪い芽」は娘とのすれ違いに悩む中年課長が主人公でまだアットホームな感じが残っています。
社員の犯罪を摘発するのも良いけれどそんなやり方は・・・、猫の毛アレルギーの女性社長が急死した謎、二股をかけられた女性モデルがはめられた罠。
「悪い芽」の他は、名前と容姿のギャップに悩んだり、二股をかけられていたのが妊娠で判明したとか、女性らしい悩みごとも描かれているのが特徴。それをスッキリと解決していくキリコの姿はむしろ前作以上で爽快です。
そして最後の「きみに会いたいと思うこと」では、大介が再登場すると共に、キリコ自身の状況と悩みが描かれます。キリコ・ファンとしてはこの大団円部分が見逃せません。

※なお、続編の表題は、結婚のため天使からランクダウンし、今のキリコは“モップの精”辺りだろうということらしいです。

悪い芽/鍵のない扉/オーバー・ザ・レインボウ/きみに会いたいと思うこと

    

4.

●「賢者はベンチで思索する」● ★☆


賢者はベンチで思索する画像

2005年05月
文芸春秋刊

(1700円+税)

2008年06月
文春文庫化



2005/07/10



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ファミレス・ロンドでバイトをしている七瀬久里子21歳と、いつもその店に来てはコーヒー1杯で4時間程粘っていく老人とのコンビで描く、日常ミステリ。
ファミレス以外の時間はいつも公園のベンチに坐っている、シャツもよれよれの老人をてっきりホケ老人と思い込んでいた久里子でしたが、どうしてどうして頭の動きもかなりシャキッとしている。偶然に話をするようになった久里子は、周辺で起こった事件のことをいつしかその国枝老人に相談するようになります。そんな2人が3つの事件を解き明かしていきます。

率直にいって、3つの事件とも新しさはあまりない。真相は割と容易に察せられます。
それより、国枝老人と知り合う事によってフリーターの久里子に前向きな心が育っていくこと、また犬を可愛がる気持ちが、ひきこもりの弟を気遣う心が生れ、ストーリィ全体が和んでいくような雰囲気があります。そこが本作品の魅力。その辺りがとても気持ち良い。
久里子の七瀬家では、最初の事件が契機となって犬を2匹買うことになりますが、その2匹も本書の重要な登場人物(?)です。
人懐っこく陽気なメスのアンと、人に懐こうとせず無愛想なオスのトモ。それまで犬を飼ったことの七瀬家ですが、久里子も他の家族も2匹への愛情をすぐに強めていきます。私の実家も今の家もこれまでペットを飼ったことがないのですが、2匹の可愛らしさにはついつい魅せられてしまう。
この2匹の存在がストーリィを楽しいものにしてくれていると言って、間違いありません。
国枝老人は何故ボケ老人のフリをしているのか。その真相が明らかにされるのは第3章になってから。

ファミレスの老人は公園で賢者になる/ありがたくない神様/その人の背負ったもの

   

5.

●「ふたつめの月」● 


ふたつめの月画像

2007年05月
文芸春秋刊

(1571円+税)

2010年05月
文春文庫化



2007/06/03



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契約社員からやっと正社員になれて喜んだのも束の間、七瀬久里子は突然クビを言い渡されます。しかし、後日その頃の同僚に出会って聞かされたところ、久里子が突然辞めたことになっているという。何があったのか。
ちょっと信じ難い話だけに、どんな企業ミステリ?と思って読んだのですが、3篇とも割りと日常的なミステリ。
ただ、賢者はベンチで思索するをすっかり忘れていて、その続編になる作品とは思いもしませんでした。

クビと辞職という食い違いの謎、小園明日香という18歳の女の子が「殺しちゃうかも」と告げたことの謎、轢き逃げ事件の謎と、一応ミステリですけれど、前作以上に久里子の青春ストーリィという印象を強くします。
前作で七瀬家の家族となった2匹の犬、アントモは相変わらずストーリィを楽しいものにしてくれています。
弟のはヒキコモリを脱し、ちゃんと大学に通っている様子。しかし、ロンドでのバイト時代に知り合った弓田クンとは、彼がイタリアにコック修業に行ってしまったため、友達以上恋人未満という曖昧な状況が2年間続いています。
そんな久里子の悩みと、不可思議な謎を解く相談相手になってくれるのは、前作で国枝と名乗っていた謎の老人・赤坂。その赤坂とは、アンとトモを連れて散歩にでたときいつも公園前の歩道橋の上で出会うという次第。

若い女性主人公の抱える仕事の悩み+恋の悩みという青春ストーリィの中に、ミステリが入り込んだという観のある一冊。このシリーズ、まだまだ続くのでしょうか。

たったひとつの後悔/パレードがやってくる/ふたつめの月

      

6.

●「サクリファイス Sacrifice」● ★★☆       大藪春彦賞


サクリファイス画像

2007年08月
新潮社刊
(1500円+税)

2010年02月
新潮文庫化



2007/10/25



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自転車ロードレースを舞台にしたストーリィ。
プロスポーツものということでパスしようと思ったのですが、評判が良さそうなので思い直して読むことにした作品。

主人公の白石誓はチームの中でまだ新人。ロードレースはチーム競技というものらしく、誓はまだ先輩たちの指示に従いながら大会に参加するというレベルです。
その誓にとっては、チームのエースになる、勝つ、ということより走る爽快感を味わうことの方が喜びらしい。とくに坂道を駆け下りる時の疾走感こそ。そんな誓から伝わってくる爽快感は竹内真「自転車少年記に共通するものです。
また、誓と同期の伊庭が競い合う姿は、佐藤多佳子「一瞬の風になれもちょっと彷彿させてくれます。
読み始めてみると主人公の人物設定の所為か、プロスポーツ特有のギラギラしたものはない。自転車競技そのものについて初めて知るという興味もあって、前半は爽快な青春スポーツ小説といった観があります。

しかし、作者がミステリ作家の近藤史恵さんであるからには、ただの青春スポーツ小説で終わることはありません。そこにミステリ、サスペンスが入り込んできます。
誓はアシストとしての役割を期待されて出場メンバーに加えられたものの、レース展開が幸いして予想外の好成績を残してしまいます。過去に、チームのエースを脅かすばかりだった若手の有望選手が事故に遭い、選手生命を奪われた事故があった。果たしてそれは繰り返されるのか。
ミステリはミステリですが、本作品の場合それはストーリィ要素のひとつに過ぎないと言って良いでしょう。
惨劇は事実となって起こりますが、それは哀しみより感動をもたらしてくれます。
最後の結末も実に爽やか。青春ミステリの佳作といって間違いありません。

     

7.

●「タルト・タタンの夢 Un reve de Tarte Tatin」● ★☆


タルト・タタンの夢画像

2007年10月
東京創元社刊

(1500円+税)

2014年04月
創元推理文庫化



2007/11/16



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カウンター7席、テーブル5つという下町の小さなフランス料理店“ビストロ・パ・マル(悪くないの意)”
シェフの三舟忍は10年以上もフランスの片田舎のオーベルジュやレストランを転々として修業してきたという変わり者で、無精髭に長い髪を後ろで束ねるという姿恰好。それでも三舟が作る気取らない料理は美味しく、店の人気は底堅い。
スタッフはそんな三舟のほか、正統派のフレンチ料理人・志村洋二、OLから転向した20代後半の俳句好きソムリエ・金子ゆき、そして主人公であるギャルソンの高築智行という4人。

そんなビストロ・パ・マルを舞台に、お客が持ち込む料理に関わる謎を、無口なシェフ・三舟が鮮やかに解き明かしてみせるという、日常ミステリ連作短篇集。
何よりもビストロ・パ・マルの居心地良い雰囲気、三舟が次々と作り出す美味しそうな料理の数々、4人のコンビネーション+料理の薀蓄+謎解きという楽しさに充ちているのが、本書料理ミステリの魅力。

・常連の西田氏は何故婚約者の料理を食べて体調を崩したのか?
・粕屋氏の奥さんの料理は本当に手抜きだったのか?
・王様を選ぶお菓子の中のフェーブはどこに消えたのか?
・脇田氏の奥さんは何故突然に家出したのか?
・酒を持ち込めなかった筈なのに何故野球部員は泥酔したのか?
・フランス人の恋人は何故「最低のカスレ」を作ったのか?
・人気店のチョコレートの数は何故素数なのか?

井上尚登「厨房ガールは読書の秋+食欲の秋にちょうど良い連作短篇ミステリと評しましたが、本書は深まりゆく秋、深まりゆく食欲に格好の連作短篇ミステリと評したい。

タルト・タタンの夢/ロニョン・ド・ヴォーの決意/ガレット・デ・ロワの秘密/オッソ・イラティをめぐる不和/理不尽な酔っぱらい/ぬけがらのカスレ/割り切れないチョコレート

       

8.

●「ヴァン・ショーをあなたに Vin chaud pour vous」● 


ヴァン・ショーをあなたに画像

2008年06月
東京創元社刊

(1500円+税)

2015年02月
創元推理文庫化



2008/07/13



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美味しい料理+日常ミステリ、“ビストロ・パ・マル”シリーズ、第2弾。
いろいろな客を迎えてその謎解きをする当店の顔ぶれは、シェフの三舟志村に、ソムリエ=金子ゆき、ギャルソンの僕(高築)と、前書どおりのメンバー。

美味しい料理の解説+薀蓄を楽しみつつ、ちょっとしたミステリ小話も楽しめるという、軽く読めて楽しい気持ちになれる軽快な一冊。

・スキレット(鉄のフライパン)が田上家では何故錆びるのか?
・バターも使わず野菜だけのピストゥ、本当に伝統的?
・パン屋の新規開店の直前、何故片方の女性は姿を消したのか?
・ブイヤベースばかりを注文する若い女性に三舟シェフは恋?
・ずっと恋してやっと一緒になれた彼女が消えた理由は?
・「星の王子様」に籠められた想いは?
・ヴァン・ショーの名人女性は何故作るのを止めたのか?
※最後の2篇は、三舟シャフ若き頃、フランスで修行中に出くわした謎解き話という、プレゼント的2篇。

少ない客席の小さなフレンチ・レストラン、シェフは心の篭った料理を作り、それを息の合ったメンバーがサービスしてくれる。
そんな店で食べる料理こそ、美味しいんですよねぇ。
“パ・マル”のようなレストランがあったら、常連客になりたいところです。
(※銀座の端にある○○○○○。30年位前、オープンしてから暫くはそんな雰囲気があって、よく食べに行ったものでした。)

錆びないスキレット/憂さばらしのピストゥ/ブーランジュリーのメロンパン/マドモワゼル・ブイヤベースにご用心/氷姫/天空の泉/ヴァン・ショーをあなたに

   

9.

●「エデン EDEN」● ★★☆


エデン画像

2010年03月
新潮社刊
(1400円+税)

2013年01月
新潮文庫化



2010/04/21



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自転車ロードレースの爽快な魅力にミステリを加えた面白さで読み手を魅了したサクリファイスの続編。
率直に言って前作のような興奮は味わえないだろうなぁと思ったものの、あの主人公=白石誓(ちかう)が今なお、本場ヨーロッパで頑張っている姿を再び見ることができるのは嬉しい。

本書での誓は、スペインのプロチームからフランスのプロチームに移ってまだ半年ばかり。
しかし、スポンサーが今季限りでの撤退を決定、来季チームが存続できるのか、あるいは他チームと契約できるのか、という誓にとっては重大な事態となる。
そんな状況下で迎えた“ツール・ド・フランス”。そして今年そこに登場するのは、フランス期待の新星=ニコラ・ラフォン
一方、誓が所属するパート・ピカルディのエースはフィンランド人のミッコ・コルホネン
チームとしてミッコの優勝にかけるのか、それとも他チームのニコラをアシストして仏国内の自転車競技熱を高め、チーム存続に賭けるのか。誓たちは複雑な状況下でレースに臨むことになります。

この続編にも勿論ミステリ要素はありますが、それは付け足しのようなもの。
本書の読み応えは、日本人としてたった一人、ツール・ド・フランスに出場する誓が、どうこのレースを走るのか(ロードレース選手としてどう道を選択するのか)にあります。
その迷いは、おそらく誰もが一度や二度は必ず経験するであろうこと。だからこそ、読み手は誓に共感を抱くことができます。
その意味で、「サクリファイス」を青春篇と言うのなら、本書は成長篇。

ツール・ド・フランス(Le Tour de France)は、毎年7月にフランスおよびその周辺国を舞台に行われる、23日間に亘るプロの自転車ロードレース。
本作品は、その始まりから終わりまで、自転車ロードレースの仕組みと面白さを実況中継のように語りながら、ヨーロッパ各地を回る旅の楽しさを味わわせてくれるという、魅力いっぱいのストーリィ。
「サクリファイス」の自転車競技に詳しくない人も、ロードレースの楽しさ満喫できること、請け合いです。

                    

10.

●「シティ・マラソンズ City Marathons」● ★☆




2010年10月
文芸春秋刊
(1200円+税)

2013年03月
文春文庫化



2010/11/25



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3人の女性作家による、NY・東京・パリという3都市のシティマラソン・ストーリィ。
(株)アシックスが2008〜10年にWEBサイトおよびモバイルサイトで実施した期間限定のキャンペーン
「マラソン三都物語 〜42.195km先の私に会いに行く〜」のために書き下ろされた3篇とのこと。

まずは、三浦しをんさんの「純白のライン」
舞台は
ニューヨーク。走る人も、沿道で応援する人も、和気藹々としていてとても楽しそう。シティマラソン大会の良さ、魅力が満開という感じです。本を読むことによってこの楽しさを味わえる、なんと贅沢なことか。
また、ストーリィに篭められたメッセージもすこぶり心地好い。

それと対照的にあさのあつこさんの「フィニッシュ・ゲートから」は、人生ドラマ含み。しかし、「純白のライン」で単純な楽しさを味わった後となると、ドラマを作り過ぎ、という印象です。

近藤史恵さんの「金色の風」は、冒頭にミステリ風味あり。こちらも人生ドラマ風ですが、若い女性が主人公であるだけに瑞々しさがあります。パリを舞台にしての再スタート・ストーリィ。

いずれにせよ、女性作家3人各々の持ち味を生かした、シティマラソン・ストーリィ。主人公たちと一緒になって走り出す気持ちで楽しめます。

三浦しをん・・・「純白のライン」
あさのあつこ・・「フィニッシュ・ゲートから」
近藤史恵・・・・「金色の風」

       

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