神田 澪(みお)作品のページ


熊本県出身。2017年よりTwitter上で140字ちょうどの物語を投稿し始める。フォロワー数は14万人超、人気作は17万いいねを獲得。(2021年01月現在)


1.最後は会ってさよならをしよう 

2.真夜中のウラノメトリア
 

 


                   

1.
「最後は会ってさよならをしよう ★★☆


最後は会ってさよならをしよう

2021年01月
角川書店

(1300円+税)



2021/02/19



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ショートショートと言えば、以前は星新一さん、今なら田丸雅智さん。
それを更に超越するスーパーショート、何と 140字小説!
何故 140字かと言うと、掲載の場である日本版Twitter の文字数制限がちょうど 140字だからだそうです。

そんなに短いなら、軽くあっさり楽しむ短篇だろうぐらいに思って読み始めたのですが、とんでもない! たとえ 140字(1頁)だろうとそこには見事に小説の世界が広がっているのです。
短いが故に長い展開はもちろんなく、一時の場面を描いたものが殆ど。
でもその一時の前には、長いドラマがあったことは容易に想像できます。だからこそ小説。
それも斬新な味わいに、140字でも小説が書けるんだという驚きと興奮。いやー、参りました。

140字小説に、140字小説ですけれど続けて読めば連作物語にもなる「連作」、それに加えて初公開となる短編、中編にエッセイも合わせ 合計141篇収録とのこと。

ストーリィ内容としては、恋愛の他、SF風、ミステリ風のものもありと多彩ですが、恋人との別れを描いた話がとくに多いと感じます。
また、だからこそ逆に恋の進展を感じさせる話が瑞々しく、喜びを以て感じられます。

斬新な小説世界に足を踏み入れたい方に、是非お薦め!


はじめに
【140字の物語】
ナチュラル/別れ代行サービス/名刺/一枚の重さ/絶対に恋人ができる呪文/書けない書類/アンチは覆面の向こう/帽子が似合う人/サプライズ/初デートはファミレスで/彼は家事をしない/完璧なファン/二人の食卓/杖と手/人生やり直しボタン/彼女が喜ぶ旅行/君と君の物語/髪の長い私達/絵手紙/寿命が延びるおまじない/見えなかったもの/自慢合戦/君の好きなところ/デートの帰りに/いい人/戸棚の中にいっぱいの/セーブデータ/上機嫌な朝/幸福な日々/俳優志望の彼/スマートリング/言葉だけの恋人/夜になったら会いに行く/裏アカ/過去整形/あなたのため/妻は恋愛小説家/ぬるく揺れる/一年だけの交際/許してあげる/電話に出ない理由/ひどい彼氏/愛は宝石になる/親友との約束/二年と一ヵ月/義理チョコ/ヒロインにはなれない/君に会う前に/いいねして/request for you/春は耳元から/花束のある誕生日/裏技/二人の夜明け/人生が変わる夜/彼は追いかけない/嫉妬/お手紙をください/最後は会ってさよならをしよう
【140字の物語 連作 ディスタンス】
スマイル/恋と余命/君をミュート/不思議な世界/怪物と人間/リュックの中の秘密/声が聞きたい夜/好みの香り/親友の結婚式/大人の告白/気が利く彼氏/彼が生まれた日/名前で呼んで/パーフェクト・ディナー/二人で抜け出そう/酔った勢い/ペンネームと少女の恋/トラップ/重い彼女/日に焼けた手紙/本棚の幽霊/リフレイン/好きな人の好きな人/二人を繋ぐもの/あの恋を繰り返すには/正反対の恋人/愛の注ぎ方/幸せになってね/嘘でいいから/寝ている隙に/結婚おめでとう/本を超えて/十九歳の夜/毒の恋/電車に乗ったままで/年下の彼氏/天才との距離/ボートに乗って/本当のこと/正しい願いごと/ぐうたらな子供/推しにないもの/贈り物/erase/たばこはやめた/空を歩く/無言のバス/一分前までの恋人/埋め合わせ/片思いは終わり/同僚は恋人にしない/最後の花火/今日からは家族/乙女の皮を被った獣/ママとの約束/別れるタイミング/笑えない画面をもう一度/文通/delete/帰りにはプリンを/全て忘れた私へ/ネクタイの秘密/ノートを開く時/離婚の後で/たった一言/なんでも願を叶える券/初めての一人旅/浮気/どれくらい好き?/恋人にはならなかった/元カノの記憶/同期たちの悪戯/結婚相手との出会い/いつかプロポーズする/深夜の散歩
【短編】本の落とし物/【短編】透明な花瓶/【中編】かえる
【エッセイ】金欠のサンタさん/アルバイト戦記/遺伝酒
おわりに

                   

2.
「真夜中のウラノメトリア ★★




2023年03月
角川書店

(1400円+税)



2023/04/16



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前作同様、一篇一篇は僅か 140字の超短篇小説。
しかし、これを連作として読むと、7つの星を巡る旅を描く、壮大な遍歴ストーリィとなっています。

※星を巡る旅といえば、
サン=テグジュペリ「星の王子さまを連想される方もいるでしょう。私もそうでしたし。
似ている処はありますが、本書ではずっと現代的な感覚を味わえます。
もちろん独立した超短篇として読めますが、同時に連作長編でもある、こうした仕掛けは面白いし、私は好きです。

失踪したままとなった父親が主人公に残した手紙。その手紙を読んだ主人公は父親の跡を追って、
愛犬ルクと共に旅立ちます。

感じるのは主人公の孤独さ。だから旅に出たとも言えますが、主人公が巡る星でその寂しさがひとしお胸を打ちます。
でも完全に一人きりでないのは、愛犬ルクと一緒の旅だから。
そして、ある星では、友人となる女の子にも出会います。
それなのにああ、主人公がルクとの別れを選ぶ場面は、身を切るように悲しい。

気楽に読めて、でも一篇一篇に味わいや悲哀があり、いつの間にか長編としても読めている、という楽しさあり。
長いストーリィが苦手な方に、是非手に取っていただきたい一冊です。


「ウラノメトリア」とは、1603年にドイツのバイエルによって出版された世界で初めての全天星図のこと。

はじめに/プロローグ/1.秘密の星/2.嘘の星/3.動物の星/4.ロボットの星/5.愛の星/6.魔法の星/7.天使の星/エピローグ

        


   

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