城 昌幸作品のページ


1904(明治37)年東京生。38(昭和13)年「週刊朝日増刊」に「若さま侍捕物帖」の第一作「舞扇三十一文字」を発表。46年岩谷書店から招聘され推理小説誌「宝石」を創刊、後に岩谷書店社長、宝石社社長となる。49年捕物作家クラブを創立、副会長に就任。76年11月死去。(※77年千枝子夫人が全蔵書を大田区立馬込図書館に寄贈、「城昌幸記念文庫」が設けられる)

  


 

●「若さま侍」(縄田一男編) ★★

 


2003年1月
中公文庫刊

(629円+税)

 

2003/03/02

縄田一男編“時代小説英雄列伝”の中の一冊。
私にとって懐かしい“若さま侍”は、市川新之助(現・市川団十郎)主演のTVもの。如何にも若さまらしい鷹揚な雰囲気が楽しめました。
縄田さんの解説によると「若さま侍捕物手帖」は、昭和初期の“五大捕物帖”の最後に登場したものの由。(ちなみに他の4つは、「半七捕物帳」「右門捕物帖」「銭形平次捕物控」「人形佐七捕物帳」)。

ミステリ作品としては、最近のもののような緻密なプロットはないものの、読み手も一緒に謎解きを楽しめるという雰囲気が楽しい。
また、主人公・若さまののんびりとした鷹揚な人柄も魅力です。
そこは他の捕物帖のような本職探偵ではなく、与力、岡っ引という本職から持ち込まれる事件を暇潰しの如くに解決する、という設定故でしょう。縄田さん曰く、オルツイ「隅の老人」を原型とする安楽椅子探偵タイプとのこと。
柳橋の船宿・喜仙に居候し、昼間から喜仙の一人娘・おいとに杓をさせているのが常。そして、「ハッハッハ!」と大きな笑い声をあげること、侍に似合わないざっくばらんな口調が、特徴。しかし、正体は一切不明で、何処の若さまか、作者自身も特定しないままだったそうです。
※本書に収録されているのは、短編5篇と、「若さま侍」の原型となった「べんらんめえ十万石」の計6篇。

【若さま侍捕物手帖】舞扇の謎/首くくり指南/天守閣の狸/かいやぐら/振袖猫/【居候剣法】べらんめえ十万石/【解説】粋で洒脱な謎のヒーロー

 


  

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