1998年4月
集英社刊
(2800円)
2005年11月
集英社文庫化
1998/06/30
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冒険活劇のように面白い、という作品では決してありません。私の場合、じっくりと読まされてしまったというのが正直な印象。
描かれる人物は、フランソア6世・ド・ラ・ロシュフーコー公爵(1613〜80)。ブルボン王家の縁戚でもある、フランスの大貴族です。彼が生きたのはルイ13世から14世にかけての大内乱時代。
若くして宰相リシュリューに抵抗し、王妃アンヌ・ドートリッシュ、シュヴルーズ公爵夫人の側に加担したり、ロングヴィル公爵夫人らと反王権のフロンドの乱に加わったりと、なかなか一筋縄ではいかない武人だった様子。
マザランまで登場するとあっては、当然思い出すのはデュマ描くダルタニャンであり、本書はもうひとつのダルタニャン物語を読むようでした。
50才を過ぎてからは文筆活動にはいり、「箴言(警句)集」を出版して名声を得る。「クレーヴの奥方」を書いたラ・ファイエット夫人とも親しく交流した仲。そのほかにも、モリエール、ラ・フォンテーヌも登場。
公爵の書いた警句が好みにあうならもっと楽しめた作品でしょうが、私の理解が今一歩不足。
でもなかなかの力作であるのは間違いありません。
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