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●「1980アイコ十六歳」● ★★ 文藝賞 |
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1983年9月 |
市立図書館での不要本放出の時、たまたま見つけて貰っておいた本。いずれ読もうと思いながらそのままに
なっていたのですが、漸く読書。堀田さん以来の高校生受賞と言われる綿矢リサ「インストール」に刺激された所為もあるかもしれません。 20年も以前の高校生活が、アイコという女子高校生を主人公にして描かれていますが、少しも古いとは感じません。ただ、それは、私自身の高校生活を基準に考えてしまうからかもしれません。 本書の魅力は、その溌剌とした点にあります。主人公アイコは、ストレートに、臆すことなく自分の気持ちを周囲にぶつけていきます。 そんなアイコは、作者が高校生だからこそ、自分たちの分身として描くことができた主人公だろうと思います。 高校生がありのままに自分たちの姿を描いている、という躍動感に充ちています。それが、この作品の魅力。 そして、高校生がここまで描ききっていることに、驚かされる作品でもあります。 今読んでも、本書は十分に新鮮です。しかし、綿矢リサ「インストール」と読み比べたなら、2作の間にまたがる年月の存在はまごうことなきものなのかもしれません。 |