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「アフターブルー」 ★★ | |
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納棺師、遺品整理士、生花装飾技能士、と葬儀関係のプロを抱える株式会社C・F・C。 その中でも特別な部署が、<納骨部特殊復元処理衛生課>(通称:二課)。事故や事件等で損傷の激しい遺体を、生前の姿に蘇らせる=復元するのがその役割。 冒頭、納骨部に採用された新入社員4人(新卒、中途各2人)を前に二課長の有明が業務の説明をするところから始まります。 その4人の中から新卒者の東雲が二課に研修配属され、二課のメンバーは、東雲が指導担当者として希望した八宵(やよい)、八宵と同期入社の朝未(あさみ)、主にアフターフォローを担当している入相と、計4人。 上記面々の元に、次々と悲惨な状況の遺体が持ち込まれ、八宵(唯一の女性)、朝未らが処置をしていく姿が描かれます。 本作におけるもう一つの読み処、いや主となるのは、上記4人それぞれのドラマです。 本来、4人が抱える深刻な人間ドラマと、遺体の復元という仕事は関係ないものですが、人と接することに支障を抱えてしまった4人にとって、直接遺族と接することもない納棺師の仕事はうってつけのものだった、という関連付け。 と言って、遺体の処理を行う仕事は、そんなことで就けるような安易なものではありませんが。 遺体の復元という特殊な仕事部分と、4人それぞれの苦悩を重厚に描いたストーリー部分をバランスよく配し、読み応えのある作品に仕上げた処が素晴らしい。お薦めです。 ※遺体の復元処置については、佐々涼子「エンジェルフライト」を忘れることができません。 ※仕事内容は異なりますが、葬儀会社を舞台にしたシリーズとして、長月天音「ほどなく、お別れです」があります。 0.有明の月/1.朝未き(まだき)/2.入相(いりあい)の鐘/3.宵の明星/4.東雲(しののめ)の空 |