ファビオ・スタッシ作品のページ


Fabio Stassi 1962年イタリア・ローマ生。ローマ大学に司書として勤務。執筆はもっぱらローマ=ヴィテルポ間の通勤列車車中で。2006年社会派ミステリ「悪ふざけ」にて作家デビュー、同作にてヴィットリーニ賞新人賞、「読書セラピスト」にてシェルバネンコ賞を受賞。その続編として「どんな巡り合わせにも魂が宿る」(2018)、「思いのままに殺す」(2020)があるとのこと。

 


                                   

「読書セラピスト」 ★★          シェルバネンコ賞 
 
原題:"La lettrice scomparsa"     訳:橋本勝雄




2016年発表

2022年02月
東京創元社

(2100円+税)



2022/04/16



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読書セラピーの仕事を開始したヴィンチェ・コロソが、同じアパートに住むイザベッラ・パロディ夫人の失踪事件を探偵する文学的ミステリ。
つまり、読書セラピー&文学的ミステリ、という作品。

“読書セラピスト”という看板を掲げて商売を始めたものの、そう簡単ではありません。初めての女性客には逆ギレされたりと、冒頭から悪戦苦闘。これではアパートの家賃も払えるのかどうかと心配なところ。
そして、同じアパートの階下に住むパロディ夫人が行方不明となる事件が発生。最後に目撃したのはヴィンチェとのことで、警察は殺害事件ではないかとその夫を容疑者視するといった状況。

本好きとしては、悩みを抱えた人に対して相応しい本を勧めるという読書セラピーに興味があるところですが、ヴィンチェが挙げる本は海外小説が殆どで、一応内容の説明はあっても、今ひとつピンと来ないところが残念。

ミステリ部分は、思いがけずヴィンチェが探偵役を務めることになるのですが、その謎解きが文学作品に関わっているという点がミソなのですが、はっきりそうと認識しないまま何時の間にかそうなっていた、という感じで少々面喰った思いもあり。
なお、解決部分では、ルブラン“アルセーヌ・ルパン”シリーズの一作を思い出しました。

読み終えた後にもう一度ざっとお浚いをしてみると、本ストーリィの構成が良く分かる、と思います。

※ヴィンチェが挙げた小説の中で私の既読は次の3冊のみ。
 
ヘミングウェイ「移動祝祭日」、ホーソーン「ウェイクフィールド」、小川糸「あつあつを召し上がれ

     


         

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