アレクサンドル・プーシキン作品のページ


Aleksandr Sergeevich Pushkin  1799〜1837 ロシアの詩人、作家。ピョートル大帝に寵愛されたエチオピア人の曽祖父をもつ貴族の家庭に生まれる。叙事詩、抒情詩、戯曲、小説、短編小説等により、ロシア文学とロシア標準語の基礎を築く。青年士官との決闘により、38歳と若くして死す。

 


   

●「モーツァルトとサリエーリ」● ★★

 

1832年発表

1980年1月
河出書房新社
全集第3巻

 

2001/04/14

ウィーンの音楽家サリエーリは1825年に75歳で死にますが、その晩年は精神錯乱に陥り、1791年に35歳で死んだモーツァルトの毒殺を告白したと言われています。同時代人、および後世の史家はこの可能性を否定するようですが、当時はかなり信憑性をもって語られたらしい。
プーシキン作のこの劇詩は、サリエーリによるモーツァルト毒殺を前提にした、ごく短い作品です。
本作品におけるサリエーリとモーツァルトは、親友のような具合。サリエーリが、純粋に音楽に努力を捧げてきた実直な人物であるのに対して、モーツァルトは軽過ぎるくらいの楽天家。しかし、モーツァルトの作曲は、サリエーリを遥かに凌駕します。サリエーリだからこそ、モーツァルトの天才を正しく理解できるのですが、逆にそのことがサリエーリをして羨望者にならしめてしまう。苦しさのあまり、遂にサリエーリはモーツァルトに毒をもるに至ります。
モーツァルトとサリエーリという2人の作曲家の人物対比が、鮮やかです。
なお、サリエーリを決して単純な悪人としていない点は、シェーファー「アマデウスと共通しています。

    

読書りすと(プーシキン作品)

  


   

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