バロネス・オルツィ作品のページ


Baroness Orczyr 
1865−1947年 ハンガリー生まれの英国女流作家。代表作はフランス革命に題材をとった「紅はこべ」と、安楽椅子探偵ものの傑作「隅の老人」。

 


 

●「紅はこべ」● ★★
 原題:"The Scarlet Pimpirnel"       訳:西村孝次


紅はこべ画像

1905年発表

1970年05月
創元推理文庫

第34版

2005年12月
(640円+税)


1971/08/03

2007/07/15


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高校時代の夏休み、夢中になって読んだ歴史冒険小説のうちの一冊です。
時代背景はフランス革命勃発の1789年。舞台はイギリスとフランスを股にかけ、処刑されるところのフランス貴族を国外に脱出させる秘密結社
“紅はこべ”の冒険を描くストーリィ。

“紅はこべ”の首領であるイギリス人は誰なのか? フランス政府全権大使という名の下に、紅はこべの正体をつかむべくイギリスに送り込まれたのが、ショーヴラン
そのショーヴランに目を付けられたのが、かつて元フランス座の花形女優で、現在はイギリス貴族ブレイクニー卿夫人であるマルグリート
そのマルグリートは、あまたの求婚者を斥け、伊達者だけど間抜けという評判の高いパーシー・ブレイクニーと結婚したものの、世間の噂話を信じた夫の愛を失い、孤独な思いを抱えた日々を送っていた。

本書は冒険小説であることに間違いないのですが、その魅力の素は女性主人公マルグリート・サン・ジュストにこそあります。
願った愛情を得られず、不当な批難に堪えて失意の日々を送る美貌の女性。本ストーリィで彼女もまた危険に巻き込まれるのですが、それは彼女が愛を貫こうとするが故。

紅はこべの首領の格好良さも魅力ですが、それを凌駕して燦然と輝くのは、やはりこのマルグリートの艶やかさ。
マルグリートという女性主人公像が鮮やかであるからこそ、一度読んだら決して忘れられない歴史小説。

※ちなみに、当時夢中になって読んだ他の冒険小説は、サバチニ「スカラムーシュ」、マッカレー「怪傑ゾロ」、デュマ「黒いチューリップ」。

     


 

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