デイヴィッド・イーリイ作品のページ


David Ely  1927年米国シカゴ生、ハーバード大学卒。年本名:デイヴィッド・イーライ・リリエンソール・ジュニア。新聞記者から作家に転身し、1962年「ヨットクラブ」にてMWA(アメリカ探偵作家クラブ)最優秀短篇賞を受賞。

 


   

●「ヨットクラブ」● ★☆
 
原題:"TIME OUT"      訳:白須清美

  

 
1962-68年発表

2003年10月
晶文社刊

(2600円+税)

 

2003/12/11

帯文句に“異色作家短篇集”とあります。作者D・イーリイを指してのことですが、同じく異色作家と言われるジョン・コリアのような強烈な印象はありません。言うなれば、明るく乾いたブラックユーモアを交えた作品集、というところでしょうか。
ブラックユーモアと言っても、皮肉・風刺に富んだものというより、虚を衝いたストーリィと感じます。
収録作品は15篇。中篇と言うべき「タイムアウト」を除き、どれもごく短いストーリィです。

印象に残った作品は次のとおり。
厳格な寄宿学校かと思えば最後にその正体が披露される「理想の学校」。成功した実業家がメンバーになることを夢見たヨットクラブの、その秘められた楽しみ事を描く「ヨットクラブ」(MWA賞受賞)。
原子力事故で一切が消滅したイギリスの復元計画を描く「タイムアウト」。自分が神であると信じ、その結果として事業に成功する人物を描く「G.O'D.の栄光」。冷え切った関係の夫婦が意地をはりあう様子を描いた「夜の客」
とくに「タイムアウト」は、過去も含めてイギリスを復元しようという計画に動員された学者が、良心から疑問を覚え、警告のため悪戯を仕掛けたのにかえって計画の盲点を言い当てて全員の喝采を得るという逆転劇。その見事な着想に思わず拍手。

ちょっと気分転換したい時に読むには、格好の一冊です。

理想の学校/貝殻を集める女/ヨットクラブ/慈悲の天使/面接/カウントダウン/タイムアウト/隣人たち/G.O'D.の栄光/大佐の災難/夜の客/ペルーのドリー・マディソン/夜の音色/日曜の礼拝がすんでから/オルガン弾き

 


   

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