ランキン・ディヴィス作品のページ


Rankin Davis  キース・ランキンとトニー・ディヴィスという英国ニューカッスルの元弁護士による共同執筆のペンネーム。映画の脚本を2人で書いたのがきっかけとなり、96年「黒い蘭の女」にて小説デビュー。

 


   

●「デッドリミット」●  
 
原題:HUNG JURY” 




1997年発表

2001年5月
文春文庫刊
(790円+税)

 

2001/07/22

2つのストーリィが同時並行して進むサスペンスです。
ひとつは、英国首相の兄であり、法務総裁であるジェフリー・ヘイヴァシャムのテロリストによる誘拐ストーリィ。
もうひとつは、殺人事件をめぐる陪審員の評議ストーリィ。
誘拐犯からの政府への要求は、陪審員が評決を出す前に真犯人を探し出せ、というもの。したがって、2つのストーリィは関連するものです。「デッドリミット」というのは、そのストーリィ故の邦題ですけれど、陪審員がいつ評決に達するかはまるで判りません。そのため余計に緊迫感がある、と言えるかもしれませんが、私としては間延びしてしまい、逆に緊迫感が薄れてしまった感じがします。陪審員室の最初のやり取りで、評決に達するまでかなり時間がかかりそうなことが暗示されていますから。
タイムリミットが設定されているサスペンスという点で、アイリッシュ「暁の死線を連想します。時限が設定された故の緊迫感という点では、同作品の方が優っています。
前半は平凡な展開です。本書が面白くなってくるのは後半から。それも、陪審員の間に駆け引きの妙が生まれてきて、緊迫感が増してくるからです。ここにおいて、12人の陪審員各々の個性が重要になってきます。なお、陪審員の中で重要な役割を担うのは、陪審長のアンクル・ボブと、建築士のアレックスの2人。
陪審員が評決に至る過程は面白かったものの、結末はもうひとつ物足りず。評価は★ひとつに留まりました。

 


   

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