ウィリアム・コングリーヴ作品のページ


Willam Congreve 1670-1729 英国のイングランド中部スタッフォードシャー生。1692年32歳の時に執筆した喜劇「老独身者」が絶賛を浴びる。喜劇「二枚舌」「愛には愛を」、唯一の悲劇「喪服の花嫁」にて劇作家としての名声を不動のものとする。

 


  

●「世の習い」● ★☆
 
原題:"THE WAY OF THE WORLD"     訳:笹山隆




1700年発表

2005年6月
岩波文庫刊

(660円+税)

 


2005/06/26

王政復古期のイギリスにおいて一斉風靡した“風習喜劇”
その完成者であるコングリーヴの最高傑作の由。
(※“風習喜劇”とは、特定社会の風俗、風習を題材にした喜劇のこと)

と言われてもこの喜劇、かなりややこしい。
英国喜劇は割りと判り易く、直球勝負的な展開が多いと思っているのですが、この作品はかなり異なります。
要はミラベル(男性)とミラマント(女性)をめぐる恋愛喜劇なのですが、その底流に財産目当てがあり、何人もの人間がその財産分けの鍵を握っているレイディ・ウィッシュフォートをあの手この手で騙そうとする。
敵役の代表格がフェイノールなのですが、その夫人はウィッシュフォートの実娘であり、ミラベルの元愛人。一方、フェイノールの現愛人であるマーウッドは、ミラベルに気があるもののフェイノールに協力してウィッシュフォートを罠にかけようとする。
いったい各人の本音はどこにあるのやら。昼寝ボケした頭ではなかなか整理つかず、というところでした。
やっと結婚申込段階に進んだミラベルとミラマントによるお互いへの条件提示は、本気で結婚する気があるのか、結局は2人の結婚も社会的体裁を整えるだけのものなのかと思ったのですが、それこそお互いへの愛情を示すものだったとか。う〜ん、複雑過ぎて理解が追いつきません。そのため、面白さも今一歩。

解説によると、清教徒革命によってシェイクスピアを代表とするエリザベス朝演劇は衰退してしまったという。
その結果、チャールズ2世即位によって成った王政復古期の演劇は、フランス演劇の影響をかなり受けたものだったらしい。
そうだとすれば、愛欲絡みのゴタゴタしたストーリィ展開も理解できるというもの。ちなみに、この時代から女優が誕生したとのこと。
英国演劇の変わり目という点では、注目したい作品。

 


   

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