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1.ロボット(R.U.R) |
●「ロボット(R.U.R)」● ★★ |
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1989年4月
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“ロボット”という言葉は、本書「R.U.R」(ロッスムのユニバーサル・ロボットの意)によって生まれ、世界中に広まったのだそうです。 ロボットという言葉の語源は“賦役”を意味するチェコ語 robota から a をとったものであるとの由。 今我々が思うロボットと本書に登場する“ロボット”は、だいぶイメージが異なるものですが、“人間”と“人間に似て人間に非なるもの”という本質においては、何ら変わるところはありません。したがって、ストーリィの内容も、当然なるべくしてなった結果と感じるものです。 ただ、この作品が近年ではなく、1920年代に書かれていた、ということが凄い! また、小説ではなく戯曲であることに一層の臨場感があります。 ちなみに、この戯曲のストーリィは、人間の労働を肩代わりさせるために R.U.R社がロボットを増産したものの、その結果としてロボットが反乱を起こし、人間が居場所を失うというもの。 最後の結末はかなり印象に残るものであり、是非一読をお薦めしたい作品です。 |
●「ポケットから出てきたミステリー」● ☆ |
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2001年11月
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期待した程面白くなし。 チャペックの名声を思うと、面白くないと思う私の方が悪いのか、とつい考えてしまいます。 まず、表題に“ミステリ”とありますが、収録されている短篇は必ずしもそうではありません。各々ちょっと風変わりな作品、そこに、ちょっとばかりユーモアが含まれている、という風。 読んだ印象からすると、O・ヘンリ作品あるいは星新一ショートミステリに近いものを感じます。 ただ、本書の場合、各篇の中に2つ以上のストーリィが含まれている、といったことが多くあります。したがって、話が途中で摩り替わるようで、じっくり読まないと何がなんだか分からなくなってしまう。となると、じっくり読むということが課題になる訳ですが、そこまでの面白さを感じませんでした。 思うに、本書の面白さを感じるには、チャペックの時代、環境を考える必要があるようです。チェコの作家、20世紀前半という中で、チャペックは異色の作家なのでしょうが、現代の作品に比べてそれ程面白いというものでもない、というのが感想です。 盗まれたサボテン/奇跡の監房/ヒルシュ氏の失踪/チンタマニと小鳥の絨毯/金庫破りと放火犯/殺人盗難事件/赤ん坊誘拐事件/伯爵夫人/指揮者カリナ氏の物語/ガンダラ男爵の死/結婚詐欺師/ユライ・チュプのバラード/なくなった足/めまい/懺悔/泥棒詩人の話/ハヴレナ氏の鸚鵡裁判/針/電報/不眠症の男/切手コレクション/ありふれた殺人/陪審員/人間の最後のもの |