メグ・キャボット作品のページ


Meg Cabot パトリシア・キャボット名にて歴史ロマンス小説を書いたり、イラストレーターとしても活躍。現在夫と共にニューヨーク在住。 

http://www.megcabot.com


1.プリンセス・ダイアリー

2.プリンセス・ダイアリー;ラブレター騒動篇

3.プリンセス・ダイアリー;恋するプリンセス篇

4.プリンセス・ダイアリー;ときめき初デート篇

5.プリンセス・ダイアリー:どきどきキャンプ篇

 
6.
プリンセス・ダイアリー:永遠のプリンセス篇

 

  “プリンセス・ダイアリー”シリーズ一覧
    1. プリンセス・ダイアリー
    2. ラブレター騒動篇
    3. 恋するプリンセス篇
    4. ときめき初デート篇
    4.5 どきどきキャンプ篇
    5. ピンクのドレス篇
    6. 悩める見習いプリンセス篇
    6.5 クリスマスプレゼント篇
    7. パーティ・プリンセス篇
    7.5 スイート・シックスティーン篇
    8. がけっぷちのプリンセス篇
    9. 崖の下のプリンセス篇
    10. 永遠のプリンセス篇

 


      

1.

●「プリンセス・ダイアリー」● ★★☆
 原題:"The Princess Diaries"   訳:金原瑞人・代田亜香子




2000年発表

2002年2月
河出書房新社
(1600円+税)

2006年6月
河出文庫化

 
2002/03/23

 
amazon.co.jp

バーネット「小公子の主人公を女の子に置き換え(注:「小公女」ではなく)、さらに現代風にアレンジ、そのうえでブリジット・ジョーンズ風に語らせる、と本作品に近くなると思います。なんとなく感じが判って頂けたでしょうか。

主人公のミア・サモパリスは、ニューヨークに母親と住む、ごく普通の女子高生。悩みと言えば、背ばかり高く貧乳であること、代数が苦手であること、誰からもデートに誘われたことがないこと、等々。
そんな彼女が突然直面した難題とは、なんとミアはヨーロッパの小国ジェノヴィアの唯一の王位継承者、つまりプリンセスであった、ということ。
平凡な女子高生=プリンセス、さてこれは喜ぶべきことなのか、嘆くべきことなのか。
本書は、そんなミアが日記形式で語る、青春ストーリィです。
【09月23日〜10月19日】

フツーの女の子の日記風小説ですから、軽く読める作品。でも、車中読書で度々駅を乗り過ごしそうになったのですから、すこぶる面白い一冊であることは間違いなし!
ミアを取り巻く友人たち、リリーティナも楽しく、最後の収まりどころも良質。ニューヨーク公立図書館の“2001年の1冊(ヤングアダルト部門)”に選ばれたというのも、当然と思います。
楽しい小説を読みたい、という方にはお薦め!

※映画化 → 「プリティ・プリンセス

 

2.

●「プリンセス・ダイアリー ラブレター騒動篇」● ★
 原題:"Princess in the Spotlight(The Princess Diaries vol.2)" 
      
              訳:金原瑞人・代田亜香子

 

 
2001年発表

2002年7月
河出書房新社
(1600円+税)

2006年7月
河出文庫化

  
2002/08/04

ミアの“プリンセス・ダイアリー”シリーズの第2巻【10月20日〜11月01日】

日記形式の小説となると、第1巻で折角恋人関係になった主人公ら2人を、再度振り出しに戻さざるを得ないものか。
主人公ミア・サモパリスと、ミアの親友リリーの兄マイケルとの関係もそういった具合。
その点でも、本書の姉貴分とでも言うべきブリジット・ジョーンズの日記の続編における、BJとマーク・ダーシーの関係に類似しています。

本書の始まりは、ミアの母親の思いがけない妊娠の発覚から始まります。相手は勿論、ミアの代数のジャニーニ先生
2人の結婚式を豪華にと画策する父系祖母に、母系祖母までが加わり、ミアの心労は耐えません。おまけに、ミアの元にも電子メールでのラブレターが度々きます。果たしてメール送り主の正体は誰なのか。
さらに、母系祖父母と一緒に、フェルモンむんむんの従兄弟ハンクが登場。
前巻同様、軽快にミアの物語は進展します。しかし、もう新鮮さは無い為、面白さも今一歩。また、本書ストーリィの期間は、わずか10日程ですから、展開が限られるのも仕方ないこと。
それでも、それなりに楽しめるのが本作品の良さ。

          

3.

●「プリンセス・ダイアリー 恋するプリンセス篇」● ★
 原題:"Princess in Love(The Princess Diaries vol.3)" 
      
              訳:金原瑞人・代田亜香子

 

  
2002年発表

2003年1月
河出書房新社

(1600円+税)

2006年8月
河出文庫化

 
2003/03/01

ミアの“プリンセス・ダイアリー”シリーズの第3巻【12月06日〜12月20日】

今回は、親友リリーの兄マイケルに対する、ミアの恋心を描くストーリィ。
ただ、こうした日記形式の作品、3巻目となると流石に飽きてくる、というところがあります。日記故、一冊で書かれる時間というのは、本当に短い期間。ですから、ストーリィ展開といっても自ずと限界があろうというもの。
まして、本巻では目新しい登場人物がいない。ミアにとっては、恋のライバルというべきマイケルの同級生の女の子が登場しますが、お馴染みの登場人物たちに比肩するような存在感はなし。したがって、本巻のストーリィは、ミアの一人相撲、優柔不断故のひとりでの大騒ぎ、というべきものでしょう。その点が新鮮な面白味を欠く部分。
とはいえ、最終場面となれば青春ラブ・ストーリィらしい盛り上がりもあるし、ミアのプリンセスとしての成長ぶりも描かれていますから、読後感としてはそれなりに満足。
この最後の部分は、ちょうど映画の結末部分に重なるもの。それ故、映画を思い出しながら読めば、より楽しいことでしょう。

※本シリーズは3部作で完結する筈だったのが、好評につき7巻まで延びる予定とのことです。

   

4.

●「プリンセス・ダイアリー ときめき初デート篇」● ★
 原題:"Princess in Waiting(The Princess Diaries vol.4)" 訳:代田亜香子

 

  
2003年発表

2004年10月
河出書房新社

(1400円+税)

 

2004/11/06

ミアの“プリンセス・ダイアリー”シリーズの第4巻【01月01日〜01月24日】

本来三部作で完結の予定だったのが、引き伸ばされて続くことになった最初の巻。その所為ばかりとは言えませんが、かなりマンネリ化したという印象。
元々、日記形式というところに面白みがあったのですが、日記である以上時間はなかなか進まない。それに対して日記の中身はというと、ミアがつまらないことに必要以上にくよくよしているだけと感じるのです。
まぁ、その辺りは男性と女性で感じ方に大きく隔たりがあるのかもしれません。

本巻は、冬休みに初のジェノヴィア入りしたところから始まります。ミアの不満は、スケジュールが超過密なこと、おばあさまが何かにつけて口うるさいこと、折角マイケルとの仲が実ったというのにロクにマイケルと電話もできないこと。
そのためマイケルに捨てられたらどうしようというのが、ミアの最大の心配事ですが、S・ブロンテ「ジェイン・エア」まで登場し、恋愛における女性の手管論がひとくさり。やっぱり、本書は女の子向きです。
最後に漸くマイケルとの初デートが実りますが、マイケルの凛々しさがやっと本巻を引き締めてくれます。この部分がなかったら本シリーズを読むのはきっともう止めたでしょう。

※映画化の逆手をとって、ミアの映画化が本巻での話題のひとつとなります。本と映画、持ちつ持たれつの関係というべきか。

 

5.

●「プリンセス・ダイアリー どきどきキャンプ篇」● ★
 原題:"Project Princess"     訳:代田亜香子

 

  
2003年発表

2004年12月
河出書房新社

(1000円+税)

 
2005/01/10

ミア“プリンセス・ダイアリー”シリーズ・番外篇【03月10日〜03月16日】
※原書では「4と1/2 巻」だそうです。

番外篇らしく、とても薄い一冊。僅か67頁で定価 1,000円というのは、費用対効果の面からしてとても高いと思いますが、このシリーズ=乗りかかった舟と諦めて、購入して読了。
作者のキャボットは、この本の売り上げを<ロウアー・イーストサイド・ガールズ・クラブ・オブ・ニューヨーク>という女の子を応援する団体の本部ビル建設資金に寄付する予定とのことで、作者からみると費用対効果は高いのかもしれない。

ミアを始めとするいつもの面々は、「ホームレスに住宅をつくる会」の活動のためウェストバージニアへと出かけます。親たちの干渉のない場所でマイケルとラブラブしたい、というのがミアの最大の動機でしたが、現地ではテント生活のうえ、ろくにシャワーも浴びれないという、ラブラブとは縁遠い5日間。
そこそこにユーモラスではありましたが、最後におばあさまが颯爽と登場し、思わずミアも感謝するというオチは楽しめます。

  

6.

●「プリンセス・ダイアリー 永遠のプリンセス篇」● ★★
 
原題:"Forever Princess"     訳:代田亜香子

 

  
2009年発表

2010年07月
河出書房新社

(1800円+税)

 

2010/08/05

 

amazon.co.jp

シリーズ10作目にして完結篇。
5作目まで読んで、余りのストーリィ進展の遅さ、いつまでもつづくミアの「あーでもないこーでもない」にうんざりし、読むのを止めてしまったのですが、完結篇となれば別。
結末を知りたい、決着をつけたいという気持ちから手に取りました。

それにしても、その間4冊を読んでいないとこんなにも物語は変わっているものか、と驚きます。
ミアはマイケルと別れてJPという別の男子生徒と付き合っていて、相思相愛なのだとか(そのマイケルは何と日本で研究生活を送っているらしい)。そればかりか、親友リリーとはお互いに傷つけあう経緯があったらしく、絶縁状態。そのリリーもかつての彼氏=ボリスと別れてケネスと付き合っていて、そのボリスは現在ティナの彼氏。まるで北欧にいた筈なのに、いつのまにか南米に来ていた、というような驚きです。
唯一嬉しく感じたのは、ティナが賢明でミア以上にミアのことを心配してくれる良き親友になっていたこと。

第1作から4年が経ち、ミアたちはいよいよハイスクール卒業の時を迎え、記念のプロムに胸をときめかせているという時期。
しかし、相変わらずストーリィは中々進まない。何しろミアの日記の形をとっているのでやむを得ないとはいうものの・・・。
それにもまして放り出したくなってしまうのは、呆れるくらいのミアの愚かさ。何でこうも相手の本性に気づかないのか、と。
もっともそれは、ミアの善良さ、自分を抑えても相手を信じ、相手を大切にしようという優しさを示しているのですが、それにしてもなぁ。
多分、途中の巻だったら放り出しているでしょう。でも、完結篇であるからには、最後は然るべき結末になる筈、と信じて読み進みました。その最後が、本当に最後の最後までやってこないところが、歯痒過ぎるところ。

まあ、シェイクスピアではありませんが「終わりよければすべてよし」、最後は急展開での大団円。振り返ってみれば、いかにもハイスクール時代らしい4年間だった、ということ。
最後の 100頁程、一気呵成に読みあげました。然るべき結末に、充足感あり。

      


 

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