スター・ウォーズの言語と文字

増補 銀河基準語のニモーディアン訛り


季刊「スターログ日本版」にニモーディアン役者へのインタビューが収録されています。その中にニモーディアンの訛りについても言及がありましたので、ここに紹介します。

「スターログ日本版4号」 ヌート・ガンレイ総督役 サイラス・カーソンへのインタビューより

スターログ誌: ヌート・ガンレイをはじめとするニモーディアンは、日本の海外商社マンの下手くそな英語の真似じゃないかって言われてますが...。

カーソン氏: あれはタイ人のアクセントだよ。タイ人は腹から声を出さずに、いかにも口先だけでしゃべる。ニモーディアンという種族はレナード・ニモイ(スタートレックのミスター・スポック役)への賛辞を込めた名前だけど、とにかく彼らの顔には鼻がない。だからそれにふさわしいしゃべり方を選んだら、たまたまそれが私の認識するタイ人のアクセントだっただけ。ジャパニーズビジネスマンとは無関係さ。

「スターログ日本版7号」 ルーン・ハーコ役 ジェローム・ブレイクへのインタビューより

スターログ誌: ニモーディアンの英語は、特定の国のアクセントを参考にしたんでしょうか?

ブレイク氏: ヴェトナムだよ。

おそらくは、両人とも日本人を目の前にしながらあまりあからさまなことを言うのは失礼だと判断するくらいの節度は当然持ち合わせているだろうということも考慮に入れて読むべきでしょう。 しかし、洋画をもっとよく観ていれば気付くことですが、アメリカの俳優が皮肉を込めて真似る日本人英語は、ニモーディアン訛りなど比べ物にならないくらい、もっともっと無様なものです。 r音とl音がメチャクチャなだけではなく、「アー」「ハーハーハー」「エヘーエヘー」などの情けない間投詞があちこちに挿入され、アクセントがなく平板で母音の長短もメチャクチャになります。(もちろんこれは欠点を強調しているだけであって、日本人全員がそんな話し方をするわけではありませんが。) 確かにニモーディアンたちは訛りが強く、余計な間投詞も多く、さらに卑屈な印象もありますが、それでも特に日本人をお手本にしているというわけでもなさそうです。本文でも少し触れましたが、少なくともニモーディアンの訛りは、東南アジアから中東までをも含めたかなり広い意味でのアジア系の訛りの一般的なイメージを念頭に置いているのでしょう。

あえて言うならば、ニモーディアンは意図的に日本人商社マンを揶揄したのではなく、卑屈で臆病な守銭奴の表現を追及した結果が、たまたま日本人にそっくりになったということでしょう。それはそれで困ったことですけどね...

ニモーディアンの名称について、サイラス・カーソンはレナード・ニモイへの「賛辞」というなんとも前向きな解釈を披露してくれました。どう考えても「当て擦り」とか「皮肉」という語彙しか浮かんでこなかった私など、ただただ自分の了見の狭さに恥じ入るばかりです。


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フォースのともにあらんことを
ベン・アンティリーズ
2001.2.12