言語と文字

イウォーク語(Ewok, Ewokese)

聖なる緑の月エンドアに住むイウォーク族の言語です。イウォーク族はジャワ族と同じように、割と早口にせわしなくしゃべります。ジャワ語を知らなかった3POもなぜかイウォーク語は話すことができました。3POはまず最初に彼らの言葉で Hello(あいさつの言葉)に相当する言葉を言いますが、妙に長いことに気が付きます。このことから考えると、イウォーク語にはあいさつのための比較的短い決まり文句というものがないのかもしれません。あるいは、初対面なので3POは最高の外交辞令を尽くしてあいさつをしたのでしょうか。映画を観ていると、ウィケットなどは話す時にひんぱんに歯の間から舌を出しています。このことからイウォーク語には歯舌音、いわゆる th 音があると判断できますが、残念ながら日本人の私の耳には聞き取ることはできません。実際にはイウォーク語の台詞は編集時にアフレコされたものですから、舌の出し入れは単にいかにも話しているように見せるための演出でしょう。

■イウォーク語の創造

「ジェダイの復讐」公開当時の資料では、イウォーク語は中央アジアの言語を中心に、チベット語、日本語、太平洋諸島の言語など、5種類の言語から面白く聞こえる音を寄せ集めてつくったということです。また、SLJ58にも『モンゴル語、チベット語、ネパール語他5つの言葉からイウォーク語を生み出した』という記述があります。イウォーク語の創造に当たったのは、ベン・バートとジョン・ウィリアムズの2人です。メイキング・ビデオなどで、ウィリアムズの「台詞を録音して、逆回しにしてはどうか」という提案に対して、バートが「それではすぐにばれる」と応じたり、「いくつかの外国語をつなぎ合わせるといい」などと言う様子を見ることができます。外国語テープの早回しという点ではジャワ語を同じで、なるほど両者は聞いた印象がよく似ています。ハット語やジャワ語と違って、イウォーク語には日本語が混ざっていることが明言されていますので、よく聴けば解読できる部分が沢山あるかもしれません。以下に「STARLOG YEARBOOK #17」より、ベン・バートのインタビューの一部を紹介します。

For the Ewoks, I found this old woman in her 80s from Central Asia, who had just arrived as a refugee --- she didn't speak any English at all. In fact, she had spent all her life in a tribe on the steppes of Mongolia. And with enough vodka, which she asked for, she would tell stories for a couple of ours. I recorded them. イウォークについては、この中央アジア出身の80代のおばあさんを見つけたんだよ。この人は亡命してきたばかりで、英語はまったく話せなかった。いままでずっとモンゴルの草原の部族の暮らしをしてきたんだ。おばあさんはウォッカを欲しがって、それをたっぷり飲みながら2、3時間くらい物語を聞かせてくれて、僕はそれを録音したんだ。
Her son translated her requests for me: 'Just have her tell me some folk tales about where she grew up.' I wanted emotion. She wasn't an actress, so I couldn't get her to perform, but I would say, 'Tell me a bedtime story in your language and act out the different parts.' So, there was motivation for her to put some emotion into it. おばあさんの息子が僕の要求を通訳してくれたんだ。「自分の育ったところに伝わる民話を話してくれ」ってね。僕は喜怒哀楽が欲しかった。でもおばあさんは女優ではなかったから、演技させることはできなくてね。それでこう言ったんだ。「あなたの言語で昔話を話してください。そしてそれぞれの登場人物に身振り手振りを入れてください」と。それで、話に喜怒哀楽を込めさせることができたんだ。
And so, she would do all these wonderful funny sounds. I couldn't understand any of it, but it was great. I made recordings and wrote out phonetically what she said. Actors were brought in to mimic these sounds in the studio as a guide and eventually, I was able to build up the Ewok language. そんなわけで、このおばあさんがものすごく面白い音声をつくりだしてくれたんだ。僕には意味はまったくわからなかったけど、その音声はすばらしかったよ。おばあさんの言ったことを録音して、音声学的に記述したんだ。俳優を連れてきて、スタジオでその音声を真似させて見本をつくって、それで遂に僕はイウォーク語を創りだすことができたんだよ。
[SLYB17, p.33]
■引用集

上の引用文ではイウォークが銀河基準語を話すように書かれていますが、「ジェダイの復讐」ではそのような場面はありません。この記述は「エンドア/魔空の妖精」を意識したものでしょう。この映画に登場するマローダーも独自の言語を話しますが、ここでは割愛させていただきます。

■日本語に聞こえるイウォーク語


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Ver.1 1999.12.12
Ver.2 2000.3.5フォースのともにあらんことを
ベン・アンティリーズ