虹色・登場人物
主な登場人物
'98/2/4
アスラ
☆30世紀の未来から、まだ不完全なタイムマシンを駆り、現代に現れた
少女。未来における貴族階級の娘であったが、見かけ上の「幸福な世界」
に疑問を抱き、その根源となったキルケウイルスの蔓延の阻止を目的と
して20世紀にやってきた。
☆通常は、反逆者「らしい」機能的なスタイルをし、神出鬼没の彼女で
あるが、ウイルスの特効薬であるキルケアサシンを行使する時のみ、
本来の身分を彷彿とさせる姿を取り、弓状の道具から薬を射出する。
その変わり身は一瞬で行われ、現代人の目から見ると、あたかも変身
したかのように見える。
☆普段の彼女は、帝国に追われる身であるので、不定のねぐらを転々と
していると思われる。会話は敬体のみだが、単身時代を超えてやってき
た強い人間に相応しい信念と説得力がある。年齢不相応な日常を余儀なく
される少女ではあるが、どこで調達したのか、飲み物がココアであるのが
子供らしいところだ。
☆18話にて、ついにフレイヤの娘である事が明らかになる。胎児期に
既に才能を保証されていた彼女は、出産後直ちに皇帝の下に預けられた。
アスラにとってフレイヤは「産んだだけ」の母であり、その確執は
18話まで二人を強く隔絶する事となった。
☆本来は、未来世界において指導者となるべく、英才教育を受けていた
アスラであり、彼女の「子供らしくなさ」は、全てそれに由来する。
それは、現代社会で生活して一年弱たつ今日でも払拭できないでいるが、
彼女の憧れは、実は子供らしい生活だったようである。
中山忠夫
☆虹ヶ崎に住む小学6年生の男子。5年生の妹と2人兄妹の兄。少々
クールに徹しすぎの傾向はあるものの、敢然たる正義漢でもある。
妹の言う事をうっとおしそうにしながら、実はちゃんと気にしている
いい兄貴でもある。
☆「女のクセに」かっこいいアスラには、時々反発はするが、それも
男の子の甲斐性かも知れない。そのディベートは、物語の重要なポイント
ともなる。付き合うと良さがわかってくるタイプの奴だろう。
☆15話において、ついに彼自身がキルケウイルスに感染してしまう!
☆16話にあっては、彼こそキルケウイルスの産みの親と宣言される。
☆だが18話、フレイヤの協力を得たアスラにより、新型ワクチンに
よって治癒される。彼は産みの親ではなかった。
中山唯
☆忠夫の妹で5年生。塾の成績もよく、中々頭の切れる子。地顔が地顔
だけに、本人がその気でないのに笑ってるように見られ、しばしば
「笑ってないよ!」と怒って反論するその顔も笑っているという、大変
チャーミングな悩みを保有する。だが、笑顔に隠された激しい性格も、
またこの子の魅力だ。でも、ちょっと恐い目にあうとお兄ちゃんを楯に
にしてしまう、可愛らしさも共有する。
☆女の子同士でもあるアスラとはよく馬が合うようで、いつもその行方
と安否を気遣っている。
☆18話、ついに唯は劇症をともなって発病。そのホクロの色は赤い。
彼女こそは、真のウイルスの産みの親であったのだ!
フェンリル将軍
☆30世紀のミレニアム帝国軍の最高司令官。20世紀とは、タイム
マシンの原理を応用した3D画像で交信し、部下がドジを踏んだ時には
仏の顔も3度で怒り、また豪快に笑う。その真の「実力」を発揮する
のは、まだ少し先の話のようだ。
☆18話において、ついに現代に登場!その貫禄は、現代生活の微温湯
に浸った人々を震え上がらせるほどのものがある!
☆演ずるは、かの森次晃嗣御大!最早説明の必要もありませんが、幼少の
みぎり、モロボシ・ダンのピンチに手に汗握ったご同輩の諸氏の目には、
かくも貫禄ある役がぴったりになられた森次さんはどう映る事でしょう?
フレイヤ
☆部下のロキ・シグルドを引き連れ、アスラを追って現代に現れたミレ
ニアム帝国軍中佐。美しくも恐い隊長さんである。忠夫たちの通う塾の
経営を、どうやったものか乗っ取り、塾長に就任。忠夫達にしてみれば、
「敵」が、行かないと親に怒られる場所で手ぐすね引いて待っていると
いう、大変なシチュエイション。
☆アスラの身分にしばしばこだわり、独自の哲学で対決する姿勢を見せ
るが、当のアスラにはその気はないようだ。
☆12話でついに「誰かの母親」である事が明らかになった。
☆16話でロキに取って代わられ、隊長から降格させられる。
☆そして18話、アスラの母と判明。新型ワクチンのデータディスクを
アスラに手渡し、結果的に彼女は軍人の本分に反する事となり、囚われ
の身に・・
☆演ずるは、富沢美智恵さん。かの「クレヨンしんちゃん」のまつざか
先生のCVでもおなじみ。豪快な笑いでは森次さんに引けを取らない。
(注:虹色ではさすがに「ホーッホッホッホ!」は登場しない模様)
ロキ
☆フレイヤの部下。お世辞にも切れ者には見えないが、これでも大尉。
この任務には不平不満が蓄積している様子だが、20世紀の味である
「たこ焼き」だけはすっかり気に入った模様。塾では竹刀を持ち、
鬼教官ばりの外観だが、どこか憎めない奴。
☆物語が佳境に入ってくると、いよいよ帝国将校の本性をあらわに
してきた感がある。16話で頭をボーズにし、念願の隊長に就任。
☆18話では、未来に帰って一緒にたこ焼屋を始める「相談」を
シグルドに持ち掛け、「ちう」の体勢になったところに、無粋な
フレイヤがやって来た。(^^)
シグルド
☆ミレニアムから来た幹部の最後の一人。現代でOLをやっていても
全然違和感のないお姉さんだが、れっきとした軍曹。ロキがドジ役
なので、相対的にしっかりして見えるのかも知れない。彼らが使う
工作員の世話も、彼女の役目らしい。
工作員
☆今のところ4人が確認されている。ロキ等の命令のみに忠実に行動
し、自主性とか主体性といった言葉とは無縁の、生けるロボット。命
令を与える事は「インプット」と称される。ロキがアスラにやられて
いても黙って見ていたり、調子の悪いクルマをどついたのを見て、同
じように真似たりする。
☆悩みのない世界とは、彼らのような命令に従うだけの人々が多くを
占める時代の事であるのだろうか?
忠夫たちの両親(今のところ設定のみの存在)
☆スーパー関係の仕事をしているらしく、24時間営業になったため
多忙で留守がちになったそうな。営業時間のシフトや、商店のコンビニ
化の進む現代では他人ごとでなかろう。これでも忠夫は、留守を守る
頼りの長男なのだ。
☆そのスーパーだが『なかやまスーパー』が正式名称の様子。
清原少年(1・2話)
☆忠夫たちと同じ塾に通う。唯いわく「ガリ勉」。塾の成績が1番から
2番に落ちて絶望し、ウイルスに取り付かれる。(そんな事言ったら、
不肖へろ松など、成績だけでゾンビになってしまうわい!)治るとすぐ
そそくさと塾に出かけてしまうのが「らしい」ところ。
☆当初、DNA分析から清原がウイルスの発生源と見られていたが、
そうではなかった。進んだ未来の科学でも流石に千年の壁は厚いようだ。
小野・田代(3〜5話)
☆小野は、成績・スポーツともに抜きんでた存在で、先生にも信頼厚い。
田代は元いじめられっ子。そもそもは小野が、いじめられがちだった
田代を助け、色んな役割をさせていたようだ。だが、積極性に欠ける
田代の態度に小野が絶望し、ウイルス感染からいじめへと走る。田代は
自分を救ってくれたはずの小野のいじめにより、深い絶望に陥り、これ
もまた感染してしまう。
☆両者はそれぞれ、いじめっ子といじめられっ子の典型を示す事となる。
上野裕美子・斎藤真奈美(6・7話)
☆二人とも美術クラブに属し、幼児期から絵を描きあってきた仲間。だが、
上野は未来が証明する才能を有し、次第に斎藤との実力の差があらわになる。
絶望に苛まれ、ウイルス感染をしてしまった真奈美だが、彼女の中の絵を
愛する心が、結局は自身の命を守る事となったのだ。
☆なお、アスラは「清原少年」とか「小野少年」という言い方はするが
「上野少女」とか「斎藤少女」などとは言わず「斎藤さん」と呼称する。
秋山・武藤(8・9話)
☆地元虹ヶ崎の少年野球チームのメンバー。キャプテンの秋山は、悪い
言い方をすると「野球バカ」であり、きつい練習についていけなくなった
メンバーがウイルス感染をしてしまう。武藤も感染者の一人。女の子だが
悪い言い方をすると「男女」みたいなしゃべり方をする。だが、その
サバサバぶりが物語に展開をもたらす事になるのだ。
☆実力あり、自分の「野球の世界」を確固として持っているゆえに、つい
言葉や態度がきつくなってしまう秋山だが、今時貴重な男の子とも言えよう。
木島宏美・美子・宏(10・11・12話)
☆忠夫の同級生の宏美は優等生だったが、家庭の不和に悩んでいた。人前
ではごく強気の宏美も、本当のところは傷つきやすい少女だった。母の
美子と父の宏は、ともにキルケウイルスに感染していた。しかし、ふとした
事から、忘れていたゆるぎない家族愛を取り戻した宏、夫としての気遣い
にゆさぶされた美子は、それぞれアスラによって治癒される。
☆宏は、ロキにうり二つであり、どうもロキの先祖であるらしい。宮仕え
の運命は、10世紀やそこらでは断ち切れないようだ。
バルドル・正代(13・14・15話)
☆ミレニアム帝国きっての科学者・バルドル博士は、ある重要情報を記録
したマイクロディスクを携えて20世紀に現れる。タイムパトロールとの
交戦で傷ついたバルドルを助けたのは、つい先ごろバルドルにうり二つの
孫を事故で失った老女・正代である。正代はキルケウイルス感染者で
あったが、バルドルとの出会いで生きる気力を取り戻し、治療は成功
した。
☆フレイヤの弟でもあるバルドルは、拉致され、アジトに拘束される。
フレイヤはこの現代の悲惨さを説き、バルドルは正代の真心に触れ、
20世紀に希望ある事を確信する。そして「未来は良く変わる」と・・
☆バルドルはアジトに拘束されたアスラ・忠夫らの解放と引き換えに
自分が30世紀に戻り、帝国に忠誠を誓う事を約束した。真実を知る
由もない正代。だが、ほんのかすかであろうと、希望の灯火として
バルドルはその心に常在しているに違いあるまい。