インテグラルの空燃比計 DM-20M をテスト

こちらでも紹介したDM-20Mを買ってしまった(^^;。いつかは欲しいと思いつつ、その価格の高さゆえになかなか手を出せなかったのだが、某氏の陰謀によりついに買ってしまったのだ(笑)。

通常のO2センサーは理論空燃比付近で電圧を急変させる。その急変するところを境にECUはフィードバック補正を行なう。つまりその電圧が急変する領域以外はどうでも良いわけ。だからこのタイプのセンサを使って正確な空燃比計を作る事は不可能。だが、電圧が急変する領域以外でも空燃比に応じて僅かに電圧が変化しているのを捉えてアンプで補正して無理矢理に空燃比らしきものを表示させてしまったのが東名の空燃比計である。一応専用のセンサを使っているが、要するに純正タイプの普通のO2センサを使っている。このタイプの空燃比計は4万〜6万円くらいの価格帯で数社から発売されている。1万円台で買えるモノは専用のセンサを使わずに純正センサをそのまま流用するタイプだ。これらはハッキリ言って役に立たない。空燃比を表示すると言うよりは、濃いか薄いかを表示させるだけのものだと思ってほしい。東名のモノも同様だ。センサの温度によって左右されるセンサ出力がそのまま表示されてしまうのでトンチンカンもはなはだしい。それに付いてはこちらでも紹介した通り。

では、インテグラルのモノはどうなのか? こいつはリニア式センサを使っている。空燃比に応じてリニアに出力を変化させるのだ。しかもセンサに温度依存性はほとんど無い。したがってマニのどこに付けても正確な表示が可能。

DM20Mの取付けは実に簡単である。東名のモノはセンサヒータの電源やアースの処理などが大変だが、DM20Mは一体のハーネスとコネクタになっているので何も考える必要はない。センサと本体を繋ぐのはコネクタ一個で済む。純正のセンサと交換し、本体とコネクタで繋ぐだけ。あとは本体の電源とアースだけで動く。表示の減光機能を生かしたい場合はスモールランプの電源を一本取ればそれで良い。純正O2センサへの配線は、DM20Mのセンサ付近から出ている線を1本だけO2センサの配線に繋げばそれで良い。面倒なのはちょっと巨大なコネクタ付きの配線を室内からエンジンルームに引く事だろう。私はA/Cが無いから穴はいっぱい余ってるので簡単だが、A/C付きの場合はメータケーブルを通している部分に通すしかないようだ。あとは本体の置き場所に悩むくらいかな?

そのDM-20Mと東名のモノを同時に動作させてみた。私のタコアシにはセンサ取付用の穴を増設してあるので、同時に2個のセンサを取りつける事が出来る。同時に動作させてみたのが以下の写真。

東名のモノは 10.8 付近を指している。インテグラルはご覧のように 12.0 である。あぁ、なんてトンチンカンなんだろう(笑)。これは空ぶかし5500回転でアクセルを固定した状態。フィードバックから抜けているので高負荷増量マップによる増量補正が掛かっている状態だ。この状態でインテグラルのモノはピッタリと数値が固定して動かないのだが、東名のモノはセンサの温度上昇に伴って徐々に薄い方向に動いていく。撮影直前には10.0程度を挿していたのだが、撮影中にもどんどん薄い方向にズレてくる。常に動いているので結局空燃比が幾つなのかはまったく解からない。これじゃ何の役にも立たないのだ。

しかし、その東名のメータもついに役に立つ時が来た! インテグラルのモノはデータロガー用に空燃比に応じて 0V〜5Vに変化するアナログ出力端子が付いている。 んで、東名のモノはアンプがメータを駆動しているわけだが、その駆動電圧が0V〜5Vなのだ。空燃比9.0〜17.0っていう範囲と電圧の対比もまったく同じ。ならばインテグラルのアナログ出力をそのまま東名のメータに突っ込めばピッタリとシンクロする筈。

と言う事でやってみました。アンプから出ている線をカットして、メータ側にDM-20Mのアナログ出力をそのまま接続。動作させてみると、ちょっとズレている。DM-20Mが14.7を表示している時に東名のメータが15.2くらいを指した。だが心配御無用。東名のメータは裏に調整ネジが付いている。これで電圧に対する指示値を可変できるのだ。これを回して同じ数字を示すように調整。アクセルにON-OFFに応じて濃い方でも薄い方でも指示値を比較してみる。結果はバッチリ! ピタリとシンクロしてくれた。(^^)v

チラチラと変化して読みにくいデジタル表示よりも、連続的な変化を見れるアナログメータの方が見やすいのだ。温度計のようにほとんど動かないモノはデジタルの方が見やすいと思うが、空燃比のように常に激しく変動するモノはアナログの方が良い。これでDM-20Mはどこか見えないところに片付けてしまえば良いわけ。今まで通りに見慣れた位置にあるアナログメータを使えば良いのだ。わっはっは。

ちなみにDM-20Mにはいろいろな付加機能が付いている。電圧計にもなったりする。純正O2センサと等価の出力特性をもつ端子が有るので、それを純正O2センサの配線に繋ぐ事が出来る。こればらば私のようにタコアシに穴を空けなくても良いわけ。そしてこのO2センサエミュレータとも言える端子は、その特性を換える事が出来る。例えば13.0を境に電圧を急変させるようにするとか、15.0を境にするとか。あんまし意味無いけど(笑)。

あとはデータロガー機能も持っている。というよりはメモリー機能だろうか。任意のタイミングでスイッチを押すと、その瞬間の空燃比を記憶する。全部で16個のデータまで記憶できる。フル加速中に16回スイッチを押せば16個分のデータを記憶できる(笑)。さすがにそれは無理だと思うが、2速フル加速中に1000回転刻みにスイッチを押すくらいは出来るだろう。このスイッチは延長コードが付いるので手に持って押す事も可能。慣れれば便利な機能かもしれない。試しにやってみたが、結構便利。タコメータと空燃比計を同時に見てすべて記憶するのは不可能なので、一回のフル加速だけでログが取れるってのは便利ですわ。

高速道路でテストしてみたが、試す度に違う数値を示す東名のメータと違って、同じ回転数と同じ踏み方だったらちゃんと同じ数値を示す。これなら信用できるぜぇ〜! フィードバックによって微妙に変化している空燃比の様子も正確に見える。アイドルと走行時で異なるフィードバック制御間隔もちゃんと把握出来る。素晴らしい。使える。買うならコレ。安物の空燃比計なら買っても意味無い。

ところで、ROMチューンをやってる人って、買うか買わないかは別としても空燃比計が欲しいって言う人は多い。 んが、キャブな人ってそういう事言う人がいないんですよね。なぜだろう? キャブだってROMチューンだってやってる事は同じなんだけどねぇ。空燃比計が有ればキャブのセッティングだってすごく楽になるんだけど。薄くし過ぎると壊れるのはキャブでもROMチューンでも同じだし、適正空燃比ならパワーが出るってのも同じなんだよね。キャブは適当でも壊れないって訳じゃないし、ROMチューンだとシビアって訳でも無いんだし。ジェット交換もROM交換もやってる事は同じなんですよん。

# 私はキャブセッティングを薄くし過ぎてバイクのピストンを溶かした事が有ります(^^;

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