NGKから発売されたイリジウムプラグを試した。これはスポーツタイプとして発売されているIRIWAYやIRITOPと違って一般向けに耐久性も重視したモノらしい。価格もIRIWAYよりかなり安い。半額くらいか？ 従来のVXプラグの後継に当たるようで、こいつの登場でVXプラグは無くなったのかもしれない。近所のホームセンタの店頭ではVXが姿を消して変わりにコレが並んでた。ちなみにVXプラグがプラチナ電極のφ0.8mmだったのに対し、イリジウム電極はφ0.6mmとなっている。
これだ。値段は忘れた。4本で5000円以下だったような気がする。価格は従来のVXと同じくらいか？
電極が細いプラグの利点についてはこちらに書いたのでここでは書かないが、要するに要求電圧が低くて着火性が良いという事。ロドスタにはIRIWAYの8番が付いてるので、実験はインプレッサバンでやる。インプレッサバンは低回転でスロットルを大きく踏んでも増量してくれない。高負荷増量が開始されるのは4000回転くらいからで、それ以下では高負荷でも希薄燃焼のままだ。この高負荷希薄燃焼の時に嫌なトルク変動が有る。つーか加速感にムラが有るのだ。希薄混合気にやっとで点火しているような感じ。希薄領域では点火系の能力の差がでやすい。もしかしたらこの嫌なムラの有る加速感が改善されるカモしれない。と、期待してプラグを買ってみたのだが？(笑)。ちなみにインプレッサバンはロドスタとまったく同じBKR6E-11が標準で付いている。新品の標準プラグで半年間走った。
左がイリジウム、右がインプレッサから外したBKR6E-11。電極の形状は大違い。
で、イリジウムを付けたらどうなったのか？ うーん、低速高負荷時のムラのある加速感は若干改善されてるが、気のせいと言ってしまえるくらいの差だ。確かに加速のムラは少なくなっているが、無くなったわけではないし、トルクが大幅に改善とか素晴らしいレスポンスとかって事はまったく無い(笑)。大した違いではないですな。高負荷高回転でも違いが出るのカモしれないが、インプレッサでそんな乗り方はしないので知らん。
と、当サイトの実験でこんな月並みなインプレで終るわけが無い。ちゃんとデータも採った。先日のアース実験の時と同様に点火1次波形を観測した。1次側は2次側と磁束的に結合しているので2次側波形の変化はそのまま1次側に現れる。プラグを変えて要求電圧や放電時間が変化すれば、それはそのまま1次側に現れるハズだ。というわけで、アイドリングで1次波形を観測するのだ。
しかし、いちいちプラグを付け替えて測定していたら温度条件やECUの補正などの条件があやふやになってしまう。が、インプレッサバンはロドスタと同様にコイルを2個使ったデスビレスの同時点火システムだ。これは実に都合が良い。片方のコイルの先にノーマルプラグを、もう片方のコイルの先にはイリジウムプラグを付けた。これでエンジン始動状態で同条件で比較出来る。2個のコイルで波形に差が無い事は先日のアース実験の時に確かめてある。
これはノーマルプラグ。放電時間は1.2msecほどか。
こちらはイリジウム。放電時間は1.3msecくらい。
双方を良く比べてみて欲しい。放電電圧が下がって放電時間が伸びているのがハッキリ解かる。もちろんどちらも観測中のバラ付きは有るのだが、バラ付きの幅の中心を捉えるように表示を止めて撮影している。イリジウムは約100μsecほど放電時間が伸びているのだ。これはプラグの要求電圧が下がっている事を示している。要求電圧が下がっているのだから高回転高負荷での着火性も良くなるだろう。放電時間が伸びているのだから低回転でも有利だ。体感できるかどうかは別として波形の差が観測できるくらいの差が有るって事だね。
ちなみに無理矢理要求電圧を上げてみたのが以下の波形だ。
他の画像と同じアイドリング状態なのだが、要求電圧を上げると放電電圧が上がって放電時間が短くなるのがハッキリと解かる。横軸のスケールを変えたわけではない。放電時間は1msec以下まで短くなっているのだ。これ、どうやったかと言うと、プラグコードを半分引っこ抜いただけだ。プラグコードとプラグの頭の間にエアギャップを作ったわけ。つまりはプラグギャップを広げたのと同じだ。
# アースでは差が出なくてもプラグを変えればこんだけ差が出るのだよ(笑)
イリジウムプラグは確かに要求電圧が低くて放電時間が長い。悪い事はないハズなんだけど、体感できるのかしらん？ でもロドスタのノーマルプラグをVXプラグに変えた時は6500以上のキレは良くなったのが体感できたよなぁ。それよりはイリジウムの方が良いとは思うんだけど。でもVXプラグからIRIWAYに変えた時はなんも解からなかった(笑)。ま、あれはVXには8番が無くて7番だと真っ白だったんでIRIWAYの8番に変えただけなんだけどね。
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