エコバンドを試す!

放射線でマイナスイオンを発生させて燃費を改善しようと云う商品である。燃費30%改善らしい。

去年の酵素系添加剤を試したこちらのページの最後に

「このエコランに挑戦してみたい燃費商品のメーカ担当者さんいますか?(笑)」

と書いた。それを見た萩口キルト様が件の商品で挑戦したいとの事で、モニター商品を送ってくれた。さっそく実験するのである。

この商品、ウラン トリウム系鉱物を含む放射性物質らしい。メーカ様のサイトでも「原理は解らない」と書いてある。原理や理論が解らないモノをどうやって企画設計開発するのか謎だと思うのは私だけだろうか? 普通のエンジニアなら、理論や原理が最初に有って、その原理や理論を応用した商品を設計開発すると思うのだが、オカルトグッズ系メーカ様では原理も理論も解らずに商品を開発するらしい。どうやって開発するんだろう? 不思議だ...(だからオカルトと呼ばれるのだが...) しかし、現代科学が全てではない。未解明の原理だって有るハズだ。エーテルに変わる光の媒質だって発見されるカモしれないのだっ(笑)

で、この商品、エアクリーナボックスに貼り付けるエコシール、インテークパイプに巻き付けるエコバンドSP、排気管に巻き付けるエコバンドEX、の3種類が有る。単体でも効果が有るが、併用すると更に効果的らしい。もちろん今回はフルセットで試す。その能書がコレ↓


マイナスイオンって未だに意味が解らないのだが、物理学的に普通に言う水溶液中の水酸化イオンとは意味が違うようで、古くから知られる気象学的なレナード効果から勝手にマイナスイオンと言う言葉を作り出して勝手に流行らせたってのが真相のようだ。マイナスイオンなんて言葉が流行ってるのは日本だけで、本来物理学的には存在しないモノだと思うのだが? 物理学的に存在するイオンなら化学式で書いてくれ。OH- とかって書いてくれれば一発で解るのに。

ちなみにその定義すら良く解らないマイナスイオンだが、それに関して割とまともな事が書いてあるのがこちらのサイトだろうか。

自然の滝などで水が粉砕する時、マイナスに帯電した水分子とプラスに帯電した水分子に分かれる事があるらしい。これは非常に不安定なのですぐに再結合して中和してしまうのだが、このレナード効果的なマイナスに帯電した水分子をマイナスイオンと呼ぶ事にしてしまったらしい。

で、そのマイナスイオンを人工的に発生させる為に放射線を利用する(らしい)。 放射線が空気中の水分子に衝突して粉砕するとマイナスイオンが発生すると...。ふーん。で、そのマイナスインが何だって?

マイナスイオンの影響により、エアインテークを通過する空気中の水分が活性化され、層状剥離が発生し、吸入抵抗が減少します。活性化された水分子と空気分子が衝突を繰り返し 燃焼室内の火炎伝播速度が速くなります。

...は?(^^; 意味が解るヒト、誰か解説してください。私が知る物理法則や自動車工学の理解を超越してます。

百歩譲って本当に吸気抵抗が減るとして、吸気抵抗が減ると燃費が良くなるのか? 燃費云々を語る低負荷域における最大の吸気抵抗はスロットルバルブである。スロットルバルブを閉じる事で吸気量を制限し、出力を制御しているわけである。せっかく制御しているのに、吸気抵抗が減ったらそのぶんスロットルを戻して必要な吸気量になるように制限するだけだ。「スロットルを戻せば燃費が良くなる」って思うのは間違い。燃料噴射量はスロットル開度に比例するわけではない。吸気量に比例するのだ。吸気抵抗が大きかろうが小さかろうが、結果的に吸入された吸気量に応じて燃料噴射量が決定され、更にO2センサフィードバックを経て理論空燃比付近に制御される。ジャンボスロットルに交換してその分スロットルを戻しても燃費が変わらんのと一緒である。と云う訳で、実際に吸気抵抗が減るのかどうか知らんが、例え減ったとしても燃費にはまったく影響しないハズなのだ。(吸気抵抗とポンピングロスは同義ではないので混同しないように)。

火炎伝播速度が上がるとの事だが、これだとFire号のようにギリギリのセッティングを出してしまったクルマに付けたらノッキングやデトネーションが発生してしまうハズ。点火時期セッティングをやり直さないといけない。それも困った話だ。ま、実験はインプレッサバンなので良いけど(笑)。


こちらは新製品のエアクリーナボックスに貼るシールタイプのモノ。


こちらが排気管用。排気管に巻いて何の意味が有るのか解らない。

排気管に貼って効果が有るのなら、排気管を透過出来る放射線と思われ、γ線なのだろう。α線は紙でも遮蔽出来るし、β線が金属を透過出来るとも思えない。γ線源のウラントリウム鉱石ってモナザイトみたいなモンだろうか? 何にしても放射線レベルはほとんど自然放射線のレベルだろう。ウラン238そのものだったとしても半減期45億年なわけで、放射性物質って言うよりは単なる重金属みたいなモンだ。まさかウラン235なんか使ってないだろう(笑)。


インテークパイプ用エコバンド。3500円+TAX


排気管用エコバンド。2500円+TAX


エアクリーナ用エコシール。インナー3枚 & アウター3枚 の6枚セットで4800円(TAX 込み)

全部セットで買うと11100円(税込み)ってわけで、この手のオカルトグッズとしてはかなり良心的な価格と言えるのはないか?

ま、メーカ様でも原理がわからんモンを私が追及してみたところで解るハズも無い。とりあえず試すのだ。試して本当に効果が有るのなら、原理は解らなくても良いじゃないか(笑)。現代科学で解明できない未知の原理かもしれないのだ。未発見の素粒子が超自然現象を起こしているのカモしれない(笑)。


エアクリーナボックス底部を脱脂してエコシールを3枚貼る。


エアクリーナボックス上部に3枚貼る。


インテークパイプに巻く。


排気管は、テールパイプが太すぎて巻けなかったので、サイレンサ前側に巻いた。前側に巻くと中高速回転向きとの事だが、仕方あるまい。




放射線レベル測定

γ線計測機を用意して放射線レベルを測定してみる。


ガレージでエンジンルーム発電機の上あたりに計測機を置いた場合のバックグラウンド放射線は0.023μSv/h。大体0.02〜0.03μSv/hの間をフラフラとしている。


エコシールアウター用の裏側の放射線を測定。0.034μSv/h


表側には0.036μSv/h だ。ほとんど同じ。表側をアルミで覆って有るが、γ線の透過力は非常に強いのでアルミ箔程度の薄い金属では関係無いのか?


インテークパイプ用のエコバンドSPの裏側の放射線を測定。0.056μSv/h と、バックグラウンドを大きく超えた。


表側は0.054μSv/h だ。サンプリングのタイミングで計測値は上下するわけで、この程度の差で裏表を区別する意味が有るのか大いに疑問だ。


放射線が強いと言われるマントルを測定。ガレージに有ったEPIガス純正品。が、バックグランウンドを下回ってしまった。測定部からマントルを外すと0.02μSv/hくらいまで上がる。測定部にマントルを載せると下がる。ナゼだろう?マントルがバックグラウンド放射線を遮蔽しているのか?


で、オチはウチのマンションの部屋でのバックグラウンド放射線。エコバンドもエコシールもブッチ切る0.062μSv/hだった(^^;;;;;;;;;

と言うわけで、ウチのマンションの中なら燃費が良いカモしれない(笑)。

# 要するにこの商品、自然な環境放射線を超えるレベルのモンでは無いと言う事です。

実走行テスト

今回の商品、即効性が有るとの事ながら、効果が最大になるまでに100Kmほどの走行が必要だとの事。巧い書き方だ(笑)。 装着直後で効果が完全ではないと言われたくないので、取り付けは5月7日に行った。取り付けてから3日間で50Kmほど走行した。スケジュールの関係でコレが限界だった。言うまでも無いが、体感的には何の違いも感じられない(笑)。付けた事すら忘れるいつものフィール。

過去2001年から毎年続くこのエコランテスト、エンジンオイルはいつものオイルを継続使用、タイヤも同じタイヤを同じ空気圧で使用、プラグ磨耗やエアエレメントの汚れ具合などのチェックも怠ってない。2003年の11月にタイミングベルト、ウォータポンプ、などを交換している。もちろん玉砕酵素系添加剤はアレ以来使ってない(笑)。

過去3年間の成績は以下だ。2003年のデータは酵素系添加剤が玉砕したモノ。最高成績だった2001年は前走車に邪魔されずに自分のペースで走れた。最低だった2002年はトラックに邪魔されてコーナリングスピードが落ちた年。この最低と最高の誤差が僅か2.4%だ。過去3年の平均値は14.96Km/Lだ。

2001/05/04 328.0Km 21.5L 15.25Km/L
2002/04/27 324.3Km 22.0L 14.74Km/L
2003/05/08 327.6Km 22.0L 14.89Km/L

参考: カタログデータ 10.15モード燃費=12.8Km/L 60Km/h定速走行燃費=21.8Km/L

同じコース、同じ時期、同じ時間帯、究極のエコランを目指す。これ以上は無理って言うくらいのエコラン。エアコンはOFF、空気抵抗を減らす為に窓も開けない。コーナは無駄な減速をせずに直線スピードのままステアリングだけで無理やり曲がる(笑)。無駄な加減速はしない。緊張の連続。薄氷を踏むかのようなスロットルワーク、運動エネルギーと位置エネルギーの関係を意識しつつ、登りでポンピングロスを減らしながら蓄えた位置エネルギーを下りで運動エネルギーに変換する。燃料カットも最大限に生かす。


↑去年の酵素系添加剤玉砕の時の写真。高速道路上 80Km/h、オドメータ93807Km、トリップメータ305.2Km、燃料メータ半分。


↑今年のテストの写真。高速道路上 80Km/h、オドメータ105279Km、トリップメータ305.4Km、305Km走って燃料メータは半分。変わってない...。ちなみにオドメータは1年で1.2万キロほど増えている。今回は前走車に邪魔されず割と自分のペースで走れた。結構良い結果が出ているような気がするのだが、メータの減り方はいつもと変わらんような...?

ちなみに燃費計測はトリップメータを使った満タン方であるが、同じスタンドの同じ給油機で、クルマを揺らしながらタンクのエア抜きをやり、本当にこれ以上入らないギリギリまで給油してから計算している。普通にスタンドに頼んで燃料を入れてもらうと、丁寧に満タンにした場合とテキトーに止めた場合で1〜2L程度の差が出る。ド満タンにした状態でスタートして、テスト終了時にテキトーに満タンにしただけで止めちゃうと計算結果は好結果となり、その逆なら悪い結果となるわけで、その差はかなり大きい。満タン方で燃費を語るなら、クルマを揺らしながらエア抜きをやるくらいじゃないと意味が無いのでご注意あれ。

で、その結果が↓コレだっ!

2001/05/04 328.0Km 21.5L 15.25Km/L
2002/04/27 324.3Km 22.0L 14.74Km/L
2003/05/08 327.6Km 22.0L 14.89Km/L
2004/05/10 324.8Km 21.7L 14.96Km/L

過去3回の平均が14.96Km/L、今回の結果が14.96Km/L、すると、計算するまでも無く過去4回すべての平均も14.96Km/Lとなる。過去のデータの最高値と最低値の間に収まるどころか、完璧なまでの平均値を叩き出してくれた。 ここまで高精度なデータに何の文句が有るだろうか? そして今回も自信を持って言い切ってしまおうっ!

今回テストした放射線系燃費改善商品は

何の効果も無い!

何度も書いているが、燃費の比較は通常の走行で比較しても誤差が大きすぎて比較にならない。走り方で燃費なんか大きく変化するのだ。インプレッサバンの普段の通勤燃費は10Km/Lを大きく下回る。ヘタすりゃ7Km/Lくらいカモしれない。するとエコランテストとの差は実に100%に達する。2倍だ。走り方で2倍を超える数値の差が出るのだ。普段私は加速時に4000回転くらいまで普通に回す。だが、エコランでは2000回転以下に抑える。これ以上スロットルを戻せない領域で走る。まだ戻す余地が有るのなら、戻すだけで燃費は改善するわけで、走り方で結果は変化する。それでは比較にならないのだ。高価なインチキ商品に騙されて金を払って燃費改善を期待するヒト達、みんなスロットルを踏む量が減ってるんですよ。それが燃費改善となって現れているだけ。効果が出ないのは走り方や誤差のせい、効果が出たらオカルト商品のおかげ、それではあまりにもお粗末だ(笑)。効果が出たのなら、それはあなたのスロットルの踏み方がいつもよりちょっとだけ少なかったんですよ。

燃費を語るなら条件を揃えて比較しなきゃデータとして説得力が無い。条件を揃える為の手法が私の場合はこのようなエコランになっただけで、エコランでなくても条件を完璧に揃えればデータとして意味が有ると言える。

トルクやパワーを語るなら全開で比較しなきゃ意味が無い。「いつも通りにスロットルを踏んでもどんどん加速してしまう」なんて話も聞くが、そりゃいつもよりスロットルを踏んでるだけでしょ(笑)。「全開での差や数値に現れないフィーリングの差が云々...」って話も聞く。気のせいでしょ(笑)。スロットル全開で比較するか、スロットルにストッパーを付けて一定開度で比較するくらいじゃなきゃ意味が無い。

加速を試そうとする時、いつもはやらない加速テストをやる。不必要な加速を試す。それはいつもよりスロットルを踏んで加速を試すわけで、いつもより大きな加速度を期待する人はいつもより大きくスロットルを踏む。そりゃいつもより加速するわな。「トルクアップした、レスポンスが良くなった」そりゃそうだ。いつもはやらないアクセルワークで期待満々でスロットルを踏んでるんだから、いつもより加速して当然。

トルクアップしたと感じた人、あなたはいつもよりスロットルを大きく踏んでいるんです。燃費が良くなった人、あなたはいつもよりスロットルを戻して回転数を抑えてるんです。

ロドスタでROMセッティングをやってるときには明らかな差を感じ取ってセッティングを煮詰めているわけだが、オカルト商品で差を感じた事は過去に一度も無い。もちろん今回の放射線系グッズでも何の効果も体感出来なかったのは言うまでも無い。そして数字として現れる燃費データに微塵の差も無かった事は前述の通りである。予想通り今回も玉砕してくれたオカルトグッズに合掌である。

それでもこの企画に挑戦してみたい燃費グッズメーカ様の勇気有る挑戦をお待ちしています(笑)。

# ちなみにこのテスト、非常に疲れます(^^;

追記:
今回の萩口キルト様は、この商品を大量生産するかどうかの段階で、本当に効果が有るのかどうか? その厳密なデータが欲しくて当サイトにテストを依頼されたようです。正直な気持ちが現れている大変好感の持てる方であった事をお伝えしておきます。

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