酵素系添加剤 A-212 & A-112

記事中に『 酵素 こうそ 』と『 酸素 さんそ 』が度々出てきます。酵素と酸素では意味がまったく違いますので読み違えないように注意してください

酵素だそうな。なんじゃそら?(笑) メーカーのサイトこちらに出ているが、03.5.8現在はまだサイトが未完成のようだ。 仕方ないので、ちょっと巨大な画像で申し訳ないのだが以下に製品カタログのコピーを載せておこう。

この資料には書いてないが、別資料によると燃費30%向上、パワーアップ8%だそうな。各資料で「酵素」を連発している。酵素がオイルや燃料の分子を細分化するらしい。連鎖的な構造をもつオイル分子を分断細分化されても困るような気がするのだが...(笑)。 上記資料には書いてないが、別の資料ではその酵素の分子構造には大量の酸素を抱き込んでいるのだとかなんとか...しかし、その話しがこのA-112の事なのか、別の製品の話しなのか良く解らない。 テストデータや社外秘など大量の資料をもらったのだが、イマイチ良く解らない。まぁ、塩素系やテフロン系などのような害悪は無さそうなので、インプレッサバンでテストしてみるとしよう。

しかし、酸素を含む物質を燃料と一緒にエンジン内部に供給するとしたらどうなるのだろう? ちょっと考えてみた。酸素を供給するって事は、吸入空気量を増やしたのと同等の意味が有る。排気量を増やしたとか、過給圧を上げたなどと同等の意味を持つわけだ。それならばパワーは上がるカモしれない...と、思うのは早合点だ。

まず、スロットル全開でこれ以上吸気出来ない状態、つまり全負荷状態で考えてみる。この場合、燃料と共に酸素を供給したとしたら、空燃比は薄くなってしまう。ECUは今までどおりの噴射量を維持するだけなので、大幅な酸素の供給はエンジンブローを招く。空燃比が変化しない程度の酸素量なら意味が無いわけで、どっちみち効果は疑問だ。エンジンブローしない程度に空燃比がテキトーに薄くなる程度に実に都合良く酸素が供給されればパワーアップは望めるだろう。

次に低負荷域を考える。そもそも低負荷域ではスロットルバルブによって吸入空気量を制限している。一定速度を維持する時など、必要な出力を得る為に吸入空気量をスロットルで制限する事で出力を制御している。ここに別系統から酸素を供給されたら余計なお世話としか言いようが無いわけで、その分だけスロットルを戻さないと一定速度を維持出来ない。スロットルを戻すと吸気管負圧は上昇し、ポンピングロスは増大する。ポンピングロスを減らす為には大量EGRなどで酸素を含まない不活性ガスを吸入する方が効果的だ。つまり、燃料と一緒に酸素を供給したら燃費は間違いなく悪化するのである。空燃比はどっちみちフィードバック補正されるので変化しないわけで、ポンピングロスが増えた分だけ燃費が悪化する。

つまり、私の手元に有る資料に書かれている酵素が酸素を抱き込んだ構造で燃料に対して大きな助燃効果を生むっていう話しはどうも疑わしい。酵素が燃料分子を細分化して云々...って話しはそれはそれで良いのかもしれないが...? 実際のテストデータではオイル添加剤と燃料添加剤の併用で丁寧に走ると燃費30%以上向上だそうで、例によって現代科学で解明不可能なオカルト原理が働いていると思われる。

うーむ...ナニが蘇るのか? 93000Km走行のインプレッサバンも蘇るのか? 科学がすべてではない。科学で解明出来ないオカルトな原理で燃費が30%向上するのカモしれない。実験してみる。

実はこの添加剤と資料一式はメーカ様から辛口テスト(笑)を依頼されて頂いたモノである。私は否定的な意見を出したのだが、自身満々な担当者様がどうしても試してほしいと。結果が悪くても公表しちゃうぞって脅しても「構わない」 と。ほほー。ならばテストしてやろうじゃんっ ってのが始まり。テストに適したこの時期まで温存しておいたモノ。インプレッサバンでは毎年この時期に同じコースを同じ時間帯に同じ走り方でエコランに挑戦している。これ以上無いくらい丁寧な走り方で究極の燃費データを叩き出す325Kmの走行だ。この定例コースで試そうではないか。通勤や普通の旅行などでは条件が違いすぎて比較にならない。やはり限界に挑戦する定例コースでのエコラン以外での比較では意味が無い。過去の最高記録は15.25Km/Lだ。30%向上なら19.82Km/Lは走ってくれるハズ。1800ccフルタイム4WDのインプレッサバンが20Km/Lに迫る燃費を叩き出すと? それは楽しみだ。

実験の2日前にオイルを交換し、それと同時にオイル添加剤を注入。20Kmほど走行した。燃料は出発直前にド満タンにし、満タン前に件の添加剤を2倍量添加で2本入れた(初回は2倍入れろとの事)。即効性が有るとの事なのでこれで良いだろう。ちなみにオイル添加剤、燃料添加剤、共に私には何の体感も出来なかった。オイル添加剤を入れて2日間、入れたことすら忘れるくらいのいつものフィール(笑)。

そして5月8日の深夜に出発。深夜に国道8号>148号を走って山奥に、翌日の昼間に148号>北陸高速で帰ってくる約325Kmが定例だ。


燃料半分で305Kmを突破。今までと変わらんような...? ガラ空きの北陸道で忍耐の80Km/h定速走行。5速2000rpm、時速80Km/hをひたすら維持する。微妙な登り下りに合わせて足が攣りそうになるmm単位のアクセルワークで無駄な加減速を無くす。行きの登りで蓄えた位置エネルギーを帰りの下りで回収し、燃料カットを最大に生かした限界のエコラン。

そしてその注目の結果はこうだっ!

2001/05/04 328.0Km 21.5L 15.25Km/L
2002/04/27 324.3Km 22.0L 14.74Km/L
2003/05/08 327.6Km 22.0L 14.89Km/L

参考: カタログデータ 10.15モード燃費=12.8Km/L 60Km/h定速走行燃費=21.8Km/L

これが定例コースでの究極のエコランの3年分の成績である。見事なまでの誤差の少なさ。最高だった01年と最低だった02年との差が僅か2.4%だ。 同じ目的地に向かっているのだが、ちょっとした寄り道などの違いで最大3.7Kmほど走行距離が異なるのは勘弁願いたい。つか、ここまで揃ってるだけでもすごいと思ってください(笑)。

そして今年試した燃料添加剤とオイル添加剤の燃費への影響はまったく無いと自信を持って言い切ってしまおう!

ところでこの商品の価格は、燃料添加剤が1250円/2本、オイル添加剤が3980円、だそうだ。で、1000Km/月として12000Km/年を走る為のコストを考えて見ましょう。オイル交換を3000Kmごとにやるとして、オイル添加剤が4本必要なので添加剤コストは15920円。燃料は10Km/lとして1200リットルが必要。燃費が本当に30%向上するとしたら燃料は792L必要。燃料添加剤は燃料40Lに1本として、約20個必要。すると燃料添加剤のコストは12500円。燃料を100円/lとすると...

燃料792L(79200円)+燃料添加剤20本(12500円)+オイル添加剤4本(15920円) = 107620円

燃料1200L = 120000円

と言う事で、本当に燃費が30%向上するならペイしますね。20%だとペイしません。事実上、20%も燃費が向上する事は有り得ないので、絶対にペイする事は無いと思うんですが...(笑) いやいや、燃費ではなく数値に現れないフィールにこそ違いが...なんて反論が聞こえてきそうだが、私にはナニも体感出来なかった。

ちなみにインプレッサバンのこの時期の通勤燃費は10Km/lをちょっと切るくらい。暖機運転もA/Cも要らないこの時期は燃費が一番良い時期なのだが、それでも通勤だと10Km/Lなのだ。エコランを意識せずに普通に走る遠乗りだと12Km/Lくらい。エコランだと15Km/Lで普通に乗ると12Km/Lなのだ。つまり同じ遠乗りでもそこには25%の違いが有るわけで、走り方で2〜3割は簡単に変化するって事。通勤の10Km/Lとの比較なら30%以上の差が有るのだ。一定してない条件で燃費商品を比較しても意味が無い。ドライバの足の力加減やアドレナリン具合で燃費なんざ大きく変化するのだ。だからこそ私はこれ以上はムリっていうくらいのエコランで比較している。通常なら10%の差は誤差のウチと言いたいところだが、この恒例テストに関しては10%違えば本当に効果が有ると言えるカモしれない。過去の3回の誤差が2.4%しかないんだし。このテストで20%アップのデータを叩き出すくらいの商品が有ったら本物だと認めましょう。有るわけないと思うけど(笑)

このエコランに挑戦してみたい燃費商品のメーカ担当者さんいますか?(笑)

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