ノンステップバス運行開始 in OSAKA

  (大阪・ノンステップバスレポート)


誰もが乗りやすいノンステップバスが走り始めた!

 

 大阪市交通局は96年度末、つまり今年3月に2台のノンステップバスを導入した。都バスと同じく、三菱ふそうと日産ディーゼルから1台ずつで、どちらにも中扉にスロープがついている。日産ディーゼル製の方には、全国でただ1台、アメリカ・ライコン社製の電動スロープがつけられた(今回は乗れず残念)。三菱ふそう製の方で、都バスと違う点はバス車体の長さ。都バスが10.5mなのに対して、大阪・京都・名古屋・旭川電気軌道は11m車を採用している(50cmの違いでどんな影響があるんだろう?)。

 

 

   (左)臨幹97系統・加島駅前バスターミナルに停車中の三菱ふそう製ノンステップバス

   (右)幹97系統・大阪駅北口バスターミナルに停車中の日産ディーゼル製ノンステップバス

 

 6月のある土曜日の午前中、梅田(大阪)から出ている「加島駅」行きのバスに乗った(三菱車)。加島駅はJR東西線が開通してできた新駅。阪急の十三駅を通るこのバス路線は、病院や宗教団体の集会場があるせいか利用者も多い。オリンピック招致のカラフルなフレーズがバスの側面、中扉のガラスに描かれている。

 慣れない中扉から乗り込み、早速バスの車内を眺めて見ると、都バスの仕様とかなり違っている。

(1)最前列のフロ屋番台席(前輪のタイヤハウスの前部に座席が設置されているので、3段上って座ることになる。眺めは良い。)は、運転手席の後に1席あるだけで、前扉側にはない。人の頭部が視界にない分、前方の景色が開けて車内に開放感がある。

(2)車体の長さが都バスより50cm長いので、運転手席側のラインに、横向き座席がずらっと4席確保できている。これで、前中扉間のノンステップ部に合計8席が確保された。

 

(3)2段の段差がある後部タイヤハウス部には、東京・京都等の例のように、両側とも横2席の向かい合い席をつくらずに、荷物置場専用スペースにした。その結果、座席の数は少なくなるが、大阪市バスは前向きシートのみとしている。これも座って膝がぶつかることがなく、座席空間が広々としていてよい。

(4)大阪市バスと旭川電気軌道に共通していえる特徴が、中扉正面の「フリースペース」。大阪市バスでは、一時に乗客が乗り込んでもこの中扉付近に十分に乗客がたまるスペースがあるし、車内が空いている時にはベビーカー・ショッピングカートをそのままスペースに止めておける。よりかかって、ぼおっと外の景色を眺めるお兄さんもいた。 

 

 

(左)加島駅バスターミナル・中扉にある電動スロープ板を渡して車いすで乗り込む

(右)中扉入って正面には、車いすやベビーカーをそのままとめられるフリースペースが広がる

 

 なんといっても車いす使用者にとってはうれしいバスだ。運転手が席を離れて操作をしなければならないのは仕方ないが、電動スロープは比較的簡単なボタン操作ですぐに出てくるし、スロープの角度もゆるやかなので乗り込むときの横転・転倒等の心配もない。車いすを押す介助者も楽だ。また、中扉の目の前にフリースペースが広がっているので、乗り込んですぐに場所が決まる。以前導入されたリフト付バスのように、座っている乗客にどいてもらって優先席をはねあげて車いすスペースに固定していたことを考えれば、高齢者も車いす使用者も気がねなく使いやすいデザインになった(ただし、2台目の車いす使用者の固定スペースは一般席のはね上げとなっている)。

 大阪市バスの利用者は互いによく席を譲る。オバちゃん同士、おばあちゃん同士でも、相手がつらそうやな、と思えば譲る。おかげで高齢者が不安定に手すりにつかまって立つといった光景はなかった。運転手さんも、停留所を発車して信号が赤で停車していれば、扉をあけて乗客を乗せてくれる。運賃が後払いだから気楽に乗せられるのかもしれない。また乗客は、降りるときに「ありがとう」といって降りる人が多かった。乗客同士また乗客と運転手のコミュニケーションがかいま見られて、乗り心地の良いバスだった。

 

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