ノンステップバス運行開始 in KYOTO

  (京都203循環路線・ノンステップバスレポート)


誰もが乗りやすいノンステップバスが走り始めた!

 古都・京都の市バス203号系統にノンステップバス(三菱車)が導入された。この路線は、四条通り-祇園から東大路-銀閣寺道で今出川通り-西大路へ折れてまた四条へ戻るというたいへん長い循環路線。乗車した時は、小1時間かかってしまった。それでも利用者の様々な反応が面白かった。

 

 京都も大阪市バスと同じく中扉から乗車する。午後も夕方近くになると、中学生、高校生がどっと乗ってきた。修学旅行生もよくバスを利用している。このときは、東京の東村山市の中学生たちが興味深くこの新しいバスを観察していた。

 車内ではテープ案内でノンステップバスの説明が時々流れ、窓にはエンジン停止機能(アイドリングストップ&スタートシステム)を説明したシール広告が貼られていた。小学生の子どもが父親に「ほら、だから音がしなくなるんだよ」と得意げな顔で説明していた。

 バスの車内・前中扉間には横向き座席がずらっと並んでいる。フリースペースはなく、車いす使用者が乗ってきたときのために、はね上げ座席(3席分)が用意されている。横向きなので、混雑時には座っている人の足が気になるだろう。都バスと同じく番台席が右左に1席ずつある。シートには御所車の絵が地模様で入っていてきれい。

 京都の四条高倉や四条河原町のような繁華街では、おばさん、おばあちゃんたちがお買い物袋を手にして、わらわらと乗り込んでくる。やはり段差のある後部座席へは足は向かない。ノンステップ部の横向きシートに腰掛け荷物をおろしてほっとしている。タイトスカートの女性が駆けこんできた。スリットの裾を気にせず、らくらく一歩で乗り込めた。

 沿線の停留所では、ベンチに座って世間話をしながら気長にノンステップバスを待っていたおばあちゃんたちもいた。錦林車庫近くで乗ってきた高齢のカップルは印象的だった。ツーステップバスにはとても乗れない足どりのおばあちゃんが、おじいちゃんに後から支えられながらバスに乗ってきた。通院だろうか。中扉横の席に二人で寄り添うようにして腰掛けていた。乗れないバスでなく、一歩で乗り降りできるバスが走ることで、シルバーパス支給制度は高齢者にとって使いでのある制度に変わっていくのだろう。買い物や通院といった日常の外出を十分に保障するのだから。

 写真は、クラッチ(両手杖)で乗った知人が前扉から降りるところ(烏丸今出川停留所)。バスが歩道にぎりぎりまで寄せて止まると、歩道の縁石の分だけ高さがかせげて、ラクに体重移動ができるのだが、離れて止まってしまったのでかなりつらかった。高齢の方の場合も同じ問題が残るだろう。今の路線は比較的まっすぐで広めの道路であるし、せっかくニーリングして23cmまで下げられるのだから、可能な限り歩道側に寄って、利用者の乗り降りしやすさを保障してほしい。

 また、彼が乗っていた車いすは折り畳んで乗せたのだが、フリースペースもなく、週末の混雑した車内では置場もない。運転手さんの指示で、前輪タイヤハウスの脇に寄せて介助者が支えることになった。主に高齢者の利用を支えるためノンステップ部の座席数を十分に確保しながら、フリースペースも設置するためには、車体の全長を可能な範囲で長く設定するのがよいと思う。

 概して京都市バスの運転手さんたちはとてもていねいな運転ぶりだった。というのは、各停留所で必ずといっていいほど「シューッ」と空気を抜いてニーリングして出入り口の段差を低くし、交差点や不意の停車時では驚くほど確実にアイドリングストップ機能を使って、エンジンを止めていたからだ。新しく導入されたこのノンステップバスの良さを生かそうと懸命な姿勢が感じられた。

 

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