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2月5日(金)
日本出発 → アイルランド到着

成田空港

ユーラシア大陸の東の果てにある島国・日本から、西の果ての島国・アイルランドへ出発する日がやってきた。

2月の早朝。 まだ薄暗く、凍てつく空気の中、しっかりとコートを着込み、大きなリュックを背負って 僕(あきぼん) と妻(波留子)は自宅を出発した。

朝11時の飛行機に乗るのだが、出発の2時間前に空港に行ってなくてはならないし、 自宅の最寄り駅(京王線分倍河原)から成田空港までは、電車で2時間半もかかる。 余裕を見て家を出た時間は朝の5時だった・・・。

・・・というわけで、8時ころには空港に到着。
早速、旅行損害保険に加入する。 空港に行ったら、目立つ所にカウンターがあって、その場で簡単に手続きできた。 妻は旅行保険付きのクレジットカードを持っていたので、ここでは何もせず。

そして、旅行代理店に指示されていたツアーカウンターで、無事に切符を受け取る。
残念ながらこの文章を書いている時点では、まだ日本からアイルランドへ直行する飛行機はない。 僕らがとった切符は、オランダのスキポール空港というところで乗り換えなくてはいけない。 そのスキポールまでは "KLMオランダ航空" のお世話になることになる。
実は "KLM" というのが何の略なのかがわからなかった。 後日、税関務めの友人でさえも 「 いろんな航空会社には詳しくなったが、 "KLM" の意味だけはわからない」 と言っていた。 謎である。

ともかく、KLM(オランダ航空)のカウンターで搭乗手続きを行なう。
妻の友人に旅行慣れした人がいて、彼女が教えてくれたというアドバイスに従って、「"足元の広い席"」 をリクエストする。 通路として使うために、前の席との間隔が広めにとられている席である。
このとき取れた席は、すぐ前が非常ドアになっている席だった。 離発着時には乗務員が向かい合う形で座るので、そのときはやや照れくさいものがあったが、 足は伸ばせるし、トイレに立つときなど周りに気を使う必要がなくて楽チンだった。 ただ、主翼の真横だったので、下の景色がよく見えなかった。

搭乗手続きを済ませ、あとは時間が来るのを待つだけ。 おにぎりを食べたり、読書をしたりして過ごす。 アメリカに行ったときは、このときドルに両替したが、 ここではアイルランドのお金には両替できない。


機内

午前11時の定刻通りに、僕らの乗った飛行機(KLM862便)は飛びたった。 KLM(オランダ航空)のシンボルカラーであるらしいスカイブルーのボディーが眩しい大型機だ。

しかし正直なところ、未だに金属の物体がフワッと宙に浮くことが不思議に思われる。 頭では理解できて(・・・るのか?)も、感覚的に納得いかない。 紙ヒコーキが飛ぶのはわかるが、 ホンモノと同くらい精巧に作られたジェット機の模型を思いっきり投げたとしても、 ちゃんと飛んで行くとは想像できないのだ。

客室内の数箇所にあるモニターには、ときおり地図と現在位置などの情報が表示される。 ヨーロッパは西にあるものと思っていたが、 飛行機はシベリア方面を目指していきなり北上する。 メルカトル図法の地図を見慣れてると気付きにくいが、 球形の地球上では、その方が最短ルートなのだった。 中学校の社会科で習ったことを思い出す。

シベリア上空、外気温度:氷点下ウン十度なんていう表示を見ると、ちょっと恐ろしい。 機内と外とは別世界・・・宇宙船にでも乗ってる気分だ。

乗り換えのスキポール空港に着くのは12時間後。実に長い旅だ。 機内ではひたすら読書。 アイルランド行きまでに読み損ねていた ちくま文庫の 「ケルト妖精物語」 (Y・B・イェーツ著)など。 かなり分厚い文庫本で、読むスピードが遅い僕には、機内での時間をつぶすには十分量だった。 どっぷりとアイルランドのファンタジーに浸り、アイルランド行きの気分を高める。

最初の機内食は 『日本食か西洋風か(Japanese or Western)』 を聞かれた。 箸も出た。箸の入っていた袋の裏には、英語で箸の使い方の説明があった。 となりの席に座っていた白人さんが、めちゃくちゃ箸の使い方がうまかった。 はっきり言って負けた。 僕らはスプーンとフォークで食べているのに、その白人さんは かたくなまでに、出てくるもの全て箸を使って食べていた。

スチュワーデスさんが飲み物を配りに来るたび、貧乏性で全部もらってしまう。 おかげでオレンジ・ジュースの飲みすぎで腹をこわす。

西に向かって、つまり太陽の進行方向に飛んでいるので、いつまでたっても暗くならない。白夜とはこんな感じだろうか。

僕が読書している間、妻は機内上映の映画を見ていたのだが、 向こうの人が翻訳したらしい、ヘンな日本語字幕を楽しんでいたそうだ。

日本時間 18:00ころ、 機内にどうもいい匂いがする・・・と思ってたら、 日清のカップヌードルが出た。 これはなんだか、かなりうれしかった。KLMに乗って良かったと、心から感じた瞬間だった。 ただし「アイスクリーム OR ヌードル?」の2択である。 アイスクリームもおいしそうだ・・・。

隣りの白人さん、やっぱり箸で器用にカップヌードルを食べてる。

日本時間 19:00ころ、ウラル山脈を通過。 ヨーロッパ地域に入ったわけだ。 いつのまにか遠くまで来たなぁ・・・。

日本時間 21:00、2度めの機内食は・・・ヤキソバ。 おかずとして(?)、普通のつけソバが付いてる。 これは間違ってる気がする。

飛行機は、スカンジナビア半島に沿って南下し、 オランダのスキポール空港に到着した。
日本時間 23:00、 オランダ時間で 15:00。


スキポール空港

オランダの首都アムステルダム近郊にある、巨大な空港だ。 世界中のいろんな路線を結んでいる、世界的乗り換え空港らしく、あちこちに待ち時間を利用して寝ている旅人がいた。

アイルランド行きの飛行機は、なんと4時間後。 免税店をのぞいたり、広い空港内をちょっとブラブラしたりして過ごす。

ここでトイレに入ったら、男性用便器にやや大きい "ハエ" が止まっていたので なんかイヤだなと思い、隣りの便器に移動したら、同じヤツがいたのでギョッとする。 よく見たら印刷だった。結構リアルに描かれている。 妻に報告すると早速女性用トイレに確かめに行ったが、無いそうだったので、 デジカメに撮影して妻に見せる。 便器にカメラを近づけて接写するのはかなりイヤだった。 人は少なかったが、怪しい東洋人と思われたに違いない。

ウロウロしている間に、疲れと眠さでヘロヘロになってきた。 人の少ないロビーを見つけたので、ベンチをベッドにして、1〜2時間ばかり横になる。


エアリンガス(アイルランド航空)

スキポール空港から、アイルランド行きの便は、 アイルランド航空「エア・リンガス」の飛行機。 アイルランドのイメージ色でもある "緑" で塗られた機体。 【写真】  垂直尾翼には、シャムロック(3つ葉のクローバーに似た植物)が描かれている。 【写真】  シャムロックはアイルランドのシンボル的な植物だ。 アイルランドが好きな人は、この機体を見ただけでも胸がときめくと思う。

オランダ時間 19:10 (日本時間で 27:10)の予定を、 約20〜30分程度遅れで出発した。 すっかり暗くなっており、アムステルダムの夜景を眼下に見る。

客席は6列で、 さっきまで乗っていたKMLの便(9列)とくらべると、かなり小さく感じる。 ローカルな雰囲気がよい。 大袈裟に言うと、スチュワーデスさんの顔がみんなエンヤっぽく見える。

到着時間が近づくと、ダブリンと思われる夜景が見えてきた。 きれいではあるが、あまり派手ではない、ほぼ黄色一色に近い、落ち着いた感じの光の群れだ。

ダブリン空港に到着したのは、 日本時間で 29:00 = アイルランド時間 20:00。
語学力のなさのため、入国手続きでちょっとあせりはしたが、まぁ何事もなくアイルランドに着いた。 自宅を出てから、ちょうど24時間が経過していた。

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