奈落の帝王
■ストーリー
キャロリーナ男爵夫人治めるカラメールの国に危機が迫る。
北方の国ベイ・ハンとの交戦による軍隊の留守中に、東方から謎の軍隊が迫るとの知らせが入ったのだ。 この国最強の戦士「無敵のラメデス」も不在。 頼みの綱は、街に滞在していた君を含む、11人の冒険者たち。

君は限られた時間の中で、謎の軍隊の正体を暴き、カラメールの危機を救うことができるか?


難易度:★★★★★(5段階評価)

■作品紹介

豊かな背景設定・疾走感・場面の変化のメリハリ

もし、FFシリーズ全体を1つのキャンペーンシナリオをするならば、「最終回」に持ってきたいような作品。 難易度は高めで途中あきらめかけたはしたが、壮大なエンディングは幾多の苦難を乗り越えてまでたどり着く価値有り。

前半部では、主人公は馬に乗ってる(これはFFシリーズ中では意外と珍しいのではないか?)。 短時間で町から町、村から村へと移動する様は読んでて気持ちいい。 これが時間ルールとの相乗効果で、見事なスピード感を演出している。

そうかと思うと、後半はめまぐるしく場面が展開。 たくさんの人物も登場して、作品をドラマチックにしている。 変化する舞台によりメリハリがつけられており、長いストーリーを飽きさせない工夫が感じられる。

そして、最後にはあっと驚く結末が。

『火吹山の魔法使い』を始め初期のFF作品などでのパラグラフ移動は、言ってみれば、"場所の移動"と"イベント"の機械的な繰り返しだった。 当時はよく「小説とゲームがドッキングした」などと言われたが、正直言って"小説"と呼ぶには弱いと思っていた(もちろんそれでも十分に面白かったし、そんなことを非難するつもりはないが)。
これが『奈落の帝王』では、選択肢を選ぶことにより、単なる場所の移動ではない物語の進行が楽しめるほどに進化している。 シナリオもヒロイックファンタジー・ストーリーとして秀逸で、"小説" としても十分に楽しめる出来だ。


■プレイアドバイス
プレイ開始にあたっては、人名をきちんと把握しながら読み進めるべし。 特に以下の人物はカラメールの重要人物なので、ちゃんと覚えよう。

キャロリーナ男爵夫人
マッドヘリオス
イクチャンのダンヤザード
沈黙のシージュ
司法官アシア・アルブドール


■この作品独自のルール

即死
戦闘時、"君" の攻撃力を決めるためにふる2個のサイコロの目が「6ゾロ」だったら、 相手に致命傷を与えたことになり、その場で勝利が決定する。 このルールは、ファングセイン鋼の剣を使用する時にのみ適用される。
類義語 → クリティカルヒット、会心の一撃

時間表
このゲームでは、従来の冒険記録紙の他に、20個のマス目からなる「時間表」が用意されている。
なにかしら時間のかかる行動をとると、本文中に「時間表のマスを○個チェックせよ」というように指示があり、そのたびにマス目を潰して行く。 チェックされたマスの数は、冒険開始からの経過時間を示すことになり、経過時間によって強制分岐するパラグラフも存在。 一定時間が経過してしまうと決められたイベントが発生する。 従来のゲームブックだと「怪しいところはとりあえず調べる」が鉄則(?)だったが、 あまり無駄な時間潰しは命取りとなるわけだ。そのせかし方が、ゲームをよりスリリングにしている。
・・・と説明すると面倒くさそうなルールだが、 要するに「正」の字を書いていくようなだけだから、さほど負担にはならなかった。


雑感 1998/7/17作成
■雑メモ(ネタバレあり)
登場人物 ワールド 道具

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