火吹山の魔法使い
The Warlock of Firetop Mountain
著者: Steve Jackson and Ian Livingstone 1982
挿絵: Russ Nicholson 1982
邦訳: 浅羽 莢子 1984

■ストーリー

火吹山の地下迷宮に隠された財宝を見つけ出せ!


難易度:★★(5段階評価)
重要度:★★★★★

歴史的1冊!

ファンタジー・ゲームの王道を押さえてあり、教科書的でもある。 いわゆるRPG入門編としても良い出来だ。 いや実際のところ、 この作品からファンタジー系ゲームのファンになったという人も多いハズ。 モンスターもオーソドックスなものが多数登場するし、難易度も低いので、 初心者向けでもあるけど、そうでない人が遊んでみてもそれなりに楽しめるだろう。

一作目ということで、ストーリー性や背景はそれほど凝られていない。 ストーリー分岐型ゲームというよりは、 自分自身が架空の空間に存在して、様々な疑似体験を楽しむというタイプのゲーム。 後期のFF作品群と比べると、 通路(移動)と部屋(イベント)の繰り返しという単純な構成であることが明らかだが、 それが逆に主人公の無色透明感を強めており、 作品世界によりめり込ませる要因となっていた気がする。

最近のコンピュータRPGは、 派手なグラフィックを用いて視覚的なリアリティを追求する傾向があるようだが、 『火吹山の魔法使い』を始めとするゲームブックでは、 文章による描写が大部分であるにも関わらず 十分にリアリティを感じることはできる。 文字から情景を思い浮かべる(想像する)・・・という行為は 自分自身の体験に基ずつものなので、 他のどんな表現方法よりも 読者にとっては現実に近いのではないかと思う。 これが、文字媒体であるゲームブックの面白さの1つでもあり、 読者の数だけ異なったイメージの "火吹山ダンジョン" があるのだと思うと、奥が深い。

それともう1つ、 絵が描けなくても、プログラミングができなくても、 紙とペンさえあれば自分にもゲームを作れるかもしれない、 という可能性を感じさせてくれた遊びでもある (もちろん、面白いものを創るのはそんな簡単じゃないんどろうけど)。

しかし・・・ サイコロが印刷されてないぞ!電車の中で読めないではないか(爆)。

ところで、某安田氏が唱えた「主人公=盗賊」という説があるが、僕はこれを否定している。 「主人公=盗賊」の根拠は、"忍び足" や "聞き耳" という行為を多用しているところから来ているようだが、 扉に(開錠せずに)体当たりを試みたり、ろくに調べもせずに宝箱のワナに引っ掛かったりと、 盗賊と呼ぶにはちょっと「?」な行為も目立っているからだ。


■プレイアドバイス
強敵との戦闘後は、必ずといって良いほど運点が回復する。 経験値がないための代理報酬といったところか。 よって、運に自身があるなら、戦闘ではどんどん運試しを使ったほうがお得。
■ルールについて
この作品のルールが、FFシリーズのスタンダードかと思いきや・・・ ちょっと違っていた。 1つは、食事場所が指定されるという点、 もう1つは、魔法薬を2服分 持って行けるという点だ。 このサイトでは、『運命の森』のルール(食事自由10点分、魔法薬一服分)を、スタンダードルールと定義しておくことにする。
雑メモ(ネタバレあり)
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