PUMAN Robot-Simulator for Direct3D
アニメーションモード


まえがき

 産業用6軸ロボットがある姿勢をとるためには、6軸分の関節角度データや手先の位置姿勢データが必要です。ロボット姿勢ひとつ分のデータをポイントといいます。そして「ポイントAからポイントBへ移れ」というひとつの命令をステップといいます。

 このステップ命令を受けて、ポイントAから次のポイントBとの間隔を適当に補間計算することで、ロボットはポイント間を滑らかに動くよう制御されます。

 補間方法には、

  1. 関節軸単位で行うリンク補間(関節補間)
  2. 手先位置姿勢で行う直線補間(手先補間)
  3. 設定した3点を通るように制御する円弧補間

などがあります。

 PUMANも直線/リンク補間機能を持っていて、実ロボットの動きをコンピュータ上のバーチャルロボットにより模擬動作させる(シミュレーションともいう)ことができます。最終的にバーチャルロボットは、実ロボットそのままの機能をもつことを目指しています。

 シミュレータの特性を活かした機能として、PUMANは動画再生時のアニメーションモードを持っています。

アニメーションモード

 ロボットなどの研究分野では実装置で実験を行う前に、自作の運動解析ソフトで設計など検討を行います。たいていはMathematicaMatLabといった数学ソフトを用い、またはC/C++プログラムで数値シミュレーションを実行し、時系列のデータを出力します。

 このデータを研究者が理解するのに、まずNGRAPHGNUPLOTなどのグラフ作成ツールで読み込み、横軸=時間、縦軸=出力結果の2次元グラフを作成します。ただし時間に応じた出力の変化のグラフから、ロボットの動作を想像するのは容易ではありません。


 そこでPUMANはリアルタイム3DCGにより、数値シミュレーション結果を実時間再生することで、オペレータが臨場感をもって運動イメージをつかむことができます。
 
運動解析に適したアニメーション再生モードをいくつか用意しました。

 

  1. フレーム管理型(拡張子frm)

     
    あるロボットの姿勢データ(ポイント)間を、コマ割り(フレーム割)して連続再生していく方法です。
     アニメーションを「コマ送り」と考えて管理できるので、「このポイントから10コマ先をだして」というようにイメージはつかみやすい。

     ただし動画再生の速さはマシンの描画性能に大きく依存し、コマ数はマシンによって書き換えねばならない。

  2. 周期管理型(拡張子smt)

     フレーム管理型のようにただコマ送りするだけでなく、アニメーション再生時に現在の描画速度を計測し、その値によってコマ割数を管理することで、 マシンの性能に関係なく指定した周期で間隔を補完するモードです。
     これにより時間のテーブルを現実スケールにおけるので、オペレータがより直感的に扱うことができます。たとえば「20msec間隔で再生していたものを、倍の40msec間隔で再生すれば、1/2速度のスロー再生になる」わけです。

    再生誤差については、 人間がストップウォッチを押す速さが0.1〜0.2[sec]程度とすると、20FPS以上出るマシンなら誤差は見逃せます。

  3. 任意時間管理型(拡張子vlt)

     製造工程においてロボットの運動計画は生産タクトにおさまるよう検討が必要です。
     たとえば1時間に60個つくる工場なら、逆に1個の生産タクトは1分以内となり、その中でワークの運搬/組み立て/加工などの動作を行わせるわけです。
     よってタクト内のロボットの動きをタイムチャートで考え、1.0[s]で45度、5.5[s]で85度といった一定周期でない任意の時間で指令するモードが任意時間管理モードです。

  4. 速度管理型(拡張子spd)

     実ロボットではポイント間を補間するのに、
    「ポイントAからポイントBへ、直線補間を用いて、速度10mm/secで移動せよ」
    というステップ命令を与えます。
     ver.0.95で実装した速度管理型データは、ポイント間の補間方法として、
    • 直線補間で、手先速度を指定
    • リンク補間で、関節速度の最大値を指定
    • 指定時間だけ待機

の機能をもたせています。
 上記のような疑似的にステップ処理を行わせることで、コンピュータ上のバーチャルロボットで作成した生産計画は、実ロボットによりちかいものとなりました。

 またロボット本体についても、新しいアニメーションモード導入を検討しています。


<注意>ロボットを除く生成モデル(後述)は、任意時間管理型にのみ対応しています。

とりあえず転載禁止
Copyright Takashi Horinouchi 1997. All rights reserved.


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