1996 Formula One World Champion Ship

Round 16. Japanese GP. Results



Last updated, Oct.14 1996

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第16戦 日本GP最終結果
◇10月11日〜10月13日:三重県鈴鹿サーキット
 (5.86403Km×53周)

○日本GP予選結果

○日本GP結果詳細

○ドライバー&コンストラクターランキング


○ヒル優勝でチャンピオン決定!

HILL
 1996年F1第16戦日本GPの決勝が22日三重県鈴鹿サーキットで行われ、D.ヒル(ウィリアムズ)が今期8勝目を挙げ、ワールド・チャンピオンを獲得した。(写真:表彰台で喜びの笑顔をみせるD.ヒル)

 前日予選後に降り出した雨も朝にはあがり、鈴鹿は爽やかな秋晴れ、チャンピオン決定の場にふさわしいコンディションに恵まれた。観客の入りのほうは、やはり一時期のブームより観客数は減っているのだろうが、メインスタンド、1コーナ付近にはびっしりの人が詰め掛ける盛り上がりを見せ、ちょっと一安心(新聞報道によると観客数は13万9000人)。

 フォーメーション・ラップではクルサードがスタートできずフォーメーション・ラップはやり直し。クルサードは最後尾スタートとなる。

 そして、注目のスタート。ここでポールポジションのヴィルヌーブがまさかのスタート失敗。一方のヒルは上手く決めてトップに立つ。次いで予選4位ベルガー、予選5位ハッキネン、予選2位シューマッハ、予選6位アーバインと続き、ヴィルヌーブは6番手まで後退し苦しいポジションに。
 スタート直後のS字コーナ手前でアレジが誰かと接触したのかスピンし、フェンスに激突。アレジにはけがはなかったがそのままリタイアとなる。

 3周目、2位走行中のベルガーがシケインの飛び込みで強引にヒルのインを突く。しかしヒルの後輪に追突し、フロント・ウィングを支える2本の支柱の1本が折れてブラブラの状態に。次の周にノーズ交換のためにピットインを強いられ、順位を14番手まで落としてしまう。ヒルのピットも万が一に備えてタイヤを用意したが、走行には影響なさそう。

 ヒルはその後も快調に飛ばし、2位ハッキネンを引き離しにかかる。一方のヴィルヌーブは、過去に全日本F3000に参戦し鈴鹿を得意とするアーバインをなかなか抜けない。しかし、12周目のシケインの飛び込みでブレーキングを遅らせ、アーバインのインに奇麗に飛び込みこれをパス、4位に浮上する。前が空いたヴィルヌーブは1分44秒台のファーステストタイムを叩き出しながら、前のシューマッハを追う。

 14周目、最初にヴィルヌーブが1回目のピットイン。新品タイヤを履いてピットアウトする。次いでシューマッハもピットイン。ヴィルヌーブが周回遅れに引っかかってしまったため、シューマッハはヴィルヌーブに抜かれることなくコース復帰に成功。
 19周目、ヒル、ハッキネンが同時にピットイン。ヒルはトップでコース復帰に成功。その後ろにすぐシューマッハが続き、さらにハッキネン、ヴィルヌーブと続く。ヒル、ヴィルヌーブとの差はこの時点で5秒274。5位にはアーバイン。6位には序盤でフロントノーズの交換で遅れたベルガーが猛追を見せ、ここまでばん回して来た。

 27周目、ここまで14番手を走行中の右京はシケインで前のJ.フェルスタッペンに追突し、フロント・ウィングを破損。ピットインを強いられる。しかし、2周目の1、2コーナで同僚サロを見事にパスするなど、今シーズン続いた不信のうっぷんを晴らすような熱い走りを続ける。

 31周目、ヴィルヌーブのピットの動きを見てシューマッハ、ハッキネンがそれに合せ、3者が同時にピットイン。シューマッハ、ハッキネンは順調に作業を終えコースアウトするが、ヴィルヌーブはフロント・ウィングの微調整に若干時間がかかり、遅れてピットアウト。どうも新開発のグッドイヤーのタイヤがアンダーステア傾向で、それを抑えるためフロントのダウンフォースを強めるように調整したらしい。これで5位に順位を落とす。
 33周目にはヒルもピットイン。無事作業を終えてコースイン。トップを維持する。

 そして37周目、ヴィルヌーブがいきなり1コーナでコースアウトとのレポートが。なんと右リアタイヤが外れるというアクシデントが原因。そしてそのタイヤが観客席に飛び込んでしまった。幸いケガ人はなかった模様であるが、ヴィルヌーブのリタイアにより、この時点でヒルのワールド・チャンピオンが決定した。

 38周目、右京がピットイン。エンジンから激しく白煙を噴き上げ完全にエンジン・ブロー、残念ながらリタイアとなる。
 40周目、4位を走行中のアーバインがシケインでスピンしリタイア。しかし、これは後ろからベルガーが無理にパスしようとして接触したようだ。

 終盤はシューマッハをハッキネンがコンマ数秒差で猛追するが、抜き所の少ない鈴鹿で最後までパスすることはできず。
 結局、終始危なげない走りでヒルが優勝を飾り、文句無くチャンピオンを決めた。2位シューマッハ、3位ハッキネン、4位ベルガー、5位ブランドル、6位にはフレンツェンが入った。


○ヒル、見事にチャンピオン獲得!

Jacques  もう優勝しかないポールのヴィルヌーブ。6位でもチャンピオン獲得のヒル。スタートで、この優劣によるプレッシャーがそのまま出てしまい、両者の明暗を分けてしまった。ルーキーのくせにルーキーらしからぬ走りや発言で、プレッシャーには無縁と見えていたヴィルヌーブがまさかここでスタート・ミスするとは。一方のヒルは、今シーズンはスタートミスが何度も見受けられたが、今日は冷静に決めてそのまま逃げ切った。本当の2人の心理は本人しかわからないが、TVを見ているかぎりではこのように見えたのだが・・・

 しかし、その後のヴィルヌーブの追い上げはスゴイとしか言いようがない。6位にまで順位を落とし、もう絶望と誰もが思ってしまう状況に置かれても、最後まで諦めず攻めの走りを見せてくれた。特に、あのアーバインを見事にパスしたシーンには、思わず「うぉー」っと大声を上げてしまった。デビューから「父親と比べて堅実」という評価が主流を占めていたが、前回エストリルでのシューマッハをパスしたシーンや、今回のアーバインのパスなど、亜久里さんが「ファンになってしまった」と言うくらい、父親を彷彿する攻めの走りを見せてくれた。しかし、最後は1コーナでコースアウト。テレビではそこでCMが入ってしまい「無理なハイペースを続けたためミスったか?」と思いきや、原因がリア・タイヤが外れるという信じられないアクシデントだったと知り、リタイアではあったが少しほっとした。でもやっぱり完走して、どこまで追い上げられたか見たかったが・・・
 それにしてもテレビの解説陣も言っていたが、シーズン後半のヴィルヌーブの走りを見ると、来年がホント楽しみである。(写真:シケインの飛び込みでヴィルヌーブはアーバインのインを突いてパス)

Ukyo  その他では、やはり地元とあって、テレビに映る回数が多かった右京の走りも熱かった! レース中盤、前を走るフェルスタッペンに追突してフロント・ウィングを壊したり、ペナルティーを受けたり、最後はエンジン・ブローと結果は散々であったが、2周目の1コーナーから2コーナーにかけて同僚のサロをパスしたシーンは、久々に熱い走りを見せてくれた。昨日の予選後のインタビューで目を潤ませながら、引退をにおわすような発言があったが、今日のレース後のインタビューでは「来年も頑張ります」と発言。まだ何も決まっていないと思うのだが、ぜひとも走り続けて欲しい(数チームから誘いがある模様)。(写真:2周目の1コーナで右京はサロのインと取り見事にパス)

 気になったところでは、ヴィルヌーブが2回目のピットインでフロント・ウィングを調整したが、その時解説の森脇氏が、「新開発のグッドイヤーのタイヤが、どうもアンダーステア傾向が強い」との発言。どうも多くのチームがグッドイヤーに対して不満を述べてるとのことで、タイヤの善し悪しがレースに与える影響はやはり大きいのだが、もし、来期参戦のブリヂストン・タイヤの性能がグッドイヤー・タイヤより上回れば、アローズ/ヒルの予想以上の活躍が期待できるのだが?

 そして、もっとビッグなニュースが放送開始直後に発表された。中嶋悟氏と愛弟子である高木虎之介選手が、「来期F1に参戦する」と発言。これについては、現在発売中のスポーツ雑誌「Number」403号にも記事が掲載されており、まだチームの具体的は形態やマシン、エンジンの供給元などは発表されてはいないが、この師弟がF1に参戦するというのは、想像するだけでもワクワクしてしまう。具体的な形が発表されるのが大いに楽しみである。

 そして最後はチャンピオン、ヒル。スタートでライバル ヴィルヌーブのミス?もあったが、先行逃げ切り型の持ち味を発揮して危なげなく優勝。「本当にチャンピオンにふさわしいのか?」と言われ続けていたヒルであるが、今日のレースはヒルの完勝と言ってもいい。ヒルにとっては理想的な形でチャンピオンを決め、レース後夫人と抱き合って喜ぶヒルの姿を見て、ヒルには割と厳しいことを言って来た私も、なぜかホッとした気分になった。Congratulation Damon!!



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