宣撫工作

資料提供:HP「帝國陸海軍現存兵器」製作者様

 

ウォーナー伝説とGHQ

「京都を戦果から救った恩人」と言われるアメリカ人が何人かいるが、すべて何の根拠

もない流言に過ぎない。中でも有名なのが岡倉天心の精神的感化を受けたといわれる

ラングドン・ウォーナー博士という人物で、戦時中に「ウォーナーリスト」という日本の文

化財リストを作成し、これが京都を救ったという伝説の根拠とされる。

 

しかし、米軍の爆撃で灰塵にきした日本の文化財は国宝293件を含む471件にも上

り、城郭にいたっては「ウォーナーリスト」に記載された半数が焼失している。

このリストの目的はは文化財保護ではなく、略奪された文化財の返還のためにつくら

れた40ヶ国のなかのひとつで、彼は中国・朝鮮・タイの文化財リストも作っている。

 

「京都は名所・旧跡が多いから空襲を受けないのだ」という噂は戦時中からあった。しか

しそれは、単に京都市民の希望、祈りのようなものであった。

敗戦直後の9月26日、京都の新聞記者が占領軍将校に「なぜ京都を爆撃しなかった

のか」を質したところ、先の噂と同じ期待通りの答えが返って来た。GHQが事実である

と断定したとして、その話は11月11日付の朝日新聞に載った。

 

GHQの民間情報教育局(CIE)

NHKは昭和20年12月から「真相はこうだ」という日本軍の暴虐を暴露するドラマ仕立て

の番組を放送していた。これは CIEが直接製作したもので、脚本はアメリカ人将校が書

いていた。

劇場映画も CIEによって輸入量が割り当てられ、他の国に比べ異常な多さ(70%)のア

メリカ映画が日本へ輸入された。現在でも、日本でロードショー上映されるB級アメリカ映

画が多いのはこの延長である。

またCIEは教育映画を作り、映写機ともども無料で貸し出した。「よりよき明日」「選挙当

日」「赤の陰謀」「なぜ朝鮮へ」などがあり、日本人はアメリカに都合よく洗脳されていっ

た。GHQは、CIEの役割を日本人の「頭の切り替え」「再教育」だと規定している。

 

GHQの民間検閲支隊(CCD)

GHQは占領下の日本において、原爆報道など「アメリカの悪いイメージ」の流布を厳しく

禁止した。新聞、雑誌、書籍、放送、映画などを厳しく検閲し、私信の開封・電話の盗聴

も行っていた。原爆の後遺症で亡くなった作家の慰霊祭を中止させたり、放射能による

喀血を結核という病名にさせたり、原爆には特に気を使った。表現の自由を謳った憲法

を押し付けた後も、平然と言論などの統制を行っていた。

そして一方では CIEが日本軍の徹底的な批判とアメリカの良いイメージの普及を図っ

た。GHQ、CIEともに NHKの放送会館を占拠していた。

 

宣撫工作

日本軍がマニラやシンガポールを占領したとき、現地の新聞や放送局を接収して日本

軍に都合のよい報道をさせた。いわゆる宣撫工作であり、どこの国の占領軍でも欠か

すことのできない重要な戦略であった。従って、日本軍が敗戦で武装解除されると、掌

を返して連合国寄りの論調に変わるのも当然理解できる。

ところが日本のマスコミは、占領軍が去った現在もまだGHQの検閲下と同じ報道を続

け、相も変わらず日本軍の悪口を言い続けている。

 

義務教育中立化法

昭和29年に「義務教育中立化法」が制定された。この法律は、在日米軍基地の

近所に住む小学生が自分の生活体験を作文に綴り、これを教師が授業で取り上げ

たことに対し、「反米教育」のレッテルが貼られ成立した。

この法律によって教師は具体的に戦争を語ると法律違反となり、抽象的に戦争を

語るしか許されなくなった。学校教育の場において「平和はすばらしい」とは提

唱できても、戦争の実態を具体的かつ臨場感を持った教育はされないし、するこ

とも出来ない。

日本の教科書ほど戦争に関して抽象的な記述のものはない、との指摘もある。日

本が外国に与えた加害も、日本が受けた被害も、一つの出来事として表面的に触

れているに過ぎない。

現在の戦争に正面から立ち向かわない思想は、アメリカが定めた法規制のもとで

戦争の実態を正確に知らされなかった事によって形成されてきた。

 

ウォーナー伝説も「米軍美化、米国美化」の象徴として日本人の頭に刷り込まれていった。

当のウォーナー自身はそれを否定していたが、それがまた「奥ゆかしい」と賛美されるのだ

った。

 

法隆寺

奈良県生駒郡斑鳩町

ウォーナー塔

 

安倍文殊院

奈良県桜井市

ウォーナー博士報恩供養塔

 

八月十五日

更新日:2004/02/15