軍事裁判

 

昨今、日本の戦後保証問題がしきりに取り沙汰されている。国家間では謝罪を求められ、

被植民地の個人からは賠償・補償を要求されている。現在の日本人の大東亜戦争に対す

る史観は、日本の侵略、とりわけアジア諸国に対する暴虐非道ぶりを誇張し、いかに罪の

意識に欠けている国民かを、子孫である同じ日本人が声高に叫び、それは学校教育にも反

映されている。「東京裁判史観」「自虐史観」と言われる所以である。しかし戦争とは、まして

世界大戦ともなれば、何の償いも無しに済まされるわけはない。

過去半世紀の日本には、戦勝国の言いなりに謝罪や補償を繰り返してきた歴史が存在し

ている。

東京裁判法廷

 

戦争犯罪

戦争犯罪については、第一次世界大戦終結後の大正8年1月、パリ平和会議において23

項目を戦争犯罪として規程し、日本政府もこれに調印している。しかし戦争犯罪者に対する

処罰は自国で裁判するのが建前であり、戦後になって戦勝国が敗戦国の国民を裁くという

概念ではなかった。

 

昭和17年8月21日、米大統領ルーズベルトは「侵入者は(中略)現在抑圧しつつある国に

おいて、裁判の法廷に立ちその行為に応えなければならない。」と声明して、軍事裁判所の

設置を明かにした。更に昭和18月11日には、カイロに集まった米英中の三国首脳が「日本

の侵略を阻止し、これを罰する為に今次の戦争を行っている。」と宣言(カイロ宣言)。

 

昭和19年には、中国重慶に「連合国戦争犯罪委員会/極東分科委員会」を設置して、戦争

犯罪の証拠の収集や戦犯リストの作成を開始した。

 

第二次世界大戦は、連合軍の圧倒的な戦力、物量の前に、1945(昭和20)年4月にドイツ

が降伏、8月15日には日本がポツダム宣言を受諾して降伏し終結を迎えた。連合軍はドイツ

日本に対し戦争裁判を実施することとし、日本に対してはポツダム宣言第10項として、「我々

は日本人を民族として滅亡させる意思は無いが、俘虜を虐待した者を含む一切の戦争犯罪人

に対しては厳重なる処罰を加える」ことを明らかにした。

 

極東軍事裁判

連合国は極東軍事裁判所条例で戦争犯罪を次の様に区分した。

A:平和に対する罪

宣戦を布告せる又は布告せざる侵略戦争、もしくは国際法、条約、協定、保証に違反せる戦争

の計画、準備、開始、実行、もしくは諸行為の何れかを達成する為の共通の計画または戦争慣

例の違反

B:通例の戦争犯罪

C:人道に対する罪

戦前または戦中に行われる殺戮、懺滅、奴隷的虐使、追放、その他の非人道的行為、もしく

は政治的、人種的理由に基づく迫害行為

 

A級裁判は、時後に制定した法律での裁判であり、一般の法概念では成立しない。現在では日

本を侵略国として確定させるために、戦勝国が敗戦国を法の名で裁いた「報復裁判」であること

が定説化し、世界中の法律学者がその違法性を指摘している。

昭和58年5月28・29日、東京池袋のサンシャインシティ(巣鴨プリズン跡)において開催され

「東京裁判」国際シンポジウムの席上、西独ルール大学のクヌート・イプセン博士は次のよう

に述べた。

「平和に対する罪を裁く東京裁判の管轄権は、当時の国際法に基づくものではなかった。」

「大多数の国は現在でも国際法上の犯罪に対し、個人責任を認める用意が出来ていない。」

つまり東京裁判の国際法に対する違法性を述べており、これが今日の共通理解と言える。

最初から日本が侵略戦争をしたという前提に立ち、日本側の主張は全て却下され連合軍の筋

書どおりに裁判を進行した。

 

BC級裁判は、日本では通例の戦争犯罪を裁いた裁判で、5年半にわたりアメリカ、イギリス、フ

ランス、オランダ、オーストラリア、中国(国民政府を含む)、フィリピンの7ヶ国、49の法廷で行わ

れた。軍事裁判の名のもとに処刑された大半はB・C級戦犯と呼ばれる人達で、上官の命令で捕

虜を処刑したり、たまたま収容所の責任者だった、というだけの理由で不当に裁かれた。

実際の裁判では判事、検事、弁護士の多くを元捕虜が担当し、公正さを著しく欠いた裁判であ

った。また日本の戦犯容疑者が収容されたキャンプで、アメリカ、イギリス、フランス、オーストラ

リア、中国兵士の戦犯容疑者に対する虐待行為はすさまじかった。つまりBC級裁判は日本お

よび日本人に対する怨恨の報復以外の何物でもなかった。

 

かたや日本の民間人を巻き込んだ米軍の無差別な掃討作戦、都市空襲、原子爆弾や、ソ連軍

の終戦後に至る戦闘・侵略行為、シベリア抑留などは、完全な戦争犯罪であるにも係らず全て

一方的に免責された。

そして、大東亜戦争の講和としてサンフランシスコ条約が締結されている。

 

明治生命館

東京都千代田区

対日理事会、法務局、国際検事局

分掌

日本の占領に関して、マッカーサーの上位に有る極東委員会の出先機関として

対日理事会が設置された。米英ソを始めとする11ヶ国で構成され、占領政策

が協議された。

 

軍事裁判

更新日:2001/09/12