井熊さんちの家庭の事情#2
井熊明子


 寒中お見舞い申し上げます。のつもりで書きはじめたんですが、もう、世間はすっかり春になってしまいました。


 年明けに流山から帰ってきたら、『霧笛』がポストに入っていて、更に、次の日あたりに『糸納豆』がポストに入っていて、とっても嬉しかった。

 クライアントから督促状が来ている明細書原案の作成もほったらかして、更に、流山への里帰り(だんなの実家の場合もこう言うのかな)の荷物もほったらかしたまま、読み耽ってしまいました。

 一番受けたのは、やっぱり、仕事がらか『ハヤシレイ』ですね。

 これが公告されるのに、なんで私が書いた奴は拒絶理由通知がくるんだ!

 いやまて、『ハヤシレイ』のようにユニーク(!)な発明には、当然ながら先行技術がなく、拒絶理由通知するための常套手段(先願により公知)が使えなかったからに違いない。似たような先行技術があるのは、むしろ、まともな発明である証拠だから、私のせいじゃない。それに、これを特許にしても誰も困らないし(工業技術の発達に貢献もしないけど)。などと、適当な理屈をこねてはみたものの、やっぱり、納得いかないなぁ。

 どうみても、発明の定義には引っ掛かるような気がするんですがね。その、自然法則に則っているか否かというあたりに。でも、『ハヤシレイ』が存在しないと証明できないから、公告にしておこうということですかね。

 それでいくと、もしかして、『ゲルマニウムローラー』も公告されるのかしら?

 雑誌の広告に、特許と意匠を出願中と大きく書いてあって、能書きに曰く、『ゲルマニウムは半導体だから、肌に触れるとゲルマニウムと肌とのあいだに電子がびゅんびゅん飛び交って、肌を内面から活性化する』というようなことが書いてあった気がする。

 でも、この場合、半導体の性質に明らかに反しているから、いくらなんでも公告されたりしないですよね。これが公告されたりしたら、特許にかかわる人間としてなんだか情けなくなってしまいますよ(でも、『ハヤシレイ』を公告した人だったら、もしかして……)。

 しかし、小林君って、近頃お目に掛かっていないけど、あんなに危なそうな風貌の人でしたっけ?

 そして、『冷たい非常識』。久しぶりに、パワフルなれんさんの夢ネタに出会えてとても嬉しかった(東北新幹線が毒ガス列車になった夢、以来な気がする)。

 しかし、キングギドラ(どうも思い込みが強くて『キングキドラ』と打ってしまうな)の首をみつあみにしてしまうとは、いくら夢とはいえ、さすがだ。とても、常人では思いつかないシュールさだ。

 削られた1Pもぜひ読みたいものです。


 宮沢君の『紀伊半島猟奇行』も異色でいいですね。

 『パノラマ島奇談』、と聞いて、高階良子のマンガ(他にもいろいろ書いているような気がする)を思い出してしまうなんて、きっと私ぐらいなものでしょうが、今を去ること、二十数年前!! 小学生のころ、怖いのとわくわくするのとを交互に感じながら読んだことをなつかしく思い出してしまいました。

 それと、『怪奇四十面相』の暗号で、NHKでやってた『明智探偵事務所』も思い出してしまった。そのあと、ワープロで『ゆんで』と『めて』入力したら『左手』と『右手』が素直に変換されてきたのには、ちょっと驚いた。こういうのに力を入れるくらいなら、もっと別に労力を払うべきじゃないかしら。


 私は、糸納豆で読んだあとに、『お江戸会スペシャル』のときにもらったHPのログで、宮沢君の『紀伊半島猟奇行』と小林君の『博士の奇妙な・・・』を再読し、おかげで、タイムトリップをしたような妙な気分を味わうことができました。

 そして、とーるさんの事情も糸納豆で初めて知りました。その前の情報は、大竹さんが遊びにきたときの『とーるちゃんが結婚した』というものと、れんさんからの手紙に書かれた『とーるさんは残念だったね』だったものだから、一体何が起こっているのかと訝っていたのだけれど。

 まあ、私も電脳部室に参入したことだし、これからはこの手の情報に乗り遅れることはないでしょうが、やはり、ログをディスプレイ上で読むのと、紙にレイアウトされたものを読むのとでは、単に縦書きと横書きとの違いだけではない差異が感じられるものですから、これからも糸納豆を楽しみに待っています。

 郵便料金が値上げになったから、きっと手紙で投函するより安いんじゃないかというんで、今回は電子メールで送ってみます。前回、れんさんへの手紙をアップロードするのに失敗しているんで、これで試験してみましょう。

 それから、購読料(というのかな)が足りなくなったら、請求してくださいね。


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