日常茶飯

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調和の幻想

 松村達雄さんが亡くなったのを知ったのは一昨日である。 享年九十。 独特のせりふ回しと味のある演技の俳優で、この人の顔や声は子供の時分から覚えがあるが、 どのドラマに出演していたのかまるで記憶にない。 唯一知るのは黒澤明の遺作『まあだだよ』である。 『まあだだよ』は長い俳優人生の中で初めての主役で、 松村さん演じる内田百閒(ひゃっけん)はよかった。 この映画を包む気持ちのやさしい雰囲気が好きである。 そして雨の湿り、稲妻の光、満月の夜、それに夕焼けと云った光景に、 流れる音楽が映画を美しく印象づけた。 その楽曲はアントニオ・ヴィヴァルディの協奏曲集作品3。

 この協奏曲集の「L'Estro Armonico」という副題は、 「調和の幻想」あるいは「調和の霊感」と和訳されている。 『まあだだよ』の中では第9番ニ長調のラルゲットの独奏の部分が使われた。 松村さんの訃で思い出したのがこの曲である。 懐かしくなってCDを取りだしてパソコンで聞いてみた。

 ヴィバルディは永らく忘れられた無名の存在で、 19世紀になって俄に注目されるようになったと 何かで読んだ覚えがある。 そのためか、ヴィヴァルディの生涯や作品について明らかになるのは20世紀の後半である。 日本で知られるようになるのも遅く、戦後の50年代だと聞いた。 松村達雄さんの訃報で、連想が黒澤映画の『まあだだよ』からヴィヴァルディに及んだ。 近頃では黒澤映画の評判は悪い。 生前、天皇と陰口を叩いた人たちが威勢をふるう一時的なものかも知れない。 やがて、『まあだだよ』も再評価される時が来るだろう。

まあだだよ
'05年06月30日

砂書帖 ・ Windows 2000

 ▼ マイクロソフトは、Windows 2000 SP4用の更新プログラム・ロールアップ1を公開した。 これは当初サービスパック(SP)5となる筈のもので、 以前に公開したSP4以降のセキュリティ更新プログラム(パッチ)をまとめたのだと云う。 容量は約31Mバイトある。

 ▼ Windows 2000は今月末でサポートを終了する。 ただし、セキュリティ修正プログラムはあと5年間は無償で提供されると云うからそれで結構である。

 ▼ マイクロソフトのOSで最も出来の良いのは、Windows 2000 じゃないかな。 後は下り坂で、XP は重いし、お節介なことをする。 使っていて腹が立つ。

 ▼ これを書いた後、スタートのメニューのスタートアップを見ると、 知らないうちに幾つか登録されている。 勝手にメモリを消費されては迷惑で削除した。
'05年06月29日

毒にも薬にも

 きのうの続きで、百十年前に横浜の外国人居留地を震撼させたカリュー事件。 意外なのは、砒素は古代ギリシャ時代から薬として用いられていたこと。 医学の父ヒッポクラテスは前5世紀に砒素化合物を皮膚病の治療薬に推しているし、 古代ローマ人も肺結核、喘息などに広く使ったと云う。 日本でも薬剤として、昭和37年までは『第六改正日本薬局方』に載っていたのだと。 つまり砒素は微量なら薬用となるが多ければ死ぬ。 砒素は毒にも薬にもなる。 その比は30対1だと云う。 へえーっ。 以上は徳岡孝夫さんの例の本から引いた。

 死亡したクラブの支配人カリューは砒素を常用していた。 死因はもちろん砒素によるものなのだが、 砒素剤は3度続けて薬屋で買っている。 その薬屋と云うのが「丸屋」、つまり今の丸善で、 この洋書販売の老舗は昔は輸入薬品も扱っていたのだ。 果たして自殺か、事故(分量の誤り)か、それとも他殺か。

 さて、うら若き美人妻のイーデスには恋人がいた。 それに女家庭教師の暗躍と謎めいたの黒衣の女。 まるでミステリー小説のようだがこれが全部本当の話である。 まだ読んでいる途中なので、 真相は読んでからのお楽しみだ。
'05年06月28日

横浜・山手の出来事

 砒素(ひそ)は毒薬として知られる。 記憶に新しいのは、和歌山毒カレー事件で亜砒酸が使われた。 この事件の控訴審の判決が、あす出るそうだ。 またフローベールの『ボヴァリー夫人』は砒素を飲んで自殺した。

 藪から棒に物騒なことを書いてると思われるかも知れないが、 いま読んでいるのが徳岡孝夫さんの『横浜・山手の出来事』(双葉文庫)で、 百十年前に横浜で実際にあった砒素殺人事件を追跡したノンフィクションである。 裁判記録を丹念に読み解いた分厚い本だけれど、3分の1ほど読んだ。 推理小説のような面白さがある。 この本は小説ではないが、平成3年に日本推理作家協会賞(評論その他の部門)を受賞している。

 19世紀末の明治29年、横浜の外国人居留地で事件は起きた。 殺されたのは英国紳士の集うクラブの支配人ウォルター・カリュー。 殺したとされるのは妻のイーデス。 この英国名門出身のうら若き美人のカリュー夫人は、夫殺しの容疑で裁判にかけられる。 この事件が起きた当時の日本は、まだ不平等条約があった為、英国人による領事裁判で裁かれた。 そして、始まった裁判のヵ所を読んでいるのだけれど、 実はこれが殺人かどうだか分からない藪の中なのだ。 と、書いてしまって、途中だけれども気が変わってしまった。 兎に角、きょうは暑かった。 ハイボールでも飲みたくなったので、これでお仕舞い。
'05年06月27日

砂書帖 ・ 旬

 ▼ 百貨店で御中元の進物売り場へ行った帰りに、地下へ降りた。 食品売り場には、出店している日本料理店やホテルがいろいろと御馳走を並べている。 鱧のおとしかぁ、ほんと旨そうだ。 果物売り場には、何週間前には山梨産の桜桃があったのが、漸く佐藤錦が現れた。 今が旬。旨いんだなぁこれが。

 ▼ 去年と同じで、ちっとも梅雨らしくない。 数日前から前線は列島の南の太平洋に張り出して、海に雨を降らせていたようだ。 今日はその前線も消えて、各地で熱中症の被害が相次いだとニュースで云っていた。 尤も、この儘続いて猛暑の夏になるとは限らないから、気象は分からなくなってしまった。

 ▼ TBSの日曜劇場「あいくるしい」の最終回を見た。 いつも見ていたわけではないけれど話の筋は分かった。 こういう川や山だとか自然の風景が現れると、ロケ地は何処だろうと気に掛かる。 エンド・クレジットで伊豆だと分かって、納得する。 きのう見たフジテレビの「海猿」の舞台は広島の呉市なんだ。
'05年06月26日

テレビCM(コマーシャル)

 テレビのCMには面白いのと下らないのと、派手なのと地味なのと、 よい商品とつまらない商品とがある。 みんな別々の関係であって、地味なCMがつまらない商品とは決まっていないし、 面白いCMがよい商品だとは請け合えない。 派手なCMだけでつまらない商品にはよく出くわす。

 テレビを見るのは習慣だから、見る番組の間に流れるCMは何度も見るが、 見ていない時間帯のCMや別のチャンネルのCMは知る由(よし)もない。 また、よく見るCMも何処の番組かについては全く気にもとめていない。 だから、お喋(しゃべ)りの話題にCMが出て相手がそれを知らないと面白味は減る。

 先日も雑談していたら、その場にいた一人によく似た人物がビールのCMに出ていると云う話題になった。 私はそのCMを見た覚えがないし、似ていると云われた御当人も同じらしい。 唯し、御当人はCMの似ていると云う人物の役割設定に少し面白くなさそうであった。 それなら益々そのCMを見たいと思う。

 その後で気がついたけれど、 CMは大概メーカのホームページにビデオ・クリップが用意してある。 検索して見に行くと矢っ張りあった。 あはは、雰囲気はソックリだね。 このCMの人、確か書家なんだ。 けっこう面白いCMである。
'05年06月24日

Cygwin(シグウィン)

 Windows上にLinux環境をつくるプログラム群Cygwinを久しぶりにアップデートした。 久しぶりと云っても一年ぶりなのか二年ぶりか判然しない。 Cygwinは頻繁に更新しているので、いちいちつき合うわけにはいかない。 なるべく使うものだけを入れるようにしているが、それでも100メガ近くディスク容量を占めている。

 GNUのコンパイラ gcc のバージョンは 3.2 だったが今では 3.4.4 になっている。 いやぁ長いこと放った儘にしていた。 アップデートした後、「gcc -v」とバージョン情報を表示させると文字化けしている。 日本語が文字化けするのではなく英語が化けるのである。 日本語の表示は何年も前にCygwinをよく使っていた頃に設定済みである。 これは別の問題で、だけど見当がつかない。

 2、3年前にCygwinの解説本を買ったことがある。 附録のCD-ROMが目的で、Cygwinのフルセットが入ったお皿に用があるだけで、 本の方は見ないで放っていたのを思い出した。 探してみると、捨てていなかった。 頁を繰ってみると、なにやらお呪(まじな)いのようなことが書いてある。 ディレクトリの
...\usr\share\locale\ja

...\usr\share\locale\_ja
と、ロケールの日本語のディレクトリ名「ja」を「_ja」とアンダースコアを付けて書き換えてみた。 すると文字化けしない。 国際化プログラミングはまだまだか。
'05年06月23日

ウィルスメール

 この2、3日ぽつりぽつりとウィルスメールがやって来る。 一定のサイズより大きいメールはヘッダだけを受け取っているから確かめてはいないけれど、たぶん MYTOBと云うトロイの木馬型ワームだろう。 プロバイダからのメールのように装い、件名に「Your Account is Suspended For Security Reasons」 などと書いてよこすが、こんなのでは騙されない。 日本語が出来ないと駄目だよ。

 もう何通も来たが、送り主は同一のIPアドレスで、NTTのプロバイダOCNの会員からである。 詐称した差出人アドレスはいつも違うので、 それらをいちいちスパムメール拒否のフィルタの条件に付け加えておいた。 今日になって見ると、何通かはスパムメール扱いになってメールボックスには届いていない。

 マスターカードの4000万件のクレジットカード番号が流出した事件。 ロイターの記事によると、これは最近のオンライン犯罪の手口だと云う。 世界中に一斉にウィルスメールをばらまくよりも、 一度に1社か2社に狙いを定め、利益につながる可能性の高い、 攻撃を仕掛けるパターンが増えているそうだ。

 情報が漏洩したのは、カード会社ではなく決済処理会社で、 犯人はそこのコンピュータに悪性のコンピュータスクリプトを置いたと云う。 ウィルスに似たものだ。 また新聞によると、決済処理会社からの漏洩なので、マスターだけでなく、 ビザとアメックスのカードも情報が流出した疑いがあるそうだ。 まあ、クレジット・カードの被害は全額補償される。 これが銀行とは大きく違うのである。
'05年06月21日

竹鶴

 6月の下旬になったがちっとも梅雨らしくない。 段々と暑くなって来たこの時候にはハイボールを飲んで寝る。 普段はブレンデッド・ウヰスキーのブラックニッカに小さなペットボトル入りの炭酸水を用意している。 分量を炭酸水の方で計ると飲み過ぎることはない。 飲んで少し廻ると段々と眠くなるから、お仕舞いにして床につく。 それで朝の寝覚めは悪くない。 私のお酒は安上がり。

 スーパーで竹鶴の12年ものを割引していたので買って来た。 ピュアモルト・ウヰスキーは久しぶりだけれど、飲むと矢っ張り旨い。 ハイボールでは何だか味を損ねるようで水割りに替えた。 竹鶴は国産ウヰスキーの生みの親、竹鶴政孝に冠した命名で、 飲んだことはないけれど35年ものは5万円也である。

 ところで、ニッカウヰスキーのホームページには蘊蓄(うんちく)のようなことを書いているページがある。 以前に見たので今はどうだか知らないが、こう云うのがあった。 ウヰスキーは水が命だから、水割りの水は天然水に限る。 水道水だったら煮沸して塩素を抜いた水を使うべし、と。 これは分かる。 それからもうひとつ、氷は市販のロックアイスがお薦め。 なかなか溶けないし匂いがない。 これも良く分かる。 ただしその後に、冷蔵庫の氷を使うならせめて天然水で氷を作るべきである。と、書いてあったと思う。 これって、おかしくないか。

 水道水は塩素が入っていてカルキ臭いけれど、これは殺菌の効果がある。 一方、ペットボトルの天然水は蓋を開けると、空気中の雑菌が入ってその菌は生きている。 水道水を凍らせると塩素は抜けてしまうが、 天然水を凍らせると雑菌は生きた儘(まま)でそれがカビになることがある。 話が不味くなった。
'05年06月20日

古鉄マシン

 古鉄(ふるかね)マシンとは家にある Windows 98 パソコンで、Windows 95からだからもう10年近い。 Pentium 133MHzで、今どきのマシンの10分の1以下の貧弱さである。 だから最近のソフトを動かすことは出来ない。 ブラウザは Netscape 4.7のままで、 試していないけれど Mozillaや FireFoxなどは入れても重くて動かないだろう。

 去年ブロードバンドに変わり、その時にネットへ接続する専用ソフトは インストールは出来ても、重くて動作しなかった。 それでダイアルアップ接続のままで使っていたが、段々と使う機会が減ってきた。 最近では電源を入れることは希になった。 こう云うことは良くないのは知っている。 電子機器は長らく電源を切ったままだと故障の原因になるものである。 尤(もっと)も、このマシンでしか動かない古いソフトもあるので、不要になったわけではない。

 モデムをルータ・タイプに交換したことはきのう書いた。 これで専用ソフトなしでネットに接続出来る。 LANボードは10年ほど前に千何百円で買ったが、その時分はパソコン同士を繋ぐことしか考えなかった。 果たして上手く行くだろうか。 と思いながら、LANケーブルを繋いで見た。 わぁ、インターネットに繋がっている。 通信速度は速いけれど、マシンの動作は矢っ張り遅い。 やれやれ。
'05年06月19日

モデムの交換

 新しいADSLモデムが届いた。 モデムが故障したと云うのではないし、これまで使って不満があったのでもない。 家ではインターネットの接続は繋ぎっぱなしにしていない。 用がないときはモデムの電源は切っている。 頻繁に使うわけでもないし、複数のパソコンを一度きに繋ぐこともない。

 ただしモデムはレンタルである。 レンタルの良いところは、所有していないことにある。 自分の持ち物でないから、要らなくなったら返せばいい。 もう1年と何ヶ月も使ったのでレンタルの特権を行使して、 新しいモデムと交換して貰った。 するとバージョン番号が4つ上のモデムが届いた。

 新しいモデムは形が大きい。 前のと比べると、まるで新明解国語辞典と広辞苑ぐらいあると云えばちょっと大袈裟かな。 兎に角大きいのだけど機能も良くなった。 以前のは唯のADSLモデムだったが、今度のはルータ機能とIP電話機能を持っている。

 前のモデムはソフトを使ってインターネットに接続していたが、 今度はルータを使うのでLANケーブルを差し込むだけでネットに繋がる。 それにルータにファイアウォール機能があるから、 ウィルス対策ソフトのファイアウォールは要らなくなる。 ソフトウェアの負荷も小さくなるだろう。 IP電話につては後で考えよう。
'05年06月18日

水無月の夕べ

 梅雨のあいまの晴れまが続いたが、今日は朝から雨が降っていた。 段々と日が長くなって来て、夕方になってもまだ明るい。 それで久しぶりに写真を載せてみた。

 外を歩くと少し暑く感じるようになった。 冷房が入り出したが、冷房の中にいると何だか寒い。 しとしとした梅雨の感じが無くなったのはいつからだろう。

夕暮れ
'05年06月16日

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