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学習指導案      竹内幸子

 

とき   十月二一日 1限目

ところ  東京成徳大学 二〇四教室

対象者  国語科教育法受講者

 

本時の目標

  〇古文に慣れ親しませる

  〇文法や意味を理解させる

  〇主人公の妻をしのぶ心情を感じ取り理解させる

本時の展開例

  テキスト 高校生の国語U

     「古事記」五限目(計五時間)

 

〜はじめの挨拶〜

 起立、礼、着席。

 前回は、海の神をやっつけようとした倭建命をかばい、自ら犠牲になって妻が死んでしまった。傷心のまま、それでも自分の役目である東国平定を務めるためさらに進み、足柄山の坂のふもとで乾飯を食べているとき、その坂の神が白い鹿になって現れたところまでやりました。今日はその続きの244ページの最後の行の「ここにすなはち」から最後までやっていきましょう。では、読みます。

板書しつつ解釈読解

 それでは、まず文法をみて単語の意味を解釈していきましょう。「食し」は読み方を注意しましょう。下に書いてあるように、四段動詞「食す」の連用形です。これは特に上代で使われていました。「蒜」は強い臭気があり、邪気を払う呪物とされていました。「たまへ」は二つの使い方があります。〜ナサルという意味の尊敬語、「受く」「食ふ」「飲む」の謙譲語。これを区別するためには、活用を見ます。尊敬語の場合は四段活用で、謙譲語の場合は下二段活用です。また謙譲語のほうは、会話文や手紙文によく出て、「聞く」や「見る」、「思ふ」が上につきます。下に接続助詞の「ば」があります。この「ば」が接続するのは何形でしょうか?〇〇さん。はい、已然形ですね。ということはこの「たまへ」は四段活用の已然形であることがわかります。尊敬語ですね。「のりたまひしく」の「のり」はたぶん初めて出てきた動詞なので、覚えておきましょう。また「たまひ」が出てきました。下の「し」は過去の助動詞「き」の連体形で接続するのは何形でしょうか?〇〇さん。はい、連用形ですね。ということはこの「たまひ」は四段活用の連用形なので、尊敬語ですね。まあ、「たまひ」という活用は下二段活用」には存在しないので、消去していってもいいですね。「我妻はや」の「はや」はとても重要です。テストに出ます。「は」は終助詞で、「や」は間投助詞です。この組み合わせで強い感嘆や詠嘆を表します。アア!!!などという意味です。終助詞+間投助詞というのは、上代では体言について、平安時代以降は活用語の連体形について、このような強い感嘆や詠嘆を表しました。「のりたまひき」の「たまひ」も先ほどやりましたから四段活用であるとすぐに分かりますよね。というわけで、これも尊敬語です。

 それでは、今日やったところを全部通して訳します。皆さん、単なる訳ではなく、自分が主人公の倭建命になったつもりで、その言葉にこめられている心情を感じ取ってください。ここですぐに、食べ残された蒜の端を持って、待ち構えてお打ちになると、その(鹿の)目にあたって打ち殺された。こうして、その坂の上に登り立ち、幾度も幾度もため息をつかれておっしゃったことは、「わが妻は、アア…!!」それでその国を名付けて、吾妻というのです。

 という意味でした。少しでも倭建命の妻をしのぶ心情が感じとれたでしょうか?それは一番どこで表現されていましたか?〇〇さん。はい、「吾妻はや」ですね。鹿の死を見ることで、自分のために命を落とした亡き妻を思い出し、妻の痛みや苦しみ、そして自分への愛情、また、妻へと向かう愛情が絶頂を迎えたのでしょう。また、鹿のような神々を平定させなければいけないというのが自分の使命だったばっかりに妻を亡くしてしまったという自分を責める気持ちもあったのかもしれません。まあ、難しい言葉になってしまいますが、「亡妻追慕の万感」この言葉が一番倭建命の心情を表現していると思います。お互いをおもいやり愛し合った、素晴らしくも悲しい二人の物語でした。

まとめ

 今日やった重要なポイント「食す」「たまふ」「のる」、終助詞+間投助詞を覚えてください。

おわりの挨拶

 起立、礼、着席。ありがとうございました!

 

指導内容確認〜 

指導予定の内容をどの程度理解させられたか。 優・良・可・不可

板書は正確で見やすかったか。        優・良・可・不可

時間配分は適正であったか。         優・良・可・不可

発問と解答はかみあっていたか。       優・良・可・不可

説明は聞き取りやすかったか。        優・良・可・不可

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