東京成徳大学受講生のぺージへ  学習指導案                  須賀 美代子

学習指導案                  須賀 美代子

とき  六月十七日一時限目

ところ 東京成徳大学二〇四教室

対象者 国語科教育法受講者

本時の目標

・随筆文学の特質について考えさせる

・本文の意味を理解させる

・文法を理解させる

・筆者は自然をどのようにとらえているか、その特質を考えさせる

本時の展開例

テキスト 高校生の国語 

『枕草子』「春はあけぼの」一時間目(計四時間)

指導案展開

○挨拶 起立 礼

 今日から教科書二一六ページの『枕草子』にはいります。まず、二二二ペ ージを見てください。随筆文学ですね。作者は清少納言。一条天皇の中宮定 子に仕えていた女房といわれます。一〇〇一年までに原形が成立し、ほぼ三 百段から成っています。内容は、 「…は」「…もの」などの書き出しを持 つ類聚章段、 自然や人事・行事、恋愛などを扱った随想的章段、 作者自 信の自伝日記的性格を持つ回想章段とに分けられます。この段はどれに当た るか、考えながら読んでいきましょう。それでは、本文に入ります。○○さ ん。二一六ページの三行目まで読んでください。(読んでもらう)ありがと うございます。もう一度読んでいただきます。○○さん。(読んでもらう) ありがとうございます。

○板書しつつ解釈読解

  「春はあけぼの」の「あけぼの」は、夜がほのぼのと明けようとするころ、 夜明けが方をいいます。この文は、下に続く「(いと)をかしけれ」「こそ をかしけれ」などの省略された形となっています。いわゆる体言止めです。 「こそ」は、係助詞です。「係り結び」により、係助詞が文中にあるとき、 その文末が影響を受けて、連体形や已然形で結ばれます。では、「こそ」は、 何形で結ばれますか。○○さん。

(活用形を答えてもらう)

 「こそ」は、已然形で結ばれます。では、「係り結び」の復習をしてみましょ う。「ぞ」「なむ(なん)」「や」「か」は、連体形で結ばれます。そして、 「こそ」は、已然形で結ばれます。教科書に戻ります。「やうやう白くなり ゆく」の、「やうやう」は、副詞です。現代語で「ようやく」というと、やっ とのことで、という意味で使われることが多いのですが、古語では、だんだ んという意味です。「白く」は、形容詞ク活用ですね。では、ク活用の活用 を言っていただきます。○○さん。

(活用を言ってもらう)

 ありがとうございます。○○さんに答えてもらったとおり、形容詞ク活用は、 く、から・く、かり・し・き、かる・けれ・かれ、と活用します。ですから、 「白く」は、連用形となります。「なりゆく」は、カ行四段活用の連体形。 「山ぎは」は、教科書の注に書いてあるように、山の稜線付近の空、すなわ ち、山に接している空の部分をいいます。三段落目に出てくる「山の端」と は、違いますので注意してください。「あかりて」は、ラ行四段活用動詞の 連用形で、明るくなってという意味です。「紫だちたる雲の」の、「紫だち たる」は、「紫だつ」というタ行四段活用動詞の連用形で、紫がかっている という意味です。「…だつ」は、そういうようすを帯びるという意味を添え る接尾語で、名詞について動詞化する働きをします。「たる」は、完了・存 続の意味を表す助動「たり」の連体形です。「の」は、格助詞です。「細く たなびきたる」の「細く」は、形容詞ク活用 の連用形です。「たなびき」 は、カ行四段活用動詞の連用形。「たる」は、「紫だちたる」の「たる」と 同じ完了・存続の意味を表す助動詞の連体形です。終止形ではなく、連体形 で終わっていますね。連体形止めは、体言止めのように、余韻を響かせ余情 をこめる表現です。ここまでを通して訳すと、〈春はあけぼの(がいい)。 だんだん白くなっていく、その山ぎわ、それ 少しあかるくなって、紫がかっ た雲が細くたなびいている、(それがいい)。〉となります。

    (時間が余れば、先に進む)

  では、次の段落を読んでいただきます。○○さん。六行目まで読んでくだ さい。

    (読んでもらう)

 「月のころはさらなり」の「月」は、月のあるころ、つまり、観賞の対象に なる陰暦で毎月三日以後十九日ごろまでのことをいいます。「は」は、係助 詞です。「さらなり」は、ナリ活用の形容動詞の連用形で、言うまでもない、 もちろんのことであるという意味です。教科書の注にあるように、「言うも さらなり」「言えばさらなり」の形で用いられ、その省略形といわれます。 つづいて、「闇もなほ」とありますが、何に対して「闇も」といっているの でしょうか。○○さん。

    (答えてもらう)

 闇は、曇っていて暗いというのではなく、満月を中心とした「月のころ」に 対して、毎月のはじめと終わりの月の出ないころをいいます。ですから、闇 も」の「も」は、「月のころ」に「その他にこれも」とつけ加えるいいかた です。「も」は係助詞、「なほ」は副詞です。「蛍の多く飛びちがひたる」 の「の」は、格助詞です。「多く」は、形容詞ク活用の連用形。「飛びちが ひ」の「ちがひ」は、「ちがふ」というハ行四段活用動詞の連用形。「たる」 は、完了・存続を表す助動詞「たり」の連体形です。ここまでを通して訳す と、〈夏は夜(がいい)。月のあかるいころはもちろんのこと、たとえそれ が闇のころであってもやはり、ほたるがたくさん飛びちがっているの(がい い)。〉となります。「また」は接続詞、「ただ」は副詞、「など」は副助 詞です。「ほのかに」は、形容動詞ナリ活用の連用形。「うち光りて」のう ち」は、接頭語。「光り」は、ラ行四段活用動詞の連用形。「行くもをかし」 の「行く」は、カ行四段活用動詞の連体形。「をかし」は、形容詞シク活用 の終止形で、趣がある、風情があるという意味です。「降るも」の「降る」 は、ラ行四段動詞の連体形。「も」は、「月のころ」と対応させたもので、 係助詞です。ここまでを通して訳すと、〈また、だだ一つ二つなどと、ほの かに光って飛んでいくのも趣が深い。雨などが降るのもいい。〉となります。 では、全文をとおして訳します。   

    (訳を読む)

○指名音読 

 それでは、今日やったところをもう一度読んでもらいます。○○さん。(読んでもらう)ありがとうございました。

○まとめ

今日やったところの要旨は、四季のそれぞれの趣の中で、特に春はあけぼ のが、(夏は夜が)よい、ということでしたね。助動詞「たり」(や、形容 シク活用の「をかし」)などの重要語句は活用をよく復習しておいてくださ い。次回は、四行目からの「夏は夜。」(七行目からの「秋は夕暮れ。」) の段落にはいりますので、予習をしおいてください。終わります。

○挨拶 起立 礼

指導内容確認

 指導予定の内容をどの程度理解させられたか。優・良・可・不可

 板書は正確で見やすかったか。       優・良・可・不可

 時間配分は適正であったか。    優・良・可・不可

 発問と解答はかみあったいたか。      優・良・可・不可

 説明は聞き取りやすかったか。       優・良・可・不可

学習指導案               須賀美代子

 とき  十一月四日(木)一時限目

 ところ 東京成徳大学 二〇四教室

 対象者 国語科教育法受講者三年生

本時の目標

 ・本文の内容を理解させる

 ・文法を理解させる

本時の展開例

 テキスト 高校生の国語 

「四季の歌」 二時間目(計六時間)

指導案展開

 挨拶 起立 礼

 今回は、「四季の歌」の二時間目の授業です。まず、一九九ページを見てください。前回は万葉集の歌と紀貫之の歌をやりました。今日は後鳥羽上皇、紀友則の、二首の歌をやります。出典や作者については、二〇八ページと二一〇ページに書いてあるので各自で読んでください。

 では、○○さん後鳥羽上皇の歌を読んでください。○○さんもう一回読んでください。それでは解釈に入ります。

 この歌は、「春の初めの歌」とあるとおりに、初春のことを歌っています。品詞分解をしていくと、「ほのぼのと」は、ほんのりと、かすかに、という意味です。「こそ」は係助詞で、意味を強める働きをしています。「空」は名詞。「に」は、格助詞です。「来にけらし」の「来」は「来(く)」というカ変動詞です。では、「来」の活用を言ってもらいます。○○さん(答えてもらう)。○○さんに言ってもらったとおり、カ変はこ・き・く・くる・くれ・こ(こよ)と活用します。「こよ」はカリ活用です。忘れてしまっていた人は、三一四ページの活用表を見てください。「き」は、連用形のところに書いてありますね。ですから、連用形となります。「に」は、完了の助動詞「ぬ」の連用形です。「けらし」は、過去の助動詞「けり」の連体形「ける」に、推量の助動詞「らし」のついた「けるらし」の略で、「らし」は、係助詞「こそ」を受けて係り結びで、已然形となります。「来にけらし」の部分を訳すと、来たらしい、来たようだ、となります。「天の香具山」については、下の の注を見てください。参考として、大和三山とは、畝傍(うねび)山(一九九メートル)・耳成(みみなし)山(一四〇メートル)・香久山(一四八メートル)の総称で、香久山も高くない山ですが、当時の歌人には、かなり高い山のように意識されていたらしいです。「たなびく」は、カ行四段活用動詞の終止形です。これで大体の意味がとれるようになったと思います。それでは、とおして現代語訳をすると、ほんのりと春はまず空にやってきたらしい。天の香具山に霞がたなびいている、となります。この歌の作者は春の訪れをまず霞に感じた、ということがわかりますね。

 次の、紀友則の歌にはいります。○○さん読んでください。○○さんもう一度読んでください。それでは解釈にはいります。

 「ひさかたの」は、「光」にかかる枕詞となっています。「光」以外にも、「天」「月」「雲」や「空」など、天空に関係するものにかかります。「のどけき」は、「のどけし」というク活用形容詞で、天候が静かで穏やかなようすを意味しています。では、その活用を言ってもらいましょう。○○さん(答えてもらう)。○○さんにいってもらったとおり、ク活用形容詞は、(く)、から・く、かり・し・き、かる・けれ・かれ、と活用します。それでは、「のどけき」の活用形は何形ですか。○○さん(答えてもらう)。下に「春」という体言が続いているので、連体形となりますね。「の」は、格助詞。「日」は名詞。「に」も格助詞です。「しづ心なく」は、 の注にあるように、落ち着いた心がなく、という意味となります。「花」は、桜の花を表しています。「の」は格助詞です。「散る」は、ラ行四段活用動詞で活用形は、というと、下に続く「らむ」は、推量の助動詞で終止形接続なので、「散る」は、終止形となります。そして、「らむ」は、少し戻りますが、「花の」の「の」は格助詞で、主格(…が)を表しています。しかし、格助詞「の」は、連体修飾語、つまり、「…の」や「…のような」などのように、所有や比喩を表すのが基本的な働きをしています。その場合は、下には体言や連体形が続きますね。ですから、主格を表す場合でもその述語は、終止形ではなく連体形で終わりますので、この助動詞「らむ」は連体形です。「花の散るらむ」部分だけを訳すと、どうして花が散るのだろう、となります。それでは、全体をとおして現代語訳は、日の光がのどかな春の日に、どうして落ち着いた心がなく桜の花が散るのだろう、となります。この歌は、のどかな春の日ざしの中で、しきりに散っていく桜の花を惜しむ心を詠んだ歌となっています。

まとめ

 今回やったところで重要なことは、作者がどんな点に季節を感じているか、ということです。後鳥羽上皇は、春の訪れをまず霞に感じた、と詠んでいます。そして、紀友則は、しきりに散っていく桜の花を惜しむ心、つまり美しいもののはかなさを悲しむ心を詠んでいます。次回は寂蓮法師のの歌からはいります。

 挨拶 起立 礼

 

指導内容確認

 指導予定の内容をどの程度理解させられたか。 優・良・可・不可  板書は正確で見やすかったか。        優・良・可・不可  時間配分は適正であったか。         優・良・可・不可  発問と解答はかみあっていたか。       優・良・可・不可  説明は聞き取りやすかったか。        優・良・可・不可

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