とき 六月二四日
ところ 東京成徳大学二〇四教室
対象者 国語科教育法受講者
本時の目標
・本文の意味を理解させる
・文法を理解させる
・自然に対する作者独自の観察眼に触れ理解させる
本時の展開例
テキスト 高校生の国語U
『枕草子』「春はあけぼの」二時間目(全三時間)
指導展開案
起立、礼、着席。
それでは、前回やったところを読んでもらいます。〇〇さん。(二 一六ページ二行目〜六行目 音読)作者は、一条天皇中宮定子に宮 仕えした、清少納言です。その清少納言が、春はあけぼの、夏は夜 がいいというところまでが前回にやったところです。
今日は「春はあけぼの」の三段落から読んでいきます。それでは、 二一六ページの七行目から二一七ページの五行目まで読んでくださ い。(二名)〇〇さん。それでは、〇〇さん。
板書しつつ解釈読解 |
「秋は夕暮れ」、ここも、「をかし」などが省略されていて、〔秋 は夕暮れがいい。〕という意味です。
「夕日のさして山の端いと近うなりたるに」、「さし」は、サ行 四段活用連用形です。活用は{さ−し−す−す−せ−せ}となりま す。「山の端」は、名詞で、空に接している山の部分を指します。 それでは、前回やった二行目の「山ぎは」は、どの部分を指しまし たか?〇〇さん。(絵を描いて説明)次の、「いと」は、副詞で、〔た いへん・とても〕という意味です。「近う」は、形容詞「近く」の ク活用連用形ウ音便です。では、教科書三二〇ページを見てくださ い。音便は、発音の便宜上、音が変化することをいいます。形容詞 のウ音便は、連用形が助詞の「て」「して」や用言に連なるときに 現れるとなっていますね。ここでは、下に動詞の「なり」があるの で「近く」が、「近う」になっています。形容詞の他の音便も見て みましょう。イ音便は、連体形が助詞「かな」や体言に連なるとき に現れます。ですから、「よい人」が「よき人」になります。撥音 便は、カリ活用の連体形が、助動詞「なり」「めり」「べし」に連 なるときに現れます。ですから、「よかるめり」が「よかんめり」 になります。形容詞に促音便はありません。動詞や形容動詞の音便 は、後で見ておいてください。本文に戻ります。「なり」は、動詞 の「なる」ラ行四段活用連用形です。下の「たる」は、完了を表す 助動詞「たり」の連用形で、連用形接続です。訳は、〔夕日が射し て、山の端にとても近くなっているところに、〕となります。
「烏の寝どころへ行くとて、」「の」は、主語を表す格助詞なの で〔〜が〕と訳します。「行く」は、カ行四段活用連体形です。〔カ ラスがねぐらに行こうとして、〕と訳します。
「三つ四つ、二つ三つなど飛び急ぐさへあはれなり。」、「飛び急 ぐ」は、ガ行四段活用連体形です。それでは、次の「あはれなり」 の品詞と活用の種類と活用形はなんですか?〇〇さん。意味は、〔@ しみじみとした趣があるAかわいい・いとしいB気の毒だ〕主に三 つの意味があります。ここでは、当然@の意味があてはまりますね。 訳は、〔三羽四羽、二羽三羽など急いで飛んでいく様子まで、しみ じみとした趣がある。〕です。
「まいて雁などの連ねたるが、いと小さく見ゆるはいとをかし。」 の「まいて」は、副詞で、「まして」のイ音便になっています。「連 ね」はナ行下二段活用連用形です。それでは、ナ行下二段活用の活 用を言ってください。〇〇さん。「たる」は、完了「たり」の連体 形です。「小さく」は、形容詞ク活用連用形です。「見ゆる」は、 ヤ行下二段活用連体形です。活用は、{え−え−ゆ−ゆる−ゆれ− えよ}でしたね。「をかし」は、〔趣がある〕と訳しますが、品詞、 活用の種類、活用形は何でしょうか?〇〇さん。「まいて〜」訳す と、〔まして、雁などの連なっているのがたいへん小さく見えるの は、非常に趣深い。〕となります。
「日入り果てて、風の音、虫の音など、はた言うべきにあらず。」 の、「入り果て」はタ行下二段活用連用形です。「〜果つ」は、動 詞の連用形の下について、〔…おわる〕〔すっかり…きる〕の意味 を表します。「はた」は副詞で、ここでは〔そのうえまた〕という 意味です。「言ふ」はハ行四段活用です。活用形は、下の「べき」 が終止形接続のため、終止形になります。「べき」は当然「べし」 の連体形で、「に」は断定「なり」の連用形です。「あら」は、補 助動詞ラ行変格活用未然形です。「ず」は、打消し「ず」の終止形 です。補助動詞というのは、他の用言について本来の意味を失って、 補助的な意味を添えるはたらきをします。ですから、〔言うまでも ない〕と訳します。通すと、〔太陽がすっかり沈みきって、風の音、 虫の音は、また言うまでもなく趣深い。〕それでは、大切なラ行変 格活用がでてきたので活用を言ってもらいましょう。〇〇さん。そ れでは、ラ行変格活用には覚えておかなければならない語が四つあ りましたね。それを全て言ってください。〇〇さん。
それでは、今日やったところの本文を読んでください。〇〇さん。 今度は訳してもらいます。〇〇さん。
― まとめ ―
今日は、形容詞の音便についてと、下二段とラ変の活用をやりま した。よく復習しておいたほうがよいでしょう。また、「あはれな り」は重要語句となるので、意味などを覚えておきましょう。
次回は、「冬はつとめて。…」の段落にはいります。予習をして きてください。授業を終わります。
起立、礼、着席。
指導内容確認
・指導予定の内容をどの程度理解させられたか 優・良・可・不可
・板書は正確で見やすかったか
優・良・可・不可・時間配分は適正であったか
優・良・可・不可・発問と解答はかみあっていたか
優・良・可・不可・説明は聞き取りやすかったか
優・良・可・不可