東京成徳大学受講生のぺージへ  〔学習指導案〕                          小笠原 文子

〔学習指導案〕                          小笠原 文子

と き:五月二十七日 一時限目

ところ:東京成徳大学 二○四教室

対象者:国語科教育法受講三年生

本時の目的◆

物語の中心部分である内容を理解させる

人物の心情を読解させる

本時の展開例◆

テキスト「セメント樽の中の手紙」   二時間目(計四時間)

        〜高校生の国語U〜

「起立、例。」

「今日は『セメント樽の中の手紙』の二時間目の授業です。前回は、作者・葉山嘉樹の人物説明と、セメントあけの仕事をしていた手紙をしていた松戸与三についての説明をしました。」

「今回は、与三が見つけたセメント樽の中に入っていた手紙の部分を読んでいきます。ここは、物語の中心部分にあたる、最も重要な部分なのでじっくり二時間かけて読んでいきましょう。」

「それでは、○○さん、教科書一〇八ページの十二行目から読んでください。」

〜一〇九ページ六行目まで読んだら〜

「はい、どうもありがとう。続きを○○さん読んでください。」

〜一一〇ページの六行目まで読んだら〜

「はい、どうもありがとう。」

「この手紙の最初のポイントとなるのは、繰り返し出てくる「労働者だったら」という言葉です。」

「○○さん、この言葉は手紙の中で何回でてきますか。」

〜あらかじめ用意した紙を貼りながら〜

「手紙の中に三回出てくるこの言葉には、「労働者」だったら、同じ立場として、この悲しみや怒りを理解してくれるだろう、という仲間意識が強く感じ取れます。」

「次のポイントは、一〇九ページの五行目から六行目にかけてある「そんな所に使わないでください。」という言葉です。こう書いた「私」の気持ちを考えてください。ヒントは、前の部分にある「劇場」や「大きな邸宅」が「労働者」にとって、どういうものだったかがわかれば、「私」の気持ちが読み取れると思います。それでは、皆さん、それぞれノートに書いてみてください。」

〜書かせている間、一人を指名して黒板に書いてもらい、アドバイスをしながら一人一人を見てまわる〜

「○○さんに出てきて書いてもらったのですが、○○さん、自分が書いたのを読んでください。」

〜読み終わったら、その子の解釈が大体あっていれば、付け加える感じで解説。解釈が大きく間違っていれば、他の人を指名するか、自分で解説する。(時間で判断する)〜

「次のポイントは、一〇九ページの七行目から八行目にかけてある「どんな所にでも使ってください。」という言葉です。「私」がこのように言い直した理由としては、二つの事が考えられます。」

〜あらかじめ用意した紙を貼りながら〜

「一つ目は、さっきやったポイントの内容が無理な注文であったからということで、なぜなら、この手紙の読み手が「労働者」ならば「そんな所に使わない」自由は彼には無いからということ、二つ目は、この言葉のすぐ後の部分を見ればわかるのですが、同じ一〇九ページの八行目にある「私の恋人は、どんな所に埋められても」という部分をしっかり読めばわかりますね。つまり、「私」の恋人がしっかりした気持ちの持ち主であったこと、やさしく、男らしく、どんな場合でも立派な働きをしたことを思い起こし、「どんな所〜」というふうに思い直したということ。」

「それでは、今日はこれまで。次回はこの続きから始めます。」

「起立、礼。」

 

指導内容確認◆

指導予定の内容をどの程度理解させられたか。  優・良・可・不可

板書は正確で見やすかったか。         優・良・可・不可

時間配分は適正であったか。          優・良・可・不可

発問と解答はかみあっていたか。        優・良・可・不可

説明は聞き取り易かったか。          優・良・可・不可

                 その他

〔学習指導案〕                          小笠原 文子

と き:十月十四日 一時限目

ところ:東京成徳大学 二○四教室

対象者:国語科教育法受講三年生

【本時の目的】

・ 作者の人物像をとらえる

・ 『源氏物語』全体に興味を持てるようにする

【本時の展開例】

テキスト『源氏物語{若紫}』   一時間目(計五時間)

        〜高校生の国語U〜

「起立、例。」

「今日から『源氏物語』にはいります。今日は最初の授業なので、作者と作品について詳しく説明していきます。」

「それでは、教科書の二五二ページの「紫式部」の部分を、○○さん読んでください。」

*指名音読*

「はい、ありがとう。」

「この作者「紫式部」について、もう少し知っておいてもらいたい事があるので、今から配るプリントに目を通してください。」

*プリント配布*

「では、○○さん、プリントを読んでください。」

【プリントの内容】

「源氏物語」の作者の生涯について知られていることはわずかしかない。

作者の実名はわからない。彼女が一条皇后彰子の侍女として仕えたとき、彼女に与えられた呼び名は式部であった。『源氏物語』が流布し評判になるにつれて、読者たちがその作者を作中人物の紫の上になぞらえて「紫」とニックネームをつけるようになったことが想像できる。そして後代のは、彼女はもっぱら「紫式部」の異名をもって知られるようになった。

彼女は、若い頃から、おどろくほど大量の和漢の書を読破し、そしてそれらを十分に理解し、吸収して身につけていた。それほどすごく早熟で明晰な頭脳の所有者であった。学問以外にも、歌道は生家の伝統の芸能であるから、特にうまくはないまでも一人前にできた。当時の貴族の嗜みとして重要視された音楽も、女らしく琴と和琴を習って、かなり上手だったらしい。

「はい、一度そこで切りましょう。」

*板書しつつ解説*

「紫式部が、侍女の時に与えられた呼び名・式部のほかに、中納言・少納言・中将が、侍女に与えられるもっとも普通の呼び名でした。従って、たとえば同僚のなかに式部と呼ばれる女が数人いて、特に区別して指示する必要がある場合には、年長者を大式部、年少者を小式部と読んだりして区別していました。」

「では、続きを○○さん、読んでください。」

「はい、ありがとう。」

「それでは、次に『源氏物語』の作品自体についてやっていきましょう。」

「まずは、教科書の二五二ページの『源氏物語』の部分を、○○さん、読んでください。」

「はい、ありがとう。『源氏物語』はとても有名な物語で、誰もが一度は『源氏物語』の情報を耳にしていると思います。みんなにとって『源氏物語』はどういう物語か、『源氏物語』に対してどういう思いがあるかを聞いてみたいと思います。」

「みんなそれぞれの考えがあるようですね。それでは、本文に…といきたいのですが、古文を読んでいくうえで、その物語の全体の内容を知っておいた方が理解しやすいので、『源氏物語』の主要人物系図を用意したので、それをやって今日は終わりにしましょう。」

「プリントは穴埋め形式にしたので、あてはまる人物の名前を書き込んでいってください。」

「はい、では○○さん、出てきて黒板の紙のほうに書き込んでいってください。」

「『源氏物語』は、身分や境遇がだいたい同じ条件にあって、しかも正反対の対照的な個性をもつ二人の女が、一組になって登場してきています。」

「まず、藤壷は、表面的には弘毅殿女御と対照される存在ですが、恋愛という視点から見ると、藤壷はむしろ朧月夜と一組にできます。この両者はどちらも、ときの帝の最愛の寵妃であるのに、ひそかに愛人をもつことで同様の境遇です。そしてその恋愛のしかたが全く対照的になっています。」

「次に、紫の上は、葵の上と一組です。紫の上は親王の娘であり、葵の上は内親王が政治的実力者左大臣と結婚して生んだひとりの娘であるため、実際的には最高に威張る地位を誇るのですが、生まれの高さにおいてはあまりちがいません。この二人は、時間的には前後しますが、どちらも光源氏の嫡妻であり、どちらも深窓に育って、光源氏より他の男をまったく知らない。しかしその性格はちょうど反対です。」

「このほかにも、空蝉と夕顔、女三の宮と落ち葉の宮などが一組になっています。」

「それでは、今日はここまで。次回は「若紫」が物語の中でどういう位置にあたる章なのかを説明してから本文にはいります。」

「起立、礼。」

指導予定の内容をどの程度理解させられたか。  優・良・可・不可

板書は正確で見やすかったか。         優・良・可・不可

時間配分は適正であったか。          優・良・可・不可

発問と解答はかみあっていたか。        優・良・可・不可

説明は聞き取り易かったか。          優・良・可・不可

                 その他

《学習指導案》                      高柳 奈穂子

とき  五月二十七日一限目

ところ 東京成徳大学

対象者 国語科教育法受講者

本時の目標

* 古文を正確に音読すること。

* 本文の意味を理解させる。

* 文法を理解させる。

本時の展開例

   テキスト 高校生の国語U

   「土佐日記 門出」 二限目(計五時間)

* 挨拶

   起立 礼

* 前回の復習

まず、前回の復習として、やったところを読んでみましょう。それでは、○○さん読んでください。 (音読) はい。この文の訳は、男の人が書くと言う日記というものを、女である私もしてみようと思ってするのです。その年の十一月二十一日の午後八時に旅立つ。その折の出来事を少しばかり書きつける、と言う内容でした。

文法では、「なり」の用法について学びました。「なり」に連体形が接続すると断定の意味で、終止形に接続すると推定の意味になりました。

* 指名音読

では、今日の授業は、その続きから始めます。前回やった次の段落を○○さん読んでください。(音読)もう一人、○○さん読んでみましょう。(音読)

 

 

* 板書しつつ解釈読解

本文の読解に入ります。「ある人」というのは、紀貫之のこと。「県」というのは、国司のことで、国司と言うのは、中央から諸国に派遣されて、そこを統轄する地方官のこと。(「の」は格助詞。)「四年五年」というのは、国司の任期が四、五年ということ。国司の任期は通例四年。本文で「四年五年」となっているのは、貫之が土佐守として赴任してから、後任の人が赴任してきて、交替するまでの期間が四年七、八ヶ月であったからです。次に、「果て」は「果つ」という下二段活用の動詞の連用形で、終わると言う意味です。(「て」は接続助詞。)「例のことども」は、こくしを交替するときに決まりとなっている事務引継ぎのこと。「みなし終へて」の「みな」は副詞ですっかりの意味。「し」はサ行変格活用の動詞になります。では、サ行変格活用の活用を言ってもらいましょう、○○さん。(〜〜〜〜〜〜。)ということは、「し」は、連用形になります。「終へ」は四段活用の連用形。(「て」は接続助詞。)「解由などとりて」の「解由」は解由状のことで国司の任務完了を証明する公文書のことです。「とり」は四段活用の連用形。(「て」は接続助詞。)「住む館」というのは、国司の官舎のことで、「より」は格助詞。「出で」は、「出づ」という動詞の下二

段活用の連用形。(「て」は接続助詞。)よって、住んでいる官舎を出て、船に乗るはずの場所にやって行きますとなります。この一文を通して訳すと、《ある人(紀貫之)が四、五年の地方勤務を終えて、決まりとなっている事務引き継ぎを済ませて、解由状などを受け取って、船に乗るはずの場所にやっていきます。》となります。

次に、「かれこれ、知る知らぬ送りす。」「かれこれ」は、あれやこれやの意味。「知る」は知っているの意味。「知らぬ」の「ぬ」は、打消「ず」の「ぬ」か、完了の「ぬ」と考えます。接続している動詞の活用形は、何ですか。○○さん。(〜〜形。)未然形に接続するのは、打消「ず」になります。では、「ず」の活用をいってもらいましょう。○○さん。(〜〜〜〜〜〜〜〜〜。)「知らぬ」の「ぬ」は、連体形ということになり、知らないという意味になります。「送りす」の「送り」は、名詞で見送りのこと。「す」は、サ行変格活用の終止形になります。この文の訳は、《あの人やこの人、知っている人も知らない人も、見送りをします。》となります。次の文の「年ごろ」というのは、これまで何年かの間という意味。「よく」は副詞で十分にの意味。「くらべつる」は、親しく交際してきたという意味。「別れがたく思ひて」は、別れづらく思ってという意味。「日しきりに」は、一日じゅうの意味。(「に」は格助詞。)「とかく」は、副詞であれやこれやと、の意味で、「し」は、サ行変格活用の連用形。(「つつ」は接続助詞。)「ののしる」は、現代語で相手をおとしめる意味のののしるではなく、声高に言い騒ぐことです。(「に」は接続助詞。)「夜ふけぬ」の「ふけ」は、「ふく」という下二段活用の動詞の連用形になります。「ぬ」は、連用形に接続しているので完了の「ぬ」で、活用は な、に、ぬ、ぬる、ぬれ、ね、 だから終止形になります。この文を訳すと《何年かの間、親しく交際してきた人たちは、別れづらく思って、一日中あれやこれやと騒いでいるうちに夜がふけました。》となります。

◇指名音読 訳の確認

それでは、今日やったところをもう一度読んでもらいましょう。○○さん。

(音読)では訳を言って下さい。○○さん。(訳)

* まとめ

今日の授業では、ある人、紀貫之が旅に出る前のことが書かれていました。重要語句としては、「果つ」「年ごろ」「とかく」の意味はよく覚えておきましょう。また、文法も復習しておきましょう。

* 挨拶

では、今日の授業を終わりにします。

起立 礼

* 指導内容確認

* 指導予定の内容をどの程度理解されたか。  優・良・可・不可 

* 板書は正確で見やすかったか。       優・良・可・不可

* 時間配分は適正であったか。        優・良・可・不可

* 発問と解答はかみあっていたか。      優・良・可・不可

* 説明は聞き取りやすかったか。       優・良・可・不可

(学習指導案)

                                  高柳 奈穂子

と き  十月十四日  一限目

ところ 東京成徳大学 二○四教室

対象者 国語科教育法受講者三年生

本時の目標

・詩の内容理解

・詩の情景を考える

  

本時の展開例

テキスト 高校生の国語U

『小諸なる古城のほとり』 一限目 (計一時間)

 挨拶                   

   起立 礼

解釈読解

 今日から『小諸なる古城のほとり』に入ります。

まず八十二ページを見てください。この詩の作者は、島崎藤村です。『小諸なる古城のほとり』は一九○○年に「旅情」として発表、その後現行の題に変えて「落梅集」に収録されたものです。では、八十ページを開いてください。○○さん、この詩を読んでください。( 音読 )ありがとうございます。もう一度○○さん読んでみましょう。この詩を見てみると、形式は五七調で、この詩は三つの連からできています。この詩で島崎藤村は、旅人を虚構化された自分としてこの詩を書いています。それでは第一連から見ていきます。〔小諸なる古城のほとり〕、これは旅人が小諸にある古城のほとりにいることをあらわしています。〔雲白く遊子悲しむ〕、遊子は旅人のことで、そこで旅人が白い雲を見上げて悲しんでいます。これは、旅人がとどまっている自分と動いている雲を比べて悲しんでいることをあらわしています。〔緑なすはこべは萌えず〕、これは野にいながら緑になるはこべは萌えないという意味です。〔若草もしくによしなし〕は、若草も腰を下ろすのに十分でない。〔しろがねの衾の岡辺〕は、雲で柔らかく白く輝く岡のこと。〔日に溶けて淡雪流る〕は、日に溶けて淡雪が水になって流れる、と言う意味になります。この一連を見て季節はいつかわかりますか、○○さん。( 〜 ) 季節は春で、晩冬というよりは早春をあらわしています。ここでは、旅人が季節は春だと思っているけれども、はこべが萌えなかったり、若草も十分にないという失望した気持ちがあらわれています。しかし、わずかだが淡雪が溶けているという春の予感を感じ、旅人は期待の気持ちをもっています。第二連を見てください。〔あたたかき光はあれど 野に満つる香も知らず〕は、あたたかい光はあるけれど野に満つる香はない、という意味であたたかい光というのは春の光をさしています。ここでも、あたたかい春の光があるという旅人の期待する気持ちがわかります。しかし、野に満つる香がないとき、旅人はどんな気持ちになるのかわかりますか、○○さん。( 〜 ) ここでも旅人の期待が裏切られたという失望した気持ちがこめられていますね。〔浅くのみ春は霞みて 麦の色はつかに青し〕は、春霞が浅くかかっているだけで麦の色はわずかに青い。〔旅人の群れはいくつか 畠中の道を急ぎぬ〕は、旅人の群れがいくつか畠の中の道を急いでいるのが見える。なぜ急いでいるかというと、この旅人の群れは道行く行商人などの人々で、その群れが商売で移動しているので、次の宿場に日が暮れる前につきたいから急いでいるのです。したがって、この第二連は時間的にはまだ夕方になっていないので昼間だというのがわかります。第三連、〔暮れ行けば浅間も見えず〕は、夕方になったので浅間山も見えなくなった、という意味でここから夕方になっています。〔歌哀し佐久の草笛〕は、歌や草笛の音が哀しく聞こえる。〔千曲川いざよふ波の 岸近き宿にのぼりつ〕は、千曲川の漂う波の岸に近い宿にあがって、という意味で旅人は千曲川を見たら波が漂っていて自分も漂っている気がして哀しくなっているのです。〔濁り酒濁れる飲みて 草枕しばし慰む〕は、濁った酒を飲んで旅愁をしばらくの間慰むという意味になります。この詩の全体をみてみると、旅人の旅愁があらわれていました。旅をしていて旅人は期待に対する失望や哀しみをもっていました。しかし、失望していはいるけれども本当は早くはこべが萌え、若草も十分に生え、野には香が満ちてほしいという願望があるので、それを強調するために打ち消しで表現しているのだと思います。今日やったところで何か質問はありませんか。それでは、もう一度○○さん読んでください。次回は次の詩をやります。

挨拶

   起立 礼

 

指導内容確認

・指導予定の内容をどの程度理解させられたか。  優・良・可・不可

・板書は正確で見やすかったか。         優・良・可・不可 

・時間配分は適正であったか。          優・良・可・不可

・発問と解答はかみ合っていたか。        優・良・可・不可

・説明は聞き取りやすかったか。         優・良・可・不可

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