Last Up Date 1999.12.05

日記を物語る 99年11月INDEXホームに戻るピカチュウ語「日記を物語る」             

11月01日(月曜日) 20000カウント達成

10000カウントに九ヶ月かかりましたが、20000カウントは約六ヶ月で到達できました。ありがとうございます。

 終日、古代文学会・物語研究会合同シンポジュウムの会務処理。ただし、のんびりと。夜の水泳は気分良かったなあ。

11月02日(火曜日)

國學院で『うつほ物語』の会。「蔵開」下巻に、藤原兼雅が、じしんの三条院を妻妾・中の君に譲渡するくだりがあり、引越しの作法が記されている貴重な場面のレポートでした。

11月03日(水曜日・文化の日) 

午前中は大東の院生発表会に参加。『枕草子』の江寺真くんの発表は、以前草稿を見せてもらったときよりたいへんな進歩の跡があり、何より僕も勉強になりました。感謝。午後は、古代文学会・物語研究会合同シンポジュウム準備会。田中俊江さんのレポート。いよいよ盛り上がってきた感じ。二次会、例の如し。日文協総会で議長だった岡部さんと反省会?「畑有三先生は、必ず発言しますよ。だって、お名前が、言{ゆ}うぞうクンだもん。」三次会は小森潔さん、小嶋菜温子さんとカラオケに行ってたらしいけど、記憶が……ぶっとんでいます。どうやって帰ったのかも覚えていません。 ぶぁっはっはっ、だは〜〜。またやっちったよ〜〜(≧∇≦)。

11月04日(木曜日) 

朝起きると自宅でした。ほんとうに覚えてません。案の定、東京成徳大学の「『伊勢物語』の世界」で、神野藤昭夫さんの「古典への招待」のビデオを見せてあげようと思ってカバンからテープを取り出したとき、ちょっと帯を見たら「蒲田行進曲」。やっちまったい(≧∇≦)。「間違えて『枕草子』持ってきちゃった。来週ね」と学生さんに嘘をつきました。ここにて告白いたします。ごめんなさい。

11月05日(金曜日) 

青山学院。メインストリートのポプラが色づいてきました。文学史も『源氏物語』に入り、古典演習も輪読発表となって、いよいよクライマックスへと向かいます。

11月06日(土曜日) 

所沢市の松井公民館で「古典に親しむ会」。『源氏物語』「松風」巻は年内に読み終わります。昨年携わっていた『詳説古語辞典』(三省堂)が届きました。奥付はなんと2000年01月10日。執筆協力者には知り合いがたくさんいました。

11月07日(日曜日) 

こっそりと國學院の国文学会に行ってみたのですが、すぐばれてしまいましたね。「『うつほ物語』の会」で頑張っている二人の発表を聞くためです。少し歩いて青山でお昼。朝の雨も上がっていました。

11月08日(月曜日) 

すこし抜きすぎたかもしれません。そろそろ仕事をしないとね。

11月09日(火曜日) 

國學院の『うつほ物語』の会。「色好み」について議論も白熱し充実感がありました。

11月10日(水曜日) 

清泉女子大学。発表時間は25分に決めていますが、やや時間オーバーのグループもありますね。伝えたいメッセージを選別して話さないと。帰りがけに日文研究室でおいしい紅茶を頂きました。

11月11日(木曜日) 

東京成徳大学。「国語科教育法」の授業はほんとうにみんな上手になりました。これには満足。

11月12日(金曜日) 

青山学院。「古典演習」はサイデンステッカーの『源氏物語』の英訳についての報告が聞けました。大満足。

11月13日(土曜日) 

NHK映像製作特別プロジェクトの記事が更新され、「大和和紀(やまと わき)さんのヒットコミックス「源氏物語 あさきゆめみし」がハイビジョンの実写撮影による映像作品になります。出演は宝塚歌劇団「花組」の愛華 みれ、大鳥 れい、彩乃 かなみ、匠 ひびきほかのみなさんで、岩手県江刺市の「えさし 藤原の郷」で撮影を行いました。“ヅカファン”のみなさん、乞うご期待。」とありました。僕の考証は生かされたのかなあ。

夕方、三回目の罹災者集会。あの火事から半年。そろそろ紛争も全面解決へと向かいそうです。

11月14日(日曜日) 

放送大学千葉学習センターで「国文学入門T」。テーマは「『源氏物語』の世界」一時限目は平安朝文学史と物語の概説。二時限目は「文化史の中の『源氏物語』」。『原中最秘抄』の一文を中心に河内学派と冷泉家を中心とした『源氏物語』の享受とそこに介在した人達の歴史について。終了後、たくさんの質問をいただきました。次回は来月12月11日と12日の両日になります。

11月15日(月曜日) 

雨。月末締め切りの原稿がすこし気になってきました。

11月16日(火曜日) 

とある偶然から夢にまで見た<琴のこと=古琴>が僕の手に入り、レッスンを始めたいと思います。しかし、先生{もちろん、中国の国立中央音楽学院の民族楽器科で専門的に学問として学ばれた方にお願いしました}と日程が合いません。どうなることやら。夕方、國學院で「『うつほ物語』の会」に参加しました。

11月17日(水曜日) 

清泉女子大学。物語は、文学テクストのみならず、音楽や映画などのあらゆるジャンルに生成するというロラン・バルトに勇気を得て、僕が報告する番の今日の基礎演習はポールシュレーダー監督の『mishima−1970.11.25』の中の第一章「beauty−The Temple of Golden Pavilion」。放火犯で吃音の主人公・溝口と足に障害を持つ友人・柏木、伝統的な美の象徴・金閣寺の構図が、『源氏物語』の柏木・女三宮物語の話型を踏まえていると言う図式を描いた上で、この映画の一部分を鑑賞しました。しかし、ラストシーンの三島さんの自決場面の緊迫感のほうが衝撃だったようですね。文学と行動が合目的化されているテクストだから仕方が無かったかもしれません。感想を見ますと、佐藤浩市演ずる柏木の次のせりふが印象に残ったようです。

美というものは、そうだ、何といったらいいか、虫歯のようなものなんだ。それは舌にさわり、引っかかり、痛み、自分の存在を主張する。とうとう痛みにたえられなくなって、歯医者に抜いてもらう。血まみれの小さな茶いろの汚れた歯を自分の掌にのせてみて、人はこういわないだろうか。『これか?、こんなものだったのか?俺に痛みを与え、俺にたえずその存在を思いわずらわせ、そうして俺の内部に頑固に根をはっていたものは、今では死んだ物質に過ぎぬ。…』」

11月18日(木曜日) 21000カウント 

東京成徳大学は一時限目のため朝はなんと06:45に立たなければなりません。朝の寒さが厳しくなってきてちょっとつらいですね。

帰宅すると、小嶋菜温子・高橋亨・土方洋一さんの鼎談集『物語の千年−『源氏物語』と日本文化』{森話社.11.15}を頂戴していました。万謝。

11月19日(金曜日) 

青山学院。メインストリートでは中国から戯曲団が舞楽を披露しており、近藤ひなこさんからパンフレットを頂戴しました。文学史は『隆能源氏物語絵巻』のビデオを見ながら享受史、描画技法などを概説しました。夕方は新宿で弟の友人達と宴。要するに金蔓{かねづる}にされたというわけでした。

11月20日(土曜日) 

日大文理学部で物語研究会例会。森孝子さんの報告は『源氏物語』の音楽に関するものだったので、なんども“上原先生”を連呼され赤面状態。風邪で苦労した例会でした。

11月21日(日曜日) 

風邪により不機嫌。書くことも無し(≧∇≦)。

11月22日(月曜日) 

午前中にちょっと無理をして生涯通算六回目運転免許の書き換えに行きました。前回の書き換えの際には、所沢警察署にオウム逃走犯が出頭した直後だったため混乱状態だったことを思い出しました。午後、なんとなくテレビを見ていたら停電。また近所で事故かと思って飛び出すとみなさん同様に飛び出していました。原因は例の狭山の自衛隊機墜落事故による送電線切断によるもの。あんなに細い線にライフラインが通っているとは。やはり東京圏は狭いんですね。

11月23日(火曜日・勤労感謝の日) 

古代文学会・物語研究会合同シンポジュウム準備会最終回。パネラーお二人のレポートを討議しておおよそコンセプトを固めました。いよいよ本番。みなさんの参加をお待ちしています。

11月24日(水曜日) 

清泉女子大学。今日から日本古典文学演習も発表です。一本目は「洗髪について」。『うつほ物語』の蔵開・中巻に詳しい描写があり、これを丁寧に読み解いたもので高水準。基礎演習の計4本の発表も「紫式部と物語」『源氏物語』の「男達」「紙」「琴」。はじめて僕の本も引用されていました。

11月25日(木曜日) 

本日、憂国忌。早朝は朝靄が立ちこめていましたが、気温の上昇と共に快晴の空が広がりました。文学無用論が声高に叫ばれる現代にとって、文学と人生が同じ理路にある三島由紀夫を考えてみることが、必要なのかもしれません。

11月26日(金曜日) 

青山学院。四時間目は榎本・井野両先生と合同で写真集はこちらです。今日の青山はクリスマスツリー点火祭。たくさんの人達が集まりましたが、荘厳さは昨年のほうが勝っていたような。表参道でピーター・フランクルさんに話しかけられました。

11月27日(土曜日) 

再び風邪がぶり返す。完全休養日にします。

11月28日(日曜日) 

風邪気味ではあるけれども、いくつか連絡事項もあり、日本文学協会の『うつほ物語』の会に頭だけ顔を出しました。あ〜〜しんど。

11月29日(月曜日) 

大東で「元輔集」注釈の会。元輔の「たまのかざり」の歌が、和泉式部に転用され、『栄華物語』の巻名になったことなど、ますます知見が増えた日でしたね。ひさしぶりに水泳にも行けました。

11月30日(火曜日) 

今月はまるごと風邪に悩まされました。本日締め切りの清泉の2000年度のシラバスを掲げます。

●日本中古文学概論                     

王朝文学史の課題−『源氏物語』とその時代

講義要項 日本文学史において最も傑出した女性作家、清少納言・紫式部を生み出した『源氏物語』の時代−平安朝(794〜1192)の時代と文学世界を概観する。

T 『大鏡』をテクストとして、通史的に平安朝時代の貴族社会を概観する。

U 『源氏物語』の名場面を中心に読み進め、物語世界の全体像を理解する。

V 王朝文学作品に見える、貴族の暮らしや文化の特質をテーマ毎に解説する。

  (テーマ:@平安貴族の生涯{通過儀礼}、A年中行事、B遊び{詩歌・管弦}C信仰{出家と宗教観}など)

講義方法 講義形式で進める。

評価方法 単元毎に小レポートを課し、定期テストを実施する。これに出席点と平常点を加味して総合的に評価する。

教科書 上原作和 他『古典講読 源氏物語・大鏡』(角川書店)

●日本古典文学演習7

物語学への招待−『うつほ物語』から『源氏物語』へ

講義要項 王朝物語における初の長編小説『うつほ物語』を中心に取り上げ、日本文学の最高峰『源氏物語』との比較を行う中でその文学史的位置付けや物語内容の特質などを考える。『うつほ物語』は物語文学の典型と冠されるように、極めて多様な物語要素を備えており、俊蔭巻の音楽伝承譚、藤原の君巻のあて宮求婚譚、忠こそ巻の継子(ままこ)いじめ譚と言った三つの冒頭を備えている。これらはすべて『源氏物語』の物語内容の源泉となったものと考えられる。王朝物語に溢れるダイナミックな文学精神を読みながら、『源氏物語』『枕草子』の生成された平安王朝の歴史と文化そのものについて考えることとしたい。

講義方法 適宜講義を行いながら、原則として輪読・研究発表形式で進める。

評価方法 適宜小レポートを課し、発表内容を中心に捉えて考える。これに出席点を加味して総合的に評価する。発表内容はインターネット上に公開もしている。あらかじめ御了承願いたい。1999年度の発表内容は、「物語学の森」(http://www.asahi-net.or.jp/~tu3s-uehr/seisen-top.htm)を参照のこと。

教科書  野口元大『うつほ物語D−校注古典叢書』明治書院


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