Last Up Date 2003.10.01          

日記を物語る 2003年09月INDEXホームに戻る             


09月28日(日曜日)

母校で『元輔集』の注釈作業。今日に限って一番若い僕ですが、僕に欠けているのは持久・集中力であると実感させられました。

09月29日(月曜日) Special Thanks 138,000 Hits

晴天。明治大学。「国語」は、敬語のイロハを学んでから、漱石の『一夜』に入りました。「論文演習」は「夏休みの日記」を読む。携帯から撮った画像の花火もまたおつなもの。五時限を終えて帰ろうとすると、さらに司法試験対策の予備校が学内で講義を行っているため、エレベーターの途中下車組多数。400人入る大講義室が満杯の盛況だそうで、これには頭が下がります。

09月30日(火曜日)

渋谷の國學院で、『うつほ物語』の会。今日は秋の学会発表予定者のプレ発表を聴く。まだ時間があるけれど、提出したレジュメの範囲内での調整には、大胆かつ細心の注意力を要するもの。期待しています。


09月01日(月曜日)

あっと言う間に秋の気配。夕方、近所にある広大な公園に行ってみました。隣にある巨大な司法研修所と豊かな緑が交錯したスポットです。

09月02日(火曜日)

本を読み、琴を弾く。でもなぜか毎日こんな暮らしがしたいとは思いません。夕方はジム。バーベルは軽いのにしていますが、肩はかなり筋力も落ちていたようです。

09月03日(水曜日)

残暑の中、青山学院女子短期大学図書館へ。校正その他。作業がはかどりました。休み中の大学図書館はいいですね。

09月04日(木曜日)

ぼちぼち原稿を書く。ペース配分から言うと今一番肩の力を抜いている時分です。

09月05日(金曜日) Special Thanks 136,000 Hits

岸辺成雄先生卆寿の労作『江戸時代の琴士物語』(有隣堂印刷株式会社)は、江戸時代の琴と琴士とを網羅した労作ですが、法隆寺の開元銘の唐琴や、正倉院の金銀平文琴に関する言及も詳細で、古代日本音楽史研究には必備の書と言えるものです。厳島神社蔵の平重衡愛用の琴に関する文献も紹介され、長い間の疑問も氷解しました。さらに『源氏物語』の女楽に関してこんな記述もあります。「強いて想像してみると、琴に本来の機能(旋律)を弾かせ、和琴に本来の奏法(三、四、折、摘)を弾かせ、琵琶、箏に本来の奏法(分散和音)を弾かせて、無理に管弦曲か国風歌曲を合奏したことになる。いずれにしても、どれかの楽器は、或いはすべての楽器に無理を強いることになる。…この合奏は面白く書かれた作り話としかいえないと思われてくる。『源氏物語』を愛読される方々の参考にしていただきたい。25頁」とあります。岸辺先生は触れておられませんが「琴は胡笳の調べ」とあるので、和琴や箏に「無理に管弦曲」を合奏させたことになるのでしょうか。とすると催馬楽「更衣《ころもがへ》」(巻二)、和製の雅楽「仙遊歌・《せんゆうか・太食調》」(巻三)を琴で弾いたり、さらに和歌を唱和させたりする『狭衣物語』の場合は、琴の和様化の貴重な証言となるのかも知れません。ちなみに、万葉歌や催馬楽を琴で弾こうと試みたのは、『玉堂琴譜』で知られる文人・浦上玉堂がいます。『新編日本国語大辞典』(小学館)の「語誌欄」に詳述したものの見事に削られてしまいました。今後さらに考えてみたいと思います。なお、本書は田邉尚雄賞受賞作(第17回 平成11年度)であることも合わせて紹介しておきます。

09月06日(土曜日)

勉誠出版より、『白居易研究年報/第四号』が届く。僕もこの春、白楽天の音楽関連ということで五十枚ほど書かせていただいたもの。比較文学的研究を志す方にはぜひ御高架を。御用命はなんなりと。僕の所でも結構です。

09月07日(日曜日)

日曜午後の渋谷で古代言語蔵開の会。遍照の和歌から、ある世界観を抽出しようとする試み。散逸した韻文集『洞中詩集』に興味を持ちました。

09月08日(月曜日)

東名高速道路で厚木まで。風景が少しずつ秋の気配に変わりつつありますね。ボチボチ頭も切り換えないと。

09月09日(火曜日)

甲府市内の高校で進路講話+面接指導。僕はなぜか体育推薦組担当のご指名となり、真っ黒に日焼けした巨大な達磨さんのような生徒さん達と三時間。それぞれ県内トップクラスの実力を有し、大学スポーツの担い手を嘱望されている人たちなので、以後スポーツ欄にも注目したいと思います。最終回のドラマ「ウーターボーイズ」同様、すがすがしい甲斐路の旅となりました。

09月10日(水曜日)

なぜかぶり返しの残暑。池袋の書店で「国文学」の予告を見ていたら、『必携 源氏物語を読むための基礎百科』も来月発売のようですね。僕は「音楽・舞楽/遊戯・娯楽」を担当しています。お楽しみに。

09月11日(木曜日)

ほぼ終日自宅。近所で道路の拡張工事が始まりました。道が広くなることはありがたい。

09月12日(金曜日)

僕が前期物語を担当した、西沢正史編『古典文学作中人物事典』(東京堂)が届きました。こちらも御高架をお願いします。

09月13日(土曜日)

先月は台風接近のため中止となり二ヶ月ぶりの古典に親しむ会『源氏物語』「蛍」の巻。たいへん重要な物語論の場面。こんな物語上大切なところの予習も二回できたし、まさに災い転じて福となるの一日でした。フェーン現象とかで今日も暑かった。今週は五日もジム通い。はたして成果は。。。

09月14日(日曜日)

日曜日とは言いながらほぼ終日机に向かって採点。そろそろ新学期の準備もしないと。金曜日の講義を兼ねて棚の下に寝ていた『まろ、ん?大掴源氏物語』(幻冬舎)で予習。夕方はジム。腹筋は今の三倍にしないとダメらしい。

09月15日(月曜日)

気温は30度を超えるものの湿度が下がってさわやかな朝。ここ数日、机に張り付くことになるので、車を飛ばして武蔵丘陵森林公園へ。秋の七草の咲くところを探して約1時間。先月の土佐国衛跡にも七草の花壇があったけれど、こちらは花々のスケールが桁違い。

09月16日(火曜日)

名古屋では立て籠もり爆発事件に、近所では西武池袋線が大泉学園〜保谷間の踏切で脱線して夕方以降機能停止など、なんとも物騒な一日。西武線は僕も吉祥寺に向かう際に必ず渡っている、知る人ぞ知る抜け道のキーポイントでした。採点作業はあまり進まず。まあボチボチ行きましょう。

09月17日(水曜日) Special Thanks 137,000 Hits

いよいよ、永い夏休みもあと一日で終わり。テストの採点は進みませぬ。

09月18日(月曜日)

本日もまたまた採点。ベテランの先生から、毎日何があっても一日何枚と決めてやれば苦にならないよと御教示を頂いていたのを今頃思い出す。採点していると顔と名前が記憶の中に復活してきました。また、徒然に探したネット購入で、京都への学会には飛行機で行くことにしました。新幹線より安いのはいいけれど、あちらに行ってからの移動代でとんとん位か。移動時間が全然違うのは言うまでなし。

09月19日(金曜日)

青山学院女子短期大学の講義が始まる。演習は早速発表。花散里と光源氏の唱和歌のみだったため、コンパクトでしたが、自由発表の花散里、用意したお香も花散里と、とても雰囲気がマッチしており、回収した感想・質問も好意的なものばかり。講読はまず前期試験を返却。後期は宿木から夢の浮橋まで、一気に読み通す予定です。また頑張りましょう。

09月20日(土曜日)

雨。立教大学で物語研究会。一本目は国冬本を読むという趣旨だったためか、僕が司会を務める。質問はなぜかベテランばかりだったけれども、発表者の越野さんのみならず、僕にとっても貴重な研究の指針を得たように思います。二本目は永井さんのデビュー戦。今度は若い人からの元気な質問が続く。すぐまた次回の発表を決意したようで、また期待しましょう。三次会で行ったお店は凝った作りのしつらいで何度行っても全体の間取りが謎に包まれているところ。

09月21日(日曜日)

台風接近の雨。東京ドームで、巨人・阪神の今季最終戦を観戦。熱い戦いでした。

09月22日(月曜日)

雨から晴天となる。明治大学も新学期。「国語」は三クラス、120人分の答案を返してレポートを受け取る。『源氏物語入門』のレポートで、巻子形態に表装したものがありました。中には「絵」もコピーされていたので、これだと本当の「絵巻物」になります。「論文演習」の「夏休みの日記」も画像付き有り、手書きありの楽しい時間でした。また頑張りましょう。

09月23日(火曜日)

秋分の日。晴天。愛知教育大学の田口尚幸さんから『伊勢物語相補論』(おうふう、2003.9/\14000)を頂戴しました。装丁も美麗、英文・題字の揮毫も同僚の先生による心熱くなる本です。僕とはほぼ同世代、十七年にわたる『伊勢物語』研究の総決算。内容は、『伊勢物語』の所謂・三段階成立論の批判から出発し、現存本の章段配列をテクスト論的に読むということになるのでしょうか。この方法論に関して僕は、三巻本『枕草子』の章段構成を伝能因所持本の構成と比較検討してその優位性を立証した萩谷解釈学を想起しました。御高架の上、精読をお願いします。

09月24日(水曜日)

夏休みを含めて三条市内の高校で四回目の小論文講座。放課後で後輩達が部活に励む中、今年の小論文でチェックすべき社会の動き、事件などについて考える。あと三回伺うことになっています。

09月25日(木曜日)

曇天から雨となる。清泉女子大学で『小右記』の会。鹿鳴館設計のコンドルの手になる本館の会議室を使わせていただいたため、荘厳な雰囲気の中、講読が進んでゆきました。今度は十月の中旬なので開かれた庭園の紅葉が見られることでしょう。

09月26日(金曜日)

明治大学の「論文演習」もスタート。後期はいろいろやりますよ。移動して青山学院女子短期大学へ。演習の発表は「幻」巻の七夕歌。自由発表も七夕の歴史に関するもので、質問も多岐にわたりました。講読は「宿木」巻。絵巻をスクリーンに映しながら、じっくり本文を読みました。

09月27日(土曜日)

空はすっかり秋の気配。それにしても、日曜日に見た巨人軍・原監督の勇姿は、あれが最後になろうとは。残念。どこの組織にも、いわば老害とも云うべき、現場介入大好きの輩がいるものですが、こういう方は晩節を汚さぬよう、口を貝のように結んでおくのが処世の術というもの。西武の伊藤勤捕手が引退し、僕と同世代の現役は、阪神の広沢選手だけとなりました。


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