Last Up Date 2003.07.01          

日記を物語る 2003年06月INDEXホームに戻る             


06月27日(金曜日)

小雨。明治大学「論文演習」は作文技術の向上が今のところの課題ですね。午後から青山学院女子短期大学へ。「幻」巻の「演習」は、担当箇所が短いのを、発表者二人がそれぞれ自由発表を用意してくれ、「中将の君」と「女性の衣裳」を。「講読」の「総角」巻は中の君の三日夜餅と大君の死までを読了。彼女の望んだ臨終出家に興味を持ってくれたようです。夕方からは『小右記』の会へ。書陵部の『野府記』長元四年七月条の影印が提供されましたが、明治18年の新写本で、首書が本文に混入している可能性があるなど、注意が必要なテキストであるようです。

06月28日(土曜日)

小雨。傘を何度か置き忘れてその度回収する。駿河台の明治大学リバテータワーで古代言語蔵開の会へ。始まる前に図書館に寄ってみましたが、土曜日の午後ともなれば書庫には院生、OBばかりと言う感じ。発表も文献を多用して、発展性の高い内容でした。二次会のパスタもおいしかったですよ。

06月29日(日曜日)

明日締め切りの原稿ため、許健『琴史初編』(人民音楽出版社、1990)を読む。簡体字の解読にも慣れてきました。中国の琴学史に関する必読文献です。

06月30日(月曜日)

曇天。明治大学。「国語」は『細雪』を終えて来週はレポートです。「論文演習」は先週見た『道成寺』の批評をプレゼン。これは期待に反して……。次の芥川の短編小説の批評に期待することにしましょう。


06月01日(日曜日)

この春の統一地方選の県議選立候補者から突然の戸別の訪問を受け、四市合併が白紙に戻った後の動向などを伺う。自分の住む町なのに一銭の報酬すら受け取ったことがなく(跡見に二年半お世話になったが法人本部は東京)、いつまで住むのかも分かりませんが、この方の地道な政治活動には感銘を受けました。次回の雪辱を期待しています。

06月02日(月曜日)

爽やかな朝。明治大学。「国語」は谷崎の『刺青』に入る。「論文演習」は情報実習室で時事問題を書く。新聞各社のページにアクセスして、ワープロに張り付けて作文。これもすぐ出来る人、一時間経っても題材の決まらない人など様々。来週からはこの添削・批評です。

06月03日(火曜日) Special Thanks 127,000 Hits

快晴。八王子市内の学校が所有する、信州野辺山のセミナーハウスで進路講話。八ヶ岳の残雪も眩しく、緑が日光に照り映えていました。涼風が講堂を吹き抜ける中、学校のある多摩地区の大学の話を中心に。列車の本数が少ないからと駅まで送っていただき、夕方からは國學院で『うつほ物語』の会。「国譲」上巻。藤壺の発言が国母的な色彩を帯びてきました。

06月04日(水曜日)

曇天の一日。群馬県北部の二つの町で運営されている、組合立の高校へ。40人あまりの進学希望者対象でしたが、一言も聞き漏らすまいと言う真剣な眼差しに圧倒される。冗談の一つも交えず50分。勉強の契機になれば幸いです。

06月05日(木曜日)

快晴。これだけ働いている(記さざる仕事ももちろんある)のだから、たまにはお休みも必要でしょう。ただ、「梅花三弄」の減字譜でリズムを採りながら暗記を繰り返し、『源氏物語』「椎本」巻の予習をしました。

06月06日(金曜日)

爽やかな朝。明治大学。「論文演習」はこちらも時事問題。移動して青山学院女子短期大学へ。「幻」巻の「演習」は、角川文庫で第四段、さらに「薫」と「匂」についての考察まで、かなり完成度の高い発表に感心しました。「講読」「椎本」巻の八の宮の死をテーマに、平安時代までの仏教史を概説しました。レポートはたくさんの人がイラスト付きで読むのが楽しいものばかり。

06月07日(土曜日)

所沢市の松井公民館で古典に親しむ会『源氏物語』「胡蝶」「蛍」巻。玉鬘が源氏への返信として送った「陸奥紙」を持参してお見せする。資料は『週刊四季花めぐり 源氏物語の花』(小学館、2002.11)で花にまつわる物語を確認しました。夕方は池袋で楽しいひとときを過ごしました。明日の琴の稽古が気になっています。

06月08日(日曜日)

上海から戻って十日たったはずの余明先生のスタジオでレッスン。自分で採譜しているため、奏法の精確ではないパートを繰り返し練習する。今日も「完璧に×回連続して出来るまで n___(!!)~m 」と猛特訓の様相に。ここまで来ると琴曲「広陵散」の聶政が、体力の限界に挑む修行僧のように琴の修練に励んだことが思い起こされるのが不思議です。移動して、『元輔集』の注釈、掘り下げれば掘り下げるほど、注釈こそ文学系の学問の神髄なのだと思わずにいられません。

06月09日(月曜日)

梅雨入り前の爽やかな朝。明治大学へ。「国語」はレポートを返却しつつ、谷崎の『刺青』の続き。同時期に回収した青短のみなさんのレポートと比べると、イラストも図表も系図も一切見えない、字は汚いないの(もちろん巧い人も若干いるが)、ないない尽くしのこのレポートの束はなぜなんでしょう。僕のこの問いに男子学生が元気に答えました。「メイジですから」。入学して二ヶ月、校風にはすっかり染まっておられるようで。。「論文演習」は時事問題を読む。添削しつつ批評するのですが、こちらは段違いの高水準で安心しました。

06月10日(火曜日)

快晴。多摩川沿いにある川崎市内の高校で進路講話。前半は進学希望者、後半は保護者対象。子供さんももっとも多感な時期であり、世代的にも保護者からすれば、進路についての情報収集がむつかしい面もあるようで、真剣勝負の三時間でした。夕方からは、青学会館で短大国文学科の懇親会。諸先生にはいろいろお気遣いいただき、感謝の言葉もありません。

06月11日(水曜日)

曇天の一日。静岡県沼津市内の高校で進路講話。120人あまりの進学希望者対象でしたが、今日は一部の生徒のおしゃべりが気になって仕方がなく、いつもの話を滞りなく進めたものの、こちらも話の展開や間の取り方をさらに研究する必要もあるだろうと感じました。その昔、僕も教職講座の話を聞くため、春休みの間、連日大学へ通ったことがありましたが、講師の先生が「昨日はある短大での教職講座だったが、今の時代、短大から教職に就ける可能性は絶望的な時代ゆえか、おしゃべりばかりで人の話を聞こうとしなかった。この大学は教職志望が現実の目標であることがひしひしと分かる」と文学部・外国語学部の数百名の出席者に語りかけていたことをふと思い出しました。この日がガイダンスの最大のピーク時ということもあり、本来、三人は必要な規模を僕も荷の仕分けから梱包まで手伝い、正午に入って終えたのは五時前になっていました。

06月12日(木曜日) Special Thanks 128,000 Hits

終日雨。角田文衛先生から『増補古代学序説』(山川出版社、1954初版、1991増補四版)を、角川書店の高橋さんから教科書編集委員のおひとりでもある小池清治先生『日本語は悪魔の言語か?ことばに関する十の話』(角川書店、2003/06)を頂戴していました。角田先生は若い日々にロシア・西欧に留学されていたそうで、若い研究者が半知半解のままにロシアフォルマニズムを援用するのを危険に思ってこの本を書いたとのことでした。歴史の方法論を勉強させていただきます。また角川の本は日本語ブームのその最中の一冊ですが、古典に取材した知っていそうで知らない話が満載。こんど論文演習で使ってみようと思います。萬謝。

06月13日(金曜日)

雨で大渋滞の朝。明治大学の「論文演習」は時事問題。なかなか力作です。青山学院女子短期大学へ。「幻」巻の「演習」は、角川文庫の第五段とこの巻の和歌の機能について。「講読」「椎本」巻の八の宮の遺言をテーマに本文をじっくり読み込みました。夕方は慶応で『小右記』の会。長元四年の六月条は読了しました。

06月14日(土曜日)

晴れ間も見えるものの終日雨。白百合で『浜松中納言物語』を読む。注釈の意義を考えるのはよい会ですね。

06月15日(日曜日)

終日自宅で溜まった原稿を書く。論文抜き刷りのお礼状までは手が回らず、こちらは失礼しました。琴はこの湿気でむしろしっとりしたよい音です。

06月16日(月曜日)

雨の明治大学。「国語」は『刺青』を終えて『細雪』へ。「論文演習」は時事問題を読み終える。力作が揃いましたが、要努力の人もちらほら。来週からは「構成を考える」。頭をフルに使う時間が続きます。

06月17日(火曜日)

本日も雨。夕方から國學院で『うつほ物語』の会。「国譲」上巻。回数を絞ったため輪読に関しては今季最終回。

06月18日(水曜日)

小雨、曇天、快晴とめまぐるしく天候が変わる一日。岩手県内の高校へ。江刺藤原の里が間近にあることを到着してから知り、予習が足りなかったことを後悔する。大変熱心にメモを取りながら聴いてくれました。滞在時間二時間、新幹線往復六時間も、考えようによってです。車内でテストの採点、ゲラの校正、論文の推敲までできるので有効活用しようと思えば出来ますね。夜は弾琴。「鳳求凰」「梅花三弄」。適度な湿度で絃の蕭条たる響きが心地よい。

06月19日(木曜日)

梅雨の晴れ間の一日。「梅花三弄」で、二絃目の13番目の徽を清んだ泛音(ハーモニックス)にするため(左手無名指《薬指》で軽く押さえ、右手中指の爪ではじく)の練習に時間を費やす n___(!!)~m 。忙中閑ありの本日、桜桃忌。

06月20日(金曜日)

今日も爽やかな朝。明治大学の「論文演習」は文章をじっくり練る時間(よく言えば)。取り壊された同潤会アパート前の壁画が鮮やかな表参道を抜けて、青山学院女子短期大学。「幻」巻の「演習」は発表予定者の不慮の欠席で、急遽、僕の「柏木」巻の概説と輪読に変更。演習の場合、適宜講義形式を入れて巻毎の連結を考えてみることは、実はとても効果的なもの。「講読」は「総角」巻の薫の大君への執拗な執着や、姫君の思惑について。講義終了後も質問に来る人多数。中には『源氏物語』に関する特別演習の予習の相談をすることまで恒例化した模様。勉強のことなら何なりと。時間の許す限りお答えいたします。。。

06月21日(土曜日)

気温32度の中、仕事の関係で高田馬場から徒歩で学習院大学での物語研究会へ。この大学は、生前の千野香織さんの発表を聴かせていただいて以来だから会場としては十年ぶりくらいになるでしょう。報告も質疑も熱気を帯び、鋭角的な議論になっていたように思います。始めてきた人にはかなりのカルチャーショックだったようですね。僕も最初に来たときはチンプンカンプンで目眩を起こしたような気がしたものでした。

06月22日(日曜日)

上野の東京国立博物館で鎌倉〜禅の源流展。北条時頼や蘭渓道隆などおなじみの像が並んでいました。また禅と白楽天のむすびつきなど、忘れかけていた視点を再発見することができました。

06月23日(月曜日) Special Thanks 129,000 Hits

小雨。明治大学。「国語」は『細雪』。都合三回見ることになりますが、クラス毎に反応が違うのは人間の集まりの妙なのでしょうね。「論文演習」は「構成を考える」。三島由紀夫の「道成寺〜近代能楽集」を見て論評するのですが、覇気が感じられず、難解なテーゼがどこまで理解されたのかは来週のプレゼンで判明するでしょう。

06月24日(火曜日)

終日雨。夕方、國學院で『うつほ物語』の会。来月予定されている学会のプレ発表を聴く。あと二週間の微調整が大切でしょう。

06月18日(水曜日)

どしゃぶり、小雨、快晴とめまぐるしく天候が変わる一日。わずかな間隙を見つけて車の定期点検。さすがにあちこち痛んでおり、来月もう一度部品を揃えて整備することに。

06月26日(木曜日)

小雨。締め切りの迫った原稿などを書く。ゆっくり推敲する時間がないのがつらいところ。


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