Last Up Date 2002.08.01          

日記を物語る 2002年07月INDEXホームに戻る             


07月30日(火曜日)

「元輔集」の注釈。屏風歌の解釈はむつかしい。またそれを他者にどのように説明するかも。注釈の文体が確立される必要がありますね。

07月31日(月曜日)

進路講話で御一緒した先生方、スタッフと一学期の研修会。トラブル事例に、別の県の同名高校に行ってしまったと言う例があり、他人事では済まされないことだと思いました。スタッフから僕への要望にはひととおりの誉め言葉の後で「もう少し高校の先生方に頭を下げて欲しい」とのこと。腰は低いつもりだったけどなぁ。模範的な報告書を見たら、某高校には存じ上げている先生が大学の広報として参加なさっていたことを知る。秋にはどこかでお会いするかもしれませんね。ただし、こういうケースは差し障りがあるといけませんから個人名は書きませんので、念のため。


07月01日(月曜日) Thanks 96000 Hits

明治大学。土砂降りの朝から始まる一日。こういう日の「国語」はまず漢字テストから。「語彙」の漢字は書けた人三クラス百余名中、若干のみ。あなたはいきなりこの字が書けますか?。市川崑監督の『細雪』はとにかく映像が美しい。「論文演習」は『道成寺〜近代能楽集』を見て構成と主題を考える。帰りがけ、傘を忘れてキャンパスに引き返すと、一時限目にはいなかった女子学生に遭遇。動揺したのか、「あ〜、あの、先輩」と頓珍漢な受け答えをしてくださいました。女子大で絶対にあり得ないリアクションですが、僕がまだ《少年の春は惜しめども》の時代にあるという風に勝手に解釈しておきましょう。

07月02日(火曜日)

湿気が多く、不快指数急上昇。夕方、渋谷の國學院で勉強会。はやいもので前期最終回となりました。

07月03日(水曜日)

本日の「朝日新聞」「ひと」欄は大学時代の同級生で、『世界がもし百人の村だったら』を日本に知らしめた生稲勇さん。五月の連休明け頃でしたか、電子メールを頂戴して恐縮したところでした。教養科目の中国語も非常に熱心に勉強していたことが思い出されます。記事によれば、毎日「学級通信」を配信しているという。これは並大抵のことではない。こうした、真摯に生徒を愛する先生がいることをみなさんにも大いに知って欲しいもの。

07月04日(木曜日)

時間があったので、物語研究会のテーマに本などを更新し、また物語系の諸文献目録などを増補しました。遺漏のある場合にはお知らせいただけると有り難い。

07月05日(金曜日)

明治大学。構成を考える。テキストは芥川龍之介の『蜜柑』『南京の基督』『杜子春』。午後からは青山学院女子短期大学。『伊勢物語』は「筒井筒」の物語構成について。『源氏物語』は、「総角」巻の大君の死に至るまで。夕方からは前期最後の『小右記』を慶応で。

田中康夫長野県知事、県議会から不信任案可決。見ると議長は、つい最近、僕の家の縁戚となった人ではないか。どうも裸の王様たちは、束になると何をしでかすか分からないと言うのは、猿山の争いに似て、悲しいことです。

07月06日(土曜日)

サラダ記念日の今日は所沢市の松井公民館で「古典に親しむ会」玉鬘巻。昨日の講義でもサラダ記念日の話をしましたが、彼女たちは、この歌が人口に膾炙したとき、まだ三歳。「しらな〜い」の声がしたので、歌を板書したら、みんな頷いていました。中学校の教科書に載っているからでしょう。わたくしは、かつて作者と高校で同僚だった、齋藤正志(中国文化大学副教授)さんを通してサイン本を頂戴しています。今月号の「国文学」(学灯社)で、彼の文章が読めるようです。

07月07日(日曜日)

七夕の今日は日本女子大で日本文学協会大会に参加。古代部門の発表者が極端に少なかったので不安を感じましたが、発表者は力作揃いで安心しました。発表者を囲んでお茶を飲み、和やかな会となりました。

07月08日(月曜日)

明治大学。「国語」は『細雪』を終えて森鴎外へ。「論文演習」は『蜜柑』『杜子春』を読んで構成と主題を考える。蒸し暑くなってくるといよいよ夏休みも間近ですね。

07月09日(火曜日)

本日は、群馬県藤岡市。我が家から高速道路で一時間。はやく着いたので地元のブックオフに寄る。東京近郊の店よりも相場が安めなので文庫本三冊購入。夏の雷雨に見舞われるも、二年生の女子学生達は、僕の話を熱心に聞いてくれました。こちらも高校同士が三年後の合併が確定しているとのこと。この学校も13年度の実績は、大学・短大進学者は専門学校の三分の一。まだまだ、開拓の余地があるようです。帰りは長野へ足を延ばすことにしました。

07月10日(水曜日) Thanks 97000 Hits

午後、立科村の「権現の湯」。新しいところのようですが、なぜか空いていました。台風接近につき、速度制限の高速道を駆け抜ける。帰宅すると一日空けただけなのに郵便物がいっぱい。これが現実です。

07月11日(木曜日)

本日はご近所の和光市内の高校。今週は進路週間と言うことで、朝一時間目から。すでに、オープンキャンパスに行っている人もいれば、志望の学科にも迷っている人もいました。

07月12日(金曜日)

明治大学。エッセイを書く。テーマを見つけられず、すぐにウェブに飛びつくのはいかがなものか。くわえて、モバイルアカウント修得をしておかないといけないので、インスチラクターの方にサポートまでしていただかねばならず。来週かならず提出してください。午後は青山学院女子短期大学前期最終回。教室に向かう途中で、この五月、ある学校に出向いた時、熱心に質問相談をしてくれた高校生が、学校見学に来ていたところにばったり。「こんにちは。この間お会いしましたねぇ。○○高校の人かな」。僕は記憶力がかなりよい方だと思われますが、くわえて、琴を抱えて歩いていたので、彼女もかなり驚いていました。キャンパスにはかなり満足した様子で安心しました。さて、『伊勢物語』は八十二段の編成と「色好みの女」の物語構成について話してまとめました。『源氏物語』は「橋姫」〜「総角」巻までのまとめ。琴を二曲。こちらのクラスはよく聴いてくれました。四大の図書館に向かうと、レポートを書きたいということで、ひとりの学生さんが付いてきたので、本の選び方からアドバイス。熱心なので期待しています。

07月13日(土曜日)

いつもは第三土曜日ですが、海の日と重なったため、一週間繰り上がった物語研究会は横浜市立大学。『有明の別れ』に『源氏物語』「野分」の発表。三次会で、久しぶりの関根さんを囲み、『竹取物語』の年立論で盛り上がりました。夏は箱根で会いましょう。

07月14日(日曜日)

本日の「朝日新聞」読書欄に詩人で日本近代文学館館長の中村稔氏。インタビューの中で、かのサイデンステッカー氏ですら川端らの近代文学の翻訳をすべて合わせても、『源氏物語』全訳の収入に及ばないこと。『源氏物語』はどこから読めばよいか、という論議にサイデンステッカー氏は「玉鬘」を推し、中村氏は「若菜」からと思っておられること。大野晋氏は漢学の素養がないから『源氏物語』研究者にならなかったこと。などなど、目から鱗の知見を得ることが出来ました。氏と同じく僕も「古典集成」を机辺に常備していましたが、今はハンディかつ、教科書にも指定している「角川文庫」に変わっています。

07月15日(月曜日)

明治大学。こちらもエッセイを書く。情報実習室を使用したため、パソコンを利用するために入ってきてしまう学生多数。レポート時期になると、パソコンの絶対数が不足してしまうのは仕方がないことか。いよいよ、あと一週を残すのみとなりました。

07月16日(火曜日)

東久留米市内の高校に出向いたものの、台風直撃で中止の決定。五月雨式にお見えになった、大学、専門学校広報担当者も校長先生とご挨拶してすぐにお帰りになっていました。午後からは台風一過の快晴となり、夕方のうつほの会は井の頭線の終電まで。他のメンバーは帰れたのかな。。

07月17日(水曜日)

今週末締め切りの原稿を書く。指定は見開きに収めるために6.5枚ですが、実質、08枚までは大丈夫なようです。しかし、これではエッセンスすら書けない気がします。「短い文章が上手に書けるようになれ」と、大学院時代、保昌正夫先生に御教示いただいたことを思い出しました。

07月18日(木曜日)

東北新幹線で那須塩原。タクシーで二十分くらいのところにある定時制高校で、今季最後の進路講話。先月の都立高校の定時制と比べると、なんと話しやすかったことか。ただ暑かったので疲労感は極限状態であったことも確かですね。

07月19日(金曜日) Thanks 98000 Hits

明治大学。「論文演習」最終回。エッセイを読む。彼らの《今》を堪能することが出来ました。午後は青山学院女子短期大学で定期試験。試験慣れしていないためか、答案に白紙部分を残した人あり。後期はがんばりましょう。夕方は、千駄ヶ谷の津田ホールで「詩中有楽」と題した中国現代音楽コンサートへ。費堅容さんの古琴独奏に始まり、王維、杜甫、白楽天の詩にちなんだ曲で構成された、たいへん密度の濃いコンサートでした。

07月20日(土曜日)

先日、ほぼ書き上がった原稿の推敲。海の日の今日は本当に暑い日でした。冷房のせいもあるのでしょう、琴も乾いてよい音がしました。

07月21日(日曜日)

余明先生のスタジオで琴のレッスン。調絃をチェックし、運指法を細かく指導していただく。『陽関三畳』の三段目の運指が不正確だったので、繰り返し練習。次回には次の曲に進みたいもの。

07月22日(月曜日)

明治大学。「国語」は森鴎外の『舞姫』で最終回。最後のクラスは映画の中で、豊太郎が富士山を眺めるシーンでなぜか笑い声が起こりました。尋ねるとフランス人のセリフがかなり外したものだったようで、僕は何度見てもまったく気づかなかったことだったので、フランス語担当の先生のご指導の成果を意外なところで知ることが出来ました。「論文演習」は「エッセイ」を読む。かなりの秀作が揃いました。近日公開予定。

鎌倉に住む琴士、伏見靖氏が七琴絃に関する掲示板、幽琴屈談琴陋室を設置されました。七絃琴に関する質問等はこちらにどうぞ。

07月23日(火曜日)

「朝日新聞」のスポーツ欄の時評「EYE」担当の西村欣也氏はなんと勇気のある記者だろうと感心させられます。今回は、阪神星野監督が20日の横浜戦の試合後、会見を打ち切り、フラッシュをたいたカメラマンにいきなり水をかけた事件を「その『劇薬』に頼る時期は、もう過ぎているといっていい」と明確に批判した上で、「周囲にはこれをいさめるスタッフもいない」とも書いています。以前には、広島の中心選手が、声をかけたファンに暴言を吐いたこと、西武時代の清原の記者への暴言など、もうひとつの監督、選手の顔を知ることが出来るのは、このコラムであることが多いのです。実際、活字メディアの影響力や、記事発表後のリバウンドを考えるとなかなか書ける内容ではないけれども、著名人とて普通の対人感覚を要求するのはむしろ当たり前、提灯記事、美談ばかりの紙面を引き締めていることは確かですね。「裸の王様」を諫めるブレーンが誕生したとき、阪神はふたたび勢いを盛り返すのではないでしょうか。

07月24日(水曜日)

角川文庫で『源氏物語』の「梅枝」と「幻」巻を精読する。今年の夏は自分のための原稿を書きためたいと思っています。

07月25日(木曜日)

早稲田大学図書館で資料のコピー。来年締め切りの「白楽天と音楽」関係の文献を中心に。あまりにも準備が早すぎて元祖・楽天家の詩人には笑われるかもしれませんが、僕は「易者」は好きではありません。

あの記事以降、阪神は奇跡の二夜連続のサヨナラゲーム。勝負事には下手な理屈はいらないようで。。。

07月26日(金曜日)

明治大学。「国語」は定期試験。きちんと正装した監督補助員の方が三名付いて下さいました。最後まで僕のスピードに付いてきた人の欠席はなく、三クラスのべ百十一名の答案を受け取りました。また秋に合いましょう。その後青山学院女子短期大学で成績表を提出。移動だけでうんざりするような暑い一日でした。

07月27日(土曜日)

東洋琴楽研究所の所員各氏の論文を精読する。世界最古の琴譜「碣石調幽蘭」の伝承系譜が、後水尾院から狛氏へ下賜され、さらにその伝本が荻生徂徠に継承されて琴楽が生成されていたことなどを学ぶ。結局、琴譜は狛氏から京都神光院へ渡ったのでしょう(東京国立博物館現蔵)。まだまだ勉強しなければならないことはたくさんありますね。

07月28日(日曜日)

完全にオフ。休養日。

07月29日(月曜日) Thanks 99000 Hits

こちらも夏休みなら、学生諸君も夏休み。そして、アクセスもガクンと減りました。まさか、僕のページをコピーしてレポート出した人はいませんね?。本来、転載には許可が必要なのはみなさんご存じでしょうけれど。とくに『うつほ物語』は僕のだけ、また『松浦宮物語』も美里さんのと僕だけなので、受容は必然的に高くなるんですよね。


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