Last Up Date 2002.07.01          

日記を物語る 2002年06月INDEXホームに戻る             


06月29日(土曜日)

午前中渋谷に出かけたほかは自宅で仕事。今月ももう終わり、今年も半分終わってしまいました。

06月30日(日曜日)

『元輔集』の注釈作業。月次の屏風歌のあたりなので、歌ことばに敏感になりますね。それと旧版の『日本国語大辞典』が「は行」あたりから、語釈が希薄になると言う、大野晋氏の指摘が本当であることをつくづくと実感した一日でした。


06月01日(土曜日)

所沢市松井公民館で古典に親しむ会。『源氏物語』「玉鬘」巻。ようやく右近と再会するあたり。

帰宅すると、隣の職人さんが僕を見て呆然としていました。「おめぇさん、生きてたのかい?」。今週の僕が不在だったある晩、僕の家の前の奥さんの血圧が高くなって救急車を呼んだのを、僕が倒れたと言う噂が広まって、勘違いなさったようです。確かに、家にいる時間が短いので、最近見かけなかったというのは分かりますが、それにしても、勝手に殺・さ・な・い・で・頂きたい

06月02日(日曜日)

夕方、水泳に出かけたほかは終日自宅。二階の窓から吹き抜けてゆく風が心地よい季節ですね。

06月03日(月曜日)

明治大学。「国語」は『伊豆の踊子』、時代背景や、横光の世界観との差違を見て欲しいですね。「論文演習」は時事問題。パソコンに不慣れな人は実習室で自習しておいて下さい。ここは作文技術を学ぶことが中心になるのですから。備え付けのパソコンは、すべて新機種に入れ替わっていました。

06月04日(火曜日)

昼間はのんびりと過ごし、夕方、渋谷の國學院へ。議論が白熱して読むことの面白さを実感することが出来ました。

06月05日(水曜日)

世田谷区の女子校で短大進学についての話。短大の付属ではあるものの、そちらには関心もほとんどない模様。やはり、児童学、心理学系にA0で入ることに、人気と関心が集中しているようです。短大で《国文学科》の名称を維持しているのは、青山学院・大妻・駒沢短大の三つだけになってしまったこともここではじめて知りました。

06月06日(木曜日)

東名自動車道を厚木インターで降りて、市内の商業高校。進路指導の先生から、ここのところ進学実績がいきなり伸びて戸惑っている。A0、自己推薦を中心にお話下さいとのこと。こちらの学校でも、女子大、短大の指定校枠は進学希望者の数字を上回っているそうです。神奈川県内の大学・短大のみなさんも見えて、熱心に生徒さんに語りかけていました。

06月07日(金曜日)

明治大学。時事問題を読む。なかなか力作揃い。ワールドカップのチケット問題に関心が高いようですね。表参道を抜けて、青山学院女子短期大学。『古今集』は「恋」部の表現と技巧について。『源氏物語』は、「橋姫」巻を読み終える。現代中国の古箏と琵琶のビデオで、雰囲気を実感していただきました。

僕の弟の家で男の子が産まれ、写真が届きました。実家では、先代が親の仲人の家の叔父さんが亡くなり、両親もしぱらくご対面はお預け。いのちのともしびが継承されたのでしょう。

06月08日(土曜日)

冷房+寝冷えのためか、体調不良につき家でゴロゴロする。それでも水泳をしたら、平泳ぎの時の腕が重い感じ。体力不足も深刻化した模様です。

06月09日(日曜日) Thanks 94000 Hits

日本橋三越の「瀬戸内寂聴と『源氏物語』」展をちょっと覗いて渋谷へ向かい、古代言語蔵開の会。『伊勢物語』の《色好みの女》について。テーマ設定に加えて、文献が丁寧に拾われていたため議論が白熱する。帰宅して、取り上げられていた在原業平の卒伝に関する論文が収められた、渡辺秀夫さんの『平安朝文学と漢文世界』を読み返しました。

06月10日(月曜日)

明治大学。「国語」は昨日のワールドカップの余韻冷めやらぬところかと思い、抜き打ちの漢字テストでスタート。『伊豆の踊子』も本日で終えて、谷崎潤一郎へ。「論文演習」は時事問題。最新鋭のはずのAV−7教室のメインコンピーターにインストールされているインターネット・エクスプローラと明治のMINDシステムの相性が悪く、添付ファイルが開けなくなる障害を発見、講義終了後、担当のみなさんに知恵を出し合っていただきました。

06月11日(火曜日)

本日も厚木市内の高校へ。二年生の短大進学希望者対象の進路講話。「推薦で進学するなら、休まず、地道に勉強すること」と話したら、担当の先生も大きく頷いていらっしやいました。それにしても冷房がないところで話すのツライ。夕方、國學院で『うつほ物語』の会。「国譲」上巻を読む。帰りがけにちらついた雨は、梅雨入りのそれであったようです。

06月12日(水曜日)

新幹線で長岡から二つ駅を戻って新潟県小千谷市の高校。本日は一年生対象の話を総合的に一時間、個別の教科の学習方法をさらに一時間の編成。カラフルで、頭だけ見ていると日本人とは思えないような東京の高校生とは違って、みなさん髪が黒くて安心しました。ここもとんぼ帰りして、渋谷の青学会館で国文学科の懇親会。ひさしぶりの榎本さんから「スタンドカラーのスーツなんて、大江健三郎か、小森陽一さんみたいじゃないか」と冷やかされる。とりわけ、近代文学の精鋭のみなさん(有名人勢揃い、しかもみなさん早稲田の人ばかりでしたが)との会話が弾む。さらに、学科御用達の伝八に向かい延長戦。栗坪先生が即興で僕の扇子に狂歌を書いてくださいました。家宝がひとつ増えました。

06月13日(木曜日)

さすがに午前中は身体がいうことを効かず。夕方出かけた練馬区田柄にあるTUTAYAで、スキンヘッド(四月の頃はアフロだったけど。。)で鼻にピアスがトレードマークの、昨年度の「論文演習」の履修生くんにばったり。「司法試験は一次で失敗したけど、来年度は合格する予定なので、法科大学院には行きません」とのこと。まだ三年生、はやく弁護士になって下さい。

06月14日(金曜日)

明治大学。『声に出して読みたい日本語』で『論語』を読み、ついで時事問題を読む。ワールドカップはチケットネタから日韓友好がテーマに関心が移りつつあるようです。表参道で車を止め、NHKの脇を抜けて、たばこと塩の博物館で開催中の、日本近世文学会による「日本を見つけた。江戸時代の文華」展。ここで、はじめて自筆本の『奥の細道』と対面する。書写年代を「成立」としていたのが気になりましたが。青山学院女子短期大学。『伊勢物語』の「初段」から「三段」まで。『古今集』の詞書からの生成過程を考えてみました。『源氏物語』は、「椎本」巻、八の宮の物語。三時限目はいたのに、四時限目にはいない人も若干名。ワールドカップですね。中庭から歓声が上がり、駆けつけてみると、大学が粋な計らいで室内のテレビを外に出して観戦に供してくれていたのでした。最大百数十人以上の学生、教職員に高校生まで、ヒデのゴールの際の歓声はキャンパス全体に響き渡っていたとのことでした。三田までの道も空いており、慶応の『小右記』の会もサッカーの話題で盛り上がりました。

06月15日(土曜日)

二ケ月連続の日大文理学部で物語研究会。「後見」と是善、道真父子の二本立て。最近気になっていた、質問者がいつも同じ人ばかりと言う現象は、みなさん同じように感じていた模様。いろいろな人の意見を聞けてこそ、研究会の意味がある。事前に発表要旨を予習して、遠慮せずに大いに質問しましょう。帰りの深夜バス、大泉学園駅発の乗客が極端に少なかったのはちょっと心配。廃止されると困りますからね。

06月16日(日曜日)

近頃忙しすぎて抜き刷り等の礼状で不義理を重ねています。目は通しているつもりですが、とりあえずここでお詫びをしておきます。脈絡は違いますが、先日見た瀬戸内寂聴の『源氏物語』全訳中のメモには「義理を欠くこと」とありました。夕方出かけたジムも閑散としていました。ここでもワールドカップの影響でしょうか。

06月17日(月曜日)

明治大学。「国語」は谷崎潤一郎の『刺青』。毎年思うのですが、江戸時代の「粋・通」の精神や「色里」の文化を伝えることはむつかしいものですね。「論文演習」は時事問題。先週、手間取った添付ファイルは、事前準備で編集しておいたので順調に進みました。今までは、僕が読み上げていましたが、各自の主張を執筆者が口頭発表する形式にしたので、「演習」らしくなってきましたし、雰囲気も上向き。ただ、今頃「自分史」を提出するような、僕のスピードに付いてこられない呑気な人も居たので、「国語」の出席不足、漢字テスト不調の人と会わせて、三十数人に、たばこと塩の博物館で開催中の、「日本を見つけた。江戸時代の文華」展の招待券とレポート用紙を手渡しました。ちょうど「招待券」の部分がイエローで印刷されていましたからね。

ところで、僕もこの二月に教科書会議の後の二次会でお世話になった沖縄の店でコンパをしたあるクラスの面々は、女子学生が一人も来てくれなかったからいじけたのがどうかは知りませんが、急性アルコール中毒で、三台もの救急車を呼んでしまったとのこと。凄すぎる。。。「じゃあ、もう出入り禁止だね」と僕が聴くと、「『また来てください』と言われました〜」と元気に答えてくれました。さすが、沖縄、そして明治。。。でもお酒はやはりほどほどにしましょう。

06月18日(火曜日)

どしゃぶりの関越自動車道を花園で下りて、寄居の高校へ。ここまで一時間強。電車の半分しかかかりません。アンケートに「進学に関する情報がない」ことに不安を持っている生徒多数。大都市には近いように見えても、通える大学は極めて少ないこともハンデに感じているようです。

06月19日(水曜日)

千代田区内の定時制高校。はじめて僕のことばが通じないと言う事態に遭遇して唖然。まったく聴く姿勢を持たない生徒がぞろぞろと退席したのだ。個別相談では、僕の親世代の生徒さんから各大学の卒業生の企業内評価をお聞かせいただく。向学心がたいへん高いので、都心に夜学を持つ大学の社会人入試をお勧めする。帰り道、やはりこの仕事をしておくことは、きっと将来に役立つだろうと確信しつつ、自らの無力さに自問自答。本日、桜桃忌。

06月20日(木曜日) Thanks 95000 Hits

晴れの日は昨日一日だけだったようです。水泳に出向いたほかは、特に記すようなことはせず。夏休み前までのスケジュール、レポートは各ページで更新したので、各自チェックしておいて下さい。

06月21日(金曜日)

明治大学。時事問題を読み終える。こうした授業の場合、必ず期限に間に合わず借金(レポート提出)積み残しの人が出てしまいます。僕のスピードについてこられないなんて、現代の競争社会では生き残れませんよ。梅雨の晴れ間、青山通りへ坂道を一気に駆け上がるのは爽快の一言。青山学院女子短期大学。『古今集』のレポート。一枚しか用紙を渡していないのに、八枚、十枚と書いてきた人多数。なんだかうれしいですね。『源氏物語』は、「椎本」巻を読み終える。宇治八の宮の道心に関連して、天台密教と真言密教の勃興と加持祈祷の方法について触れて見ました。

車検に出していた車が戻ってきました。また快適に運転できますね

06月22日(土曜日)

白百合で『浜松中納言物語』を読む。混血とはいいながら、唐后が和歌を詠むのはやはりヘンですね。待遇表現も安定していないし。それでもやはり読むことを放棄してはならない。ところで、高円寺までメンバーをお送りしたものの、駅の方向を間違えてお教えしたみたい。これが気がかがりの土曜日でした。

06月23日(日曜日)

たくさんのレポートを読みつつ添削する。先生によっては、受領印だけの方もあるようですが、僕は、誤字・脱字のみならず、力作は誉め、手抜きは叱咤することを原則としています。レポートを見れば、その人のやる気がすぐに分かるもの。ただ喋りっぱなしでテストをして、自分は人気者だと思いこんでいる先生には、今後、学生からレッドカードを進呈する権利を与えるのも一考でしょう。

06月24日(月曜日)

明治大学。「国語」は『刺青』から『細雪』へ。ことわざ、四字熟語もほとんど予習済みでスムーズに進行しました。レポートは内容も出来もまちまちでしたが、次回からは高水準になるでしょう。「論文演習」は時事問題の続き。いつでも官僚になれるような隙のない論文もありました。

06月25日(火曜日)

昼間は琴の自習稽古を念入りに。夕方、國學院の『うつほ物語』の会に行く。「みやこ風」「山守風」が、新たな所持者によって演奏されるあたり。

06月26日(水曜日)

雨、雨、雨。ひさしぶりに論文の構想を考えました。なんと、紫の上論です。「行って下さる方がいないんです。。」と小声で言われ、明日は仙台。

06月27日(木曜日)

雨の仙台。正確に言うと、仙台まで行き、東北本線で大河原駅まで戻る。駅前のひなびた食堂で定食のランチ。結局、客は僕一人。高校は山の裾野を利用した広い校地が印象的でした。保護者の方も見えて、僕は短大の講義内容や現状などを話す。地元志向が強く、宮城、山形、福島の、国文、英文、保育を志望しているようでした。この学校の場合、昨年度の実績では、大学・短大進学よりも専門学校進学の方が三倍近く多い。ということは、まだ、大学・短大は敷居が高いと思われているようです。定員割れが六割と言われる短大の現状は、許認可が多く、ニーズに対応した大幅な組織替えが出来ない高等教育機関の限界と言うより、少子化が目前に迫っていたバブル期に、ひたすら拡張路線をたどった対応の甘さと、この期に及んでも、まだ進学情報が正確に行き届いていないと言う即対応のまずさが原因ということになります。

06月28日(金曜日)

明治大学。構成を考える。三島由紀夫の『近代能楽集〜道成寺』をビデオで見ながら、主題と構成をまとめてもらうという作業です。やはり難解だったようで、帰り際、僕の開いていたのが新潮文庫であることをみんな確認していました。提出は来週に。続いて青山学院女子短期大学。『伊勢物語』は狩使章段、幻の小式部内侍本の享受について。『源氏物語』は「総角」巻を読む。催馬楽「総角」と結び目を意味する「総角」も、もちろん画像で確認しました。


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