Last Up Date 2001.07.01          

日記を物語る 2001年06月INDEXホームに戻る              


06月29日(金曜日)  

明治大学 は先週書いた「エッセイ」を読む。なかなかの秀作揃い。夏休みに入った頃、ご覧頂きましょう。 青山学院 は三時限目が「光源氏の音楽的相承」。届いたばかりの東儀秀樹「天と地と空−千年の悠雅」のビデオをすこし視聴してみました。四時限目は「大君の結婚拒否の論理」について。

06月30日(土曜日) 

琴の練習は「陽関三畳」を中心に。五絃目「角」を「ミ」から「ファ」に上げて調絃して弾く曲です。

気がつけば今年も半分終り。早いものです。明日は日本文学協会研究発表大会(神戸大学)出席のため、行きは全日空機で馳せ参じる予定です。


06月01日(金曜日)  

快晴。 明治大学 。「論文演習」は「時事問題」。先日の西武線の事件と現代の若者の世相などの論題を添削しました。こういう健全なものの考え方ができる若者ばかりだと、世の中ももっと落ち着くような気がします。むしろ、学究の閉鎖性のほうが、非常識がまかり通ることもあったして。

緑がまぶしい表参道を抜けて、 青山学院 。お昼休みに、総合研究所ビルの10階にある日本文学科合同研究室に出向くと、一昨年の履習生が一念発起して編入に成功したと言う事で、熱心に勉強をしていました。僕の講義のノートは冗談までメモしてある真面目一筋の学生さんでした。三時限目は「浮舟物語」を終え、来週から音楽論の各論に入ります。四時限目は「橋姫」巻をじっくりと。三つ出したレポートの課題をどのようにこなしてくれるのか楽しみです。

06月02日(土曜日)  Thanks 64000 Hits !!

所沢市松井公民館で古典親しむ会『源氏物語』少女巻。内大臣が夕霧に稽康・向子期の「友愛」の故事を踏まえて「笛の音にもふるごとは伝はるものなり」と言いながら笛を渡したあたり。

ネパール皇室の事件に、皇太子が35歳までに結婚してはならないという占いがあったことと結婚相手そのものを母后が反対した事から、激昂した皇太子が自動小銃を乱射したと言う報道がありました。僕は思わず『浜松中納言物語』の巻四に、吉野の聖が中納言に吉野姫君は二十歳までに男女の契りを結ぶと、姫君はこの世に生き果せないとする予言を授けられたことを想起してしまいます。ジャータカの思想はまだ生きているのですね。「このごろも、このこと、とざまかうざまに見給ふるに、二十がうちに妊じ給はば、過ぐしとほしがたうおはします人と見え給ふこそ、いとたいだいしけれ。今年十七歳にやならせ給ふらむ、いま三年はなほつつしみ給ふらむやよからむ」

06月03日(日曜日) 

梅雨入り前のあと僅かな青空のようです。短い原稿を書き、添付ファィルで編集者と編集委員の先生に送信する。一頁に収めるためか、字数が決まっている文章ほど難しいものはありません。そういえば、以前、『薔薇の名前』の翻訳者が軽井沢に住んでいて、一日一枚の原稿を受け取るために、担当の女性編集者が毎日特急で通っていたと言う話を聞いたことがありますが、もはや「神話の時代」の話として話そのものが“化石化”しつつありますね。なぜなら、返信用の切手や封筒、そして編集者の無駄な手間もかなり省かれているはずだからです。

06月04日(月曜日)  

快晴。 明治大学 。「国語」は第一回目のレポート提出。じっくり読ませていただきます。「論文演習」は「時事問題」の添削。細かい、主−述の係り受けや同じことばの繰り返しなどをチェックしました。空いた頃を見計らって学食に出向くと、男子学生の諸君が横にやってきて、「クラスコンパのあと、××さんに電話したんですけど、56秒で切られちゃったんですよ。これって脈ありますかね?」「君、そりゃぁ、×◆□±×◎○●×」。僕が何と答えたかは御想像に御任せします。。。\(∞)/

06月05日(火曜日)  

そろそろ入梅ですね。夕方、國學院の『うつほ物語』の会に出かけました。いつもながら、自分なりに新たな蓄積ができました。 物語研究会 の六月データを更新しました。

06月06日(水曜日)  

もちろん雨の水曜日。 明治大学 。「国語」ここでも第一回目のレポート提出。提出の際、ひとりひとりに声をかけたものの、概ね辛口コメントだったのは期待をしているからです。念のため。

06月07日(木曜日)  

午後、 早稲田大学図書館 。先月、閲覧カードを発行する許可をいただいていたので(注:誰にでも出来るわけではありません)、受け取りに行きました。僕の知る限り最も広くて機能的な図書館です。これで、青山、明治、早稲田と閲覧が可能になり、情報量が大きく拡大されたことになります。

朝日新聞の田中外相報道の振幅はひどいものですね。外相の足を引っ張るような情報を流したり、リークもとの外務官僚を批判したりと言うように、情報が錯綜しています。いずれにせよ、巨大メディアの主幹であっても、典型的な日本人の島国根性丸だし状況であることは確かなようです。

06月08日(金曜日)  

快晴。 明治大学 。休憩時間、神鷹徳治先生から『『白氏文集』諸本作品検索表【稿】』(帝塚山学院大学中国文化論叢特刊.1996)を頂戴しました。萬謝。梅雨の間の緑が美しい表参道を抜け、 青山学院 。三時限目は「光源氏の音楽的才能」を「琴」に絞って話しました。途中、「琵琶」と「古筝」の演奏の実演のビデオを見る。鮮やかな指使いを少しでも「学び」たきもの。四時限目は「橋姫」巻のレポートを受け取り「椎本」巻。宇治の姉妹の物語が佳境に入りました。

06月09日(土曜日)

『浜松中納言物語』の巻一を新刊の『新編全集』の新見を加えて見直す。僕の帰りがけに新たな新解が提出されました。夕方、高田馬場で友人のパーティーに出席して華やいだ雰囲気を満喫しました。

「古代言語蔵開の会通信」1号 にまたまた駄文を草しました。ご覧下さり、渋谷ルノアールに御参集下さいますように。

06月10日(日曜日) 

余明先生のスタジオで琴のレッスン。スローテンポのリズム観を身体に染み込ませるため、「関山月」「陽関三畳」の旋律をMDに録音しながら進めました。「一日30分でもいいから集中して練習すれば巧くなれるよ」と仰っていただいたものの、「集中」する時間を取ることが難しい六月です。

06月11日(月曜日)  

梅雨空の 明治大学 。「国語」は先週のレポートを返却する。幾十人かのレポートに「凡庸である」「感性を言葉にせよ」と書き添えました。これで履修者個々人のキャラクターが見えてきた感じ、いねむり、代返は絶対出来なくなりました。「論文演習」はキーワードをもとに文章構成を考えるため、『日本語練習帳』とともに、僕の文章を検討しました。来週は前期最後の情報実習室です。

06月12日(火曜日) 

溜まったお礼状を書く。そんな折、吉海直人さんから「『源氏物語』「語彙」関係文献目録」(同志社女子大学学術研究年報.2000.12)を頂戴しました。《あいなし》から《もよに》までの語彙と参考文献目録までの充実した内容です。また國學院の『うつほ物語』の会の後、室伏先生の退職記念号となる『東京女子大学日本文学』(東京女子大学学会.2001.03)も頂きました。0Gの力作論文のみならず、著作目録もある利便性の高い内容です。

06月13日(水曜日)  

明治大学 の「国語」の授業。そろそろ欠席過多の学生が出始める。尋ねてみると、基本的な生活習慣が出来ていないような場合もあるらしい。お説教めいた話が多くなり、帰りがけに「先生、今日は不機嫌ですね」と声をかけられる。全然そんな気分ではなかったのに、そのように伝わっている模様。夕方は、青短の教員懇親会。こちらのスタッフは他大学の国文科と比べても垂涎のビックネームが勢ぞろい。とりわけ、近代文学と短歌・俳句の講座はテレビ・ラジオでおなじみの顔ぶれ。もちろん、『源氏物語』関係の講義も充実しています。学生の満足度がたいへん高いのも頷けます。

06月14日(木曜日) 

雨。針本正行さんから『平安女流文学の表現』(おうふう.2001.05/\12000)を頂戴しました。今年初め頃、弾琴の一条朝の記録を僕にお尋ねられたので、東大史料編纂所のデータベースから得られた『御堂関白記』の記事をお知らせしましたが、「催馬楽」引用に関する論でそれが紹介されていました。かなりの激務をこなしておられる事を存じて居ますが、そんな中での重厚な論文集の発刊と言う事になります。萬謝。

06月15日(金曜日)  Thanks 65000 Hits !!  

三日連続の雨。 明治大学 は出席も五月雨式。学生の出身地に合わせて、沖縄の「わ〜(た)=私(達)」、徳島の「おい=(私)」など、自称のことばの地域性の特色が南北で区分けできることを解説しました。 青山学院 。両時間ともに「正倉院」のビデオで「五絃紫檀琵琶」と「金銀平文琴」を見たうえで、それぞれのコンセプトの講義を展開する。休憩時間には三時間目の受講生が大勢バイトをしている青学購買会で東儀秀樹「天と地と空−千年の悠雅」のビデオを予約する。集英社新書『雅楽』ともども売れ行き好調のようです。

夕方は、慶応大学に移動して、「『小右記』の会」長和元年五月廿五日条。二次会では、主宰の黒板伸夫先生が永いこと清泉の日本史の先生だった事もあって、親しみをもって話し掛けていただく。奥様(永井路子氏)の書いた小説の話になり、『草燃える』などかつてののNHK大河ドラマの名作の話で盛り上がりました。帰りは先生を車でお送りして帰宅。充実した一日となりました。

06月16日(土曜日)  

横浜・緑園都市に全面移転したフェリス女学院大学で 物語研究会 。新しい街並みが美しい。発表二本も充実した内容でした。相鉄線は、昔、弟が大和市に住んで居た時に一度乗っただけの路線。地名まで新鮮に見えました。

06月17日(日曜日)

渋谷ルノアールで 「古代言語蔵開の会」。「観想」をめぐる諸史料を徹底的に洗いなおす力作発表でした。

06月18日(月曜日)  

明治大学 。「国語」は『刺青』を読み終える。「論文演習」は「エッセイ」を書く。いつもの情報実習室が使えず、ちょっと古い建物の中の実習室になりましたが、設備は充実、また力作が寄せられるものと思います。

06月19日(火曜日)

立川に住む叔母の家でやや込み入った問題を処理をする。晴天も夕方からはまた梅雨空に。疲労もピークに達している感じ。そろそろまとまった休みが欲しいもの。

06月20日(水曜日)  

明治大学 。「国語」は月曜日のクラスと同じく『刺青』を読み終える。夏休みには課題図書を出してレポートを書いていただきます。図書は佐々木英昭『夏目漱石と女性』、佐伯順子『文明開化と女性』、高橋文二『三島由紀夫の世界』(以上、叢刊日本の文学、新典社)。

06月21日(木曜日) 

ちらほらと本を読み散らす。こんな日もたまにはいいでしょう。

06月22日(金曜日)  

快晴。 明治大学 。「論文演習」は「エッセイ」を書くの二クラス目。「スマートボード」にパソコンの画面を映し出して操作させるにも慣れました。教員室で神鷹先生から『白居易研究年報/2』(勉誠出版.2001.05)を譲っていただき、白詩の音楽について書くようお勧め頂きました。この夏、勉強しましょう。

曇天の表参道を抜けて、 青山学院 。三時限目は「光源氏の音楽的才能」の「舞」について。四時限目は「総角」巻をじっくりと読む。しばらく紙芝居(視聴覚映像)がないのは残念ですか?

06月23日(土曜日) 

明日の琴のレッスンに備えて練習。梅雨時で絃がブレたらしく調絃に時間を費やす。「さるは、あやしう黒みすすけたる曹子に、筝の琴、和琴など調べながら、心にいれて『雨降る日、琴柱倒せ』などもいひ侍らぬままに、塵積もりて、よせ立てたりし厨子と、柱とのはざまに、首さし入れつつ琵琶も左右に立てたり」(『紫式部日記』もちろん僕のには琴柱はありませんが)。

06月24日(日曜日)

日本文学協会の『枕草子』の会。「馬は」から「牛飼」の段のあたり。夕方は、余明先生のスタジオで琴のレッスン。なんと「関山月」は卒業のお許しを頂戴して舞いあがる。帰宅して「陽関三畳」の朗詠のパーツ(この曲は琴と歌がある)である「渭城朝雨軽塵潤」の韻にピンインを付けて練習して見ました。後期にはいくつかの大学でレクチャー+演奏をする予定もあります。これらに備えて、減量して腹筋でも鍛えましょうか(もちろん、リップサービス ≦∞≧)。

06月25日(月曜日)  

明治大学 。「国語」は、市川崑監督『細雪』を見る。先月見た『伊豆の踊り子』の吉永小百合の齢が、ちょうど二倍に近づきつつある頃(1983.05公開)の映像です。映画の中の女優は年をとらないのが羨ましい。また、夏休みのレポート課題図書を回覧し、教務部で出張販売の手配をしてくれるようです。「論文演習」は先週書いた「エッセイ」を読む。ほのぼのあり、やや脱線気味のもあり、まあいいんじゃないですかね。これも。

06月26日(火曜日)

まずは母校で『元輔集』の注釈作業。『貫之集』との重複歌の問題で難渋する。移動して、『うつほ物語』「国譲」巻。あて宮入内で山に籠っている実忠の和歌の問題。「涙河」「黄金」「黄泉の水」がキーワードのようですね。

06月27日(水曜日)  

明治大学 。本日も「国語」は市川崑監督『細雪』を見る。昔は繰り返し映画を見る人のことが理解できませんでしたが、やはり注意して見るといつも新たな発見があるものです。

06月28日(木曜日)  Thanks 66000 Hits !!

暑い一日でしたね。梅雨であることを忘れたみたい。本日は琴の練習と水泳をしたのみ。ちょっとバテ気味です。


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