2月18日 墨田ホール
ブチッケ:そうそう、景気の悪いときには、音楽界も何となくしょぼくれてます。
ガンバ:そんなこんなで、行って来ました、墨田トリフォニーホール。去年の秋頃のオープンで、柿落しで新日フィルを聴いたわよね。結構いい響きがしたけど、今日のオルガンはどう思う。
B:確か2000人ぐらいのホールだから、規模としてはちょうどいいくらいのオルガンですかニャ。あまり大きすぎなくて。でも、フルオルガンのときの迫力というか、ブオーっと腹の底にしみわたる重低音という感じはないですニャー。
D:そう。けっこう見た目は大きいけど、こじんまりとまとまったオルガンでニャ。最初の作者不詳の「バッターラファモサ」というのは、水平トランペット用の曲だけど、なんだか壊れたオーボエみたいな音がしていたね。普通はもっと強烈な音が出るもんだけど。2曲目のブルーナの第2旋法による「聖母マリアへのレタニア」はとってもきれいな曲だった。でも、木管の音色がやっぱりすっきりしないね。
B:どうも、各ストップの音色がちょっとずつくすんでいるみたいで、単音の透明感がないですニャー。
G:ブクステフーデの「前奏曲とフーガ ハ長調」は文句なしの大曲。出だしのペダルのソロではっとさせて、重厚なフーガに入っていくあたり、コープマンの本領発揮ってところかな。でも、いつものトントンだったらもっと奔放に弾くと思うんだけど・・・
B:次のブクステフーデの「シャコンヌ」もいまいちかなあ。やっぱり変奏ごとの音色の対比とか、強弱のコントラストとか、そういったものが表現しきれないみたい。
D:その後はバッハで、ハ短調の「前奏曲とフーガ」、「天にいます我らの父よ」、「幻想曲とフーガ ト長調」だったね。この中では、「天にいます」が面白かったですニャ。おっそろしく複雑なリズムなのに、ゆったりと歌う演奏でした。
G:あの曲はバッハの時代には他に誰も弾けなかったんだってさ。
B:へ〜え。「幻想曲とフーガ」はフルオルガンなのに、どうもプリンシパルの鳴りがいまひとつな感じ。
D:さて後半は有名な、「フーガ ト短調」で開始。かわいらしい名曲をさらっと弾いた後は、ダカンの「ノエル第10番」。もちろんクリスマスの曲だけど、フルート系のパイプが美しい曲でした。それから、モーツァルトの「アンダンテ ヘ長調」。これは、ストリートオルガンの曲だよね。
B:K.616っていう番号だから、最晩年の曲ですニャ。極貧のなかで、金のために書いた曲でしょうが、でも美しすぎる。
D:でも木管の音色がなんだか、モコモコしてますねえ。
G:ラストがバッハの「前奏曲とフーガ 変ホ長調」。文句なしにバッハの最高傑作の一つでしょ。
D:絢爛豪華、極彩色、金襴緞子・・・まあ何て言ってもいいけど、豪勢な曲ですニャ。出だしがフランス風の序曲のリズムだけど、今日のコープマンは、あまり付点のリズムをはっきりとは出さない弾き方していたね。
B:うん、どうも、あれはしっくりしなかった。でも、この曲ではオルガンが本当によく鳴っていました。リズムを甘くしたのは、ホールの残響が長いからかもしれないですニャ。
D:全体的には今日のコープマンは、なんだか元気がなかったみたい。装飾音の入れ方もなんだかおとなしかったし、切れ味ももうちょっとっていう感じでしたニャ。